【中井精也のゆる鉄写真館】根室線厚岸~茶内駅間

あかねさす湿原に想う
朝日が昇ると
青く沈んでいた湿原が、
茜(あかね)色に染まりました。
ここは別寒辺牛(べかんべうし)湿原。
ラムサール条約登録湿地でもある
水鳥の楽園です。
どこまでも続くかに見える湿原の中を、
真っすぐに線路が延びる光景は、
日本を代表する鉄道絶景と言えるでしょう。
ようやく姿を現した列車が、
朝日を受けて鈍く輝きます。
「この光景が、いつまでも続きますように」
そう祈りながら、
シャッターを切りました。
文・写真/中井精也
1967年、東京生まれ。鉄道写真家。独自の視点で鉄道を撮影し、『ゆる鉄』など新しい鉄道写真のジャンルを生み出した。甘党。著書・写真集に「1日1鉄!」(インプレス)など。2015年講談社出版文化賞・写真賞受賞。
(出典:「旅行読売」2024年10月号)
(Web掲載:2025年5月11日)