【車窓に春風🌸お花見列車】山や公園、川沿い、城🏯南東北の桜絶景めぐり 「東北線」福島~仙台(福島・宮城)

白石川堤一目千本桜沿いを走る東北線(写真/伊藤岳志)
〝桜前線を追いかける〟南東北への日帰り旅
福島県と宮城県の桜の開花時期は、東京よりも半月ほど遅い。東京の桜を楽しんだ後に、春をもっと満喫しようと列車で北上し、再び美しい桜とグルメを楽しむ〝桜前線を追いかける〟日帰り旅に出た。
まずは福島でも指折りの花スポット・花見山公園へ。花き農家の故・阿部一郎さんとその家族が70年以上かけて造り上げた公園だ。福島駅から3月26日~4月17日に運行されるシャトルバスに揺られること15分。バス停からさらに15分ほど歩くと、冠雪の吾妻山を背に、桜や花桃が咲き誇る絶景が現れる。写真家の秋山庄太郎さんが「桃源郷」と表現した景色はまさに素晴らしいの一言。花見山は園主の厚意で一般開放されており無料だが、その絶景と好意への感謝を込めて環境整備のための募金に協力した。
福島の花名所・花見山公園。春は桜や花桃が咲き乱れ、まさに桃源郷の趣
福島駅にバスで戻り、東北線に乗って宮城県の白石(しろいし)駅で途中下車。駅から徒歩15分の白石城も桜の名所だ。伊達家の重臣・片倉氏の城で、復元された天守と桜が美しい。お昼には名物の温麺(うーめん)を味わおう。江戸時代に生まれた素麺に似た郷土料理で、駅周辺には温麺を出す店が多数ある。
白石城では4月上旬から20日頃まで「白石城桜まつり」を開催 (写真/宮城県観光戦略課)
白石名物の白石温麺。素麺より短く、油を使わないのでさっぱり(写真/宮城県観光戦略課)
続いて、今回の旅のメインスポット・白石川堤一目千本桜と船岡城址公園へ向かう。ともに「さくら名所100選」だ。白石駅から再び列車に乗り10分弱、北白川駅を過ぎたあたりから車窓左側に桜が見え始めた。一目千本桜は約8キロにわたって白石川の堤に植えられた桜並木で、その数なんと1200本。車窓から見える千本桜のハイライトは大河原-船岡駅間で、大河原駅を出発してまもなく、進行左手の窓いっぱいに桜花が広がる。シーズン中はこの区間で徐行運転を実施し、4月5・6、12・13日には郡山-仙台駅間でレトロ風ラッピング気動車「レトロ花めぐり号」も運行する。
船岡駅で下車、徒歩3分ほどで白石川堤に出る。一目千本桜を今度は間近に眺めながら20分ほど歩くと、船岡城址公園に到着。公園全体が桜の名所で、一目千本桜や残雪を抱いた蔵王連峰、そして東北線の線路を望む大パノラマが広がる。撮影スポットとしても人気だ。4月14日まで「しばた桜まつり」が行われる。桜のライトアップも実施。
1200本の桜が咲き誇る白石川堤一目千本桜(写真/宮城県観光戦略課)
今回の旅は日帰りだが、ゴールの仙台で1泊し、さらに南東北の桜を追う旅を楽しむなら、土・日曜の連続する2日間有効のフリーきっぷ「週末パス」(8880円)がお得だ。
文/伊藤岳志
問い合わせ:JR東日本お問い合わせセンター/TEL:050-2016-1600
※記載内容は掲載時のデータです。
(出典:旅行読売2025年4月号)
(Web掲載:2025年4月14日)