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【5000円で日帰り満足旅】コラム フリーきっぷで楽しく5000円旅(旅の文筆家 蜂谷あす美)

場所
> 宇都宮市
【5000円で日帰り満足旅】コラム フリーきっぷで楽しく5000円旅(旅の文筆家 蜂谷あす美)

宇都宮市街に堂々と立つ宇都宮二荒山神社の鳥居(写真/宇都宮観光コンベンション協会)

 

“鉄ちゃん”は「広範囲をカバーするタイプのフリーきっぷ」を活用する

全国くまなく鉄道旅に出かけるなかで、どうしても気にかかるのは「交通費」だ。この問題に折り合いをつけ、少しでもリーズナブルな旅に仕上げるべく、“鉄ちゃん”は常にハイエナのごとく、「広範囲をカバーするタイプのフリーきっぷ」を探し求め、そして手堅く活用している。今回はその一例として、首都圏近郊が1日乗り放題になる「のんびりホリデーSuica(スイカ)パス」(2670円)を使って東京発着で宇都宮を訪ねるプランを紹介する。

ところで、このきっぷは、宇都宮駅の少し手前の自治医大駅までが有効範囲。いきなり旅程崩壊の危機だが、はみ出した分の運賃(片道330円)を別途、支払うことにする。

宇都宮駅西口を出て1.2キロ進むと、市街地のなかに大きな鳥居が突如として現れる。宇都宮二荒山(ふたあらやま)神社だ。標高約130メートルの明神山の山頂に位置し、起源は約1600年前に遡る。毛野国(けぬのくに<現在の群馬、栃木両県>)を開拓した豊城入彦命(とよきいりひこのみこと)を祀(まつ)ったのが始まりで、下野「一之宮」と呼ばれていたのが「宇都宮」の地名に転じたともいわれる。

土地の成り立ちに触れたならば、今の宇都宮を代表する名物である「餃子(ぎょうざ)」も堪能しておきたい。市の中心部に「餃子通り」が存在するほど餃子店が軒を連ねていて、どこに入るか目移りするほど。今回は利便性を優先し、駅直結の商業施設「宮みらい」に2022年にオープンした「宇都宮みんみん」で焼き餃子、水餃子、それにライスの欲張りランチ(900円)を食べた。

宇都宮みんみんの焼き餃子

さて、せっかくのフリーきっぷなので、乗り降り自由のメリットを生かして、「途中下車」を楽しみたい。次なる目的地は、室町時代以来の城下町として栄え、「茨城の小京都」と言われる古河(こが)。栃木、埼玉との県境にあり、宇都宮からだと宇都宮線でスムーズに移動できる。

駅の西側には古い町並みが残り、地域の歴史を学べるスポットとして古河歴史博物館、古河文学館、篆刻(てんこく)美術館がそろっている。うれしいことに、これらすべてに入館できるセット券(600円)も用意されている。古河で歴史や文学、芸術を満喫し、ここまでで総額4830円。そのまま帰宅しても、追加の途中下車を楽しみながら復路を楽しんでも構わない。

古河歴史博物館。古河文学館、篆刻美術館も歩いて回れる(写真/ピクスタ)

一般に「旅」と言うと、どうしても意識は「遠く」を向きがちになる。だが、こうしたフリータイプのきっぷを活用すれば、週末にぽっかり予定が空いたときなどに、「ちょっとそこまで」の旅に出かけられる。加えて「のんびりホリデーSuicaパス」のように複数路線がフリーエリアに含まれているきっぷであれば、細かい行程を決めない気まぐれ旅にも付き合ってくれる。そして何よりも広範囲タイプであれば、片道100キロ程度の移動も可能で、「出かけた」という達成感も満たされるなど、「お得」以外の魅力も秘めている。

文/蜂谷あす美

今回使ったお得なきっぷ

【のんびりホリデーSuicaパス】◎JR東日本
大人2670円。土・日曜、祝日など。首都圏近郊のJR線普通列車、りんかい線、東京モノレールが1日乗り降り自由。利用可能エリア内の主な駅の指定席券売機で発売。


※記載内容は掲載時のデータです。

(出典:旅行読売2024年12月号)
(Web掲載:2025年2月18日)


Writer

蜂谷あす美 さん

福井県出身。高校時代の汽車通学時、鉄道の魅力に取りつかれ、鉄道雑誌をこっそり愛読し趣味を育むようになる。慶應義塾大学卒業後、出版社勤務を経て、旅の文筆家。2015年1月にJR全線完乗。鉄道と旅を中心としたエッセイ、紀行文などを数多く執筆。 著書『女性のための安心鉄道旅行術』(イカロス出版)ほか。『鉄道ジャーナル』で「わたしの読書日記」、「福井新聞」で「乗り鉄・蜂谷のいつもリュックに時刻表」など連載多数。最近はラジオやトークイベントでも活躍。

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