青春18きっぷの使い方 押さえておきたいポイント(2)【フリーきっぷであの駅へ・青春18きっぷ編】
奥津軽いまべつ駅から木古内駅まで、オプション券で新幹線を利用できる
JR線の普通・快速列車が乗り放題となる「青春18きっぷ」。1982年の発売開始以来、格安鉄道旅の定番きっぷとして、幅広い年齢層に支持されてきた。その使い方や、東京・名古屋・大阪を起点にどこまで乗れば得になるの かなどを解説する。2024年3月に北陸新幹線の金沢―敦賀駅間が開業し、変更点もあるので気を付けたい。(文・写真/谷崎 竜)
◆JR以外でも利用できる?
特例として、①青い森鉄道八戸(はちのへ)―野辺地(のへじ)―青森駅間、②あいの風とやま鉄道・IRいしかわ鉄道富山―高岡― 津幡(つばた)駅間、③ハピラインふくい敦賀(つるが)―越前花堂(はなんどう)駅間の4社線(3区間)は、追加料金なしで普通・快速列車を利用できる。ただし、いずれも「JR線へ通過利用する場合」に限られ、①は青森駅から大湊線・八戸線、②は富山駅から氷見線・城端線・七尾線、③は敦賀駅から越美北(えつみほく)線に向かう場合(またはそれらの逆ルート)に適用される。そのため金沢―富山駅間を通しで乗るような場合は利用できない。途中下車は記載した8駅のみ可能。
◆バスにも乗れる?
災害により導入された旧気仙沼線、旧大船渡線、旧日田彦山線のBRT(バス高速輸送システム)と、同様に不通区間で運行される代行バスに限り、利用できる。24年5月の時点で乗れる主なバスは次の通り。
【BRT】旧気仙沼線柳津(やないづ)―気仙沼駅間、旧大船渡線気仙沼―盛(さかり)駅間、旧日田彦山線添田(そえだ)― 夜明(よあけ)―日田駅間
【代行バス】津軽線蟹田(かにた)―三厩(みんまや)駅間、陸羽西線新庄―酒田駅間、米坂線米沢―坂町駅間、山陰線長門市―小串駅間、美祢(みね)線厚狭(あさ)―長門市駅間
◆特急にも乗れる?
原則として特急には乗れないが、特例で①石勝(せきしょう)線新張―新得(しんとく)駅間、②室蘭線東室蘭―室蘭駅間、③奥羽線青森―新青森駅間、④宮崎空港線宮崎―宮崎空港駅間、⑤佐世保線早岐(はいき)―佐世保駅間の5区間だけは、追加料金なしで特急に乗れる。①~③に関しては、それぞれの区間を越えて乗車する場合、全乗車区間の乗車券と特急券が必要になるので、注意したい。
◆本州から北海道へ行ける?
「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」を買えば、北海道新幹線の奥津軽いまべつ―木古内(きこない)駅間、および道南いさりび鉄道線木古内―五稜郭駅間を、それぞれ片道1回のみ利用でき、これにより本州―北海道間の移動も可能となる。
「オプション券」は2490円(子ども同額)で乗車日当日限り有効。当日有効の青春18きっぷとの併用が条件だ。北海道新幹線の奥津軽いまべつ駅はJR津軽線の津軽二股駅と隣接しているが、津軽線は本数が少ないため、乗り継ぎ計画は注意が必要だ(24年5月現在、津軽線の一部は災害のためバス代行を実施。詳細はJR東日本のホームページ参照)。
◆グリーン車や観光列車にも乗れる?
普通・快速列車の「自由席グリーン車」は、別途グリーン券を買えば利用可だが、「指定席グリーン車」は利用不可。自由席グリーン車は、首都圏の主要路線(東海道線、高崎線、東北線、常磐線など)で多く運行されており、料金も比較的安いので利用価値は高い。
特急・急行でなければ、JRが運行する観光列車にも乗れる。「海里(かいり)」「SLやまぐち号」など、青春18きっぷで乗れる観光列車は全国で走っている。多くは全車指定席のため、別に指定席券が必要となる。
文・写真/谷崎 竜
●モデルコースは2024年5月15日現在の時刻に作成しました。掲載している路線名は主なものです。
●青春18きっぷの2024年度・夏季用の発表は現時点でないため、仕様や料金が変更になる場合があります。
●「~円お得」は、モデルコースを通常の鉄道運賃・料金で回った場合と、お得きっぷを使った場合との差額です。
●施設の営業時間は、最終入館やラストオーダーがある場合は、その時間を記しています。
※記載内容はすべて掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2024年7月号)
(Web掲載:2024年6月9日)