【5000円で日帰り満足旅】旅行ライターおすすめ「私ならこう使う!5000円満足旅」(1)
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物価高が続き、旅に出るのも容易ではなくなってきました。そこで、旅行読売でもおなじみの旅行ライターさんたちに、「5000円あったらどんな旅を楽しまれますか?」とうかがってみました。お得きっぷ活用、1点豪華主義、レンタカーを賢く利用、自治体主催の特別ツアーなど、さまざまなアイデアが出てきましたよ!
お得きっぷで霊峰・筑波山を遊び尽くす<茨城>
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つくばエクスプレスの人気きっぷが「筑波山きっぷ」。つくば駅までの往復乗車券に、つくば駅から筑波山登山口への路線バス、山麓から山頂近くへのロープウェイとケーブルカーの乗車券を加えたもので、秋葉原駅発着は1枚4380円だ。
筑波山は男体山、女体山からなる双耳峰で、標高は877メートル(女体山)。初級の山で、我が家でも小学校入学前の子どもを連れて何度も登っている。おすすめはつつじヶ丘バス停から女体山の「おたつ石コース」を歩いて登り、男体山を経て、ケーブルカーで下山する。弁慶の七戻り、母の胎内くぐりなどの奇岩・巨岩があり、楽しみながら登れる。関東平野を一望する絶景を満喫し、下山後に筑波山神社を参拝したら、予算を少しオーバーするが、参道近くの宿や日帰り入浴施設で温泉につかりたい。いい汗をかき、温泉でサッパリした後にグイッと飲む冷たいビールが、またたまらない。
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内田 晃/うちだ・あきら◎東京都足立区生まれ。自転車での日本一周を機に旅行記者を志す。四国八十八ヶ所などの巡礼道、街道、路地など、歩き取材を得意とする。著書は『40代からの街道歩き《鎌倉街道編》』(創英社/三省堂書店)など。日本旅行記者クラブ会員。
自分へのご褒美に一点豪華主義で日帰りスパへ<静岡>
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熱海の「オーシャンスパ Fuua(フーア)」は、相模灘に面した露天立ち湯のインフィニティー温泉が絶景だ。青い空と輝く海が広がり、眼下に初島航路の船が行き交う。日が沈むと市街地の夜景が浮かび上がり、見飽きない。寒すぎず暑すぎないこの時期はベストシーズンだ。
館内は休憩場所が多く、デッキチェアやソファで気ままに過ごせる。実はこのFuuaでは、行列ができる大人気スイーツ「熱海プリン」を販売していて、ほぼ並ばずに買えるのだ。
土・日曜や祝日、特定日の入館料は3410円で、17時以降なら2640円。しかも平日17時以降は2310円となる。入館と隣接するレストランのランチをセットにしたプランもある(土・日曜や祝日、特定日は4840円)。熱海駅からの無料シャトルバス運行も地味にうれしい。東京からでも思い立ったらすぐに行ける、私のお気に入りだ。
星 裕水/ほし・ひろみ◎旅行ジャーナリスト・編集者。神奈川県横浜市出身。1998年からフリーランスに。国内・海外の旅行ガイドブック、交通関係書籍(鉄道、航空、クルーズ)などを手掛ける。温泉宿の取材も多い。主な著書に『絶景の空旅』(小学館、共著)。
レトロな都電に乗って荒川・北区の近代化遺産へ<東京>
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私のライフワークの一つが近代化遺産巡りである。そこで考えたのが、都内の近代化遺産を訪ねる5000円旅だ。起点は都電荒川線(前身は1882年に開業した東京馬車鉄道)の町屋駅。荒川二丁目電停で降り、「旧三河島汚水処分場喞筒(ポンプ)場施設」を目指す。ここは我が国初の近代下水処理場。事前予約で見学(無料)でき、下水道の仕組みを学べる。
続いて飛鳥山公園へ。新1万円札の顔である渋沢栄一の史料館、晩香廬(ばんこうろ)、青淵(せいえん)文庫で、日本の近代化の土台を築いた人となりを理解したい。近くには1904年建造の「旧大蔵省醸造試験所第一工場」の貴重な赤煉瓦(れんが)の建物が残る。王子駅から地下鉄に乗り赤羽岩淵駅で下車、荒川の水を放水路へ流し、水害を防いだ「旧岩淵水門」を夕景のなかで写真に収めたい。そして最後はせんべろの聖地・赤羽ではしご酒。実はこれがメインだったりして。
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関屋淳子/せきや・じゅんこ◎ウェブマガジン「旅恋.com」編集長。フリーランスを経て2010年に(株)旅恋を設立。生活情報誌、書籍、ウェブの編集や執筆、テレビ番組のナビゲーターなどを行う。温泉ソムリエ、温泉入浴指導員(厚生労働省認定)。
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(出典:「旅行読売」2024年12月号)
(Web掲載:2025年2月25日)