日本とほぼ同じ広さ、東ヨーロッパのルーマニアってどんな国?(1)
ルーマニア国旗がはためく凱旋門。パリの凱旋門と似ている
ルーマニアはバルカン半島東部に位置し、北はウクライナ、北東はモルドバ、南はブルガリア、北西はハンガリー、南西はセルビアと国境を接し、さらに東は黒海に面する。中央ヨーロッパの国々に比べ、日本人にはあまり馴染みがないかもしれないが、じつは見どころ満載。その魅力を紹介する。
首都ブカレストと風味豊かなルーマニア料理
ルーマニアの国土の広さは日本とほぼ同じ。美しい自然と長い歴史の中で築かれた多種多様な文化がミックスされた国で、歴史的にはローマ帝国の属州であったり、オスマン帝国、ハプスブルク家の支配などの変遷がある。1878年に大公カルロ1世が即位し、ルーマニア王国が成立。第2次世界大戦後はソ連の圧力による社会主義政権の樹立やチャウシェスクによる独裁体制を経て、1989年にルーマニア革命により民主化された。
首都はかつてバルカンの小パリと呼ばれたブカレスト。オトペニ国際空港から車で約30分、その中心部には主要な観光スポットが点在する。まずそのスケールに圧倒されるのが「国民の館」。アメリカのペンタゴンに次ぐ世界で2番目に大きな行政建築物として知られる議事堂宮殿で、チャウシェスク独裁時代の1984年に建設が始まり、1997年に完成。現在は国会議事堂や政党の事務所、美術館などとなっている。内部見学ツアーがあり、数千の部屋や豪華なシャンデリア、大理石のホールなどを見て回れる。

首都の威厳を示す「国民の館」
1989年12月のルーマニア革命の舞台が革命広場。夫人とともに捉えられたチャウシェスクが軍事裁判の結果、12月25日に軍事施設で公開処刑された。革命広場にはルーマニア革命での犠牲者を弔う高さ25メートルの復活の記念碑が立ち、周辺には重要な建築物が立ち並ぶ。

革命の犠牲者を悼む復活の記念碑
旧王宮を改装したルーマニア国立美術館は、ルーマニア館とヨーロッパ館に分かれ、カルロ1世によるコレクションを中心に、エル・グレコやルーベンス、レンブラントなどの作品が展示されている。そのカルロ1世の騎馬像があるのが、ゴシック様式のブカレスト大学図書館。さらに古代ギリシャ寺院を模したアテネ音楽堂が見える。高さ41メートルの天井のドームやイオニア式の列柱などが特徴で、内部は豪華絢爛なロビーやフレスコ画が飾られたホールなどがある。ルーマニアの芸術の殿堂と呼ばれ、日本人の音楽家では、指揮者の小澤征爾、ピアニストの辻井伸行らが演奏を行っている。

ルーマニア大学図書館

ルーマニア国立美術館

アテネ音楽堂
ルーマニア革命が起きた1989年、日本では昭和が終わり1月8日から平成が始まった。6月には北京で天安門事件が起き、11月はベルリンの壁が崩壊。12月には東西冷戦が終結したという、歴史の大きな転換点の年。民主化のうねりが東ヨーロッパを包み込み、ブカレストでは多くの犠牲を伴った革命が起きた。そんな激動の歴史の痕跡をたどることができるブカレストだが、旧市街にはバロック調の町並みが残り、しゃれたカフェや素朴なルーマニア正教会なども点在している。
日本人の味覚に合う素朴で多彩な料理の数々
ルーマニア料理はローマ帝国時代の歴史や、近隣の東欧諸国、なかでもハンガリー料理やスラブ料理などの影響を受けながら独自に発展。肉料理や野菜料理、乳製品を組み合わせた滋味豊かな料理である。
肉料理を代表するのはサルマーレ。酢漬けのキャベツにひき肉や玉ネギなどを包み、煮込んだもので、ルーマニア版のロールキャベツ。昔はブドウの葉で包んでいたという祝いの席には欠かせない料理で、味付けは地方や家庭によってさまざま。キャベツのほどよい酸味と肉のうま味が口に広がる。
肉料理に添えられているのが、ママリーガというトウモロコシの粉に牛乳とバターを練り込んで煮た代表的な主食。「蒸しパンのよう」と形容されることが多いが、もっちりであったり、ほろほろであったりと、作る人によって形も食感も異なる。決して主張する味ではないので、濃厚な肉料理との相性がぴったりだ。

(左)手前の茶色い棒状のものがサルマーレ、黄色いケーキのようなものがママリーガ(右)こちらもサルマーレと手前がママリーガ
野菜料理の代表は、ムラトゥーリ。伝統的な漬け物で、キュウリや唐辛子、キャベツ、トマトなどが使われる。ほどよい酸味はやはり肉料理との相性がよく、冬の保存食としても重宝される。

ムラトゥーリ
体を温めるスープ類も豊富で、ハンガリー料理のグヤーシュのルーマニア版はパプリカが多め。スープはチョルバと呼ばれ、レモンやビネガーで酸味をきかせたものが多く、ニンジンや玉ネギ、トマト、ジャガイモなどの野菜と肉(ミートボールや鶏肉、牛の内臓など)が加わり、とにかく具だくさん。付け合わせにはサワークリームや酢漬けの青唐辛子(かじりながらスープを味わう)もあり、奥深さを感じる。

(左)グヤーシュ(右)ミートボールのスープ、手前はサワークリーム
ホテルの朝食でもレストランでも必ずと言っていいほど登場するのが、サラタ・デ・ヴィネテ。焼いたナスをペースト状にしてマヨネーズなどを加えたもので、パンにぬって食べてもよし、肉料理につけてもよしのディップ。ガーリック風味がくせになる。

サラタ・デ・ヴィネテ
ルーマニアはデザートのおいしさでも定評がある。パパナッシは伝統的なドーナツ。ブルーベリーなどのジャムとサワークリームとともに楽しむ。ドーナツの生地自体はそれほど甘くなく、軽やかだ。クラティテはルーマニア風クレープ。もっちりとした生地は食べ応え抜群。

(左)パパナッシ(右)クラティテ
ルーマニア料理は全般的に酸味を大切にする料理のようで、ボリュームがありながらさっぱりと味わえるのが、日本人の好みにもa合っているようだ。肉料理は特に豚肉のうま味が際立ち、それに合うルーマニアワインもあるので、ぜひ試してみてほしい。
日本とほぼ同じ広さ、東ヨーロッパのルーマニアってどんな国?(2)へ続く
文・写真/関屋淳子
<旅のインフォメーション>
交通/日本からの直行便はない。パリやフランクフルトなど、ヨーロッパの大都市経由でブカレストの国際空港 「オトペニ空港」へ。
時差/日本より6時間遅れ
ビザ/観光目的の場合、90日以内の滞在であればビザは不要。ただし、入国時にパスポートの残存有効期限が180日以上残っていることが必要
通貨/レイ 1レイ=35円(2026年5月現在)
気候/ブカレストの年間平均気温は夏季約20度、冬季約1度
(Web掲載:2026年5月27日)


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