熊本県でプレDCを開催中!~熊本の旅⑤~
青井の杜国宝記念館から眺める青井阿蘇神社
美人湯が湧く城下町・人吉へ
2026年開催の熊本デスティネーションキャンペーン(DC)に先駆けて、熊本県では2025年9月30日までプレDCが行われている。話題いっぱいのこの機会にぜひ、「くまもっとJR周遊きっぷ」「くまもっとのりものきっぷ」「くまもっとB&Sみやざききっぷ」など、便利でお得なフリーきっぷを活用して周遊旅行を楽しみたい。
阿蘇エリアを旅した後は、県南部の人吉・球磨エリアを周遊してはいかが?「熊本の旅④」で紹介した球泉洞があるのもこのエリアだ。
かつて作家・司馬遼太郎が紀行集「街道をゆく」で、人吉・球磨エリアを「日本でもっとも豊かな隠れ里」と称した地。日本百名城の一つ、人吉城の城下町であり、美人湯と評判の人吉温泉街が広がっている。2020年7月の熊本豪雨で街は大きな被害を受けたが、現在は復旧が進み、新しい魅力も加わって人気を高めている。
登城する気分で遊覧を
人吉城跡のすぐ脇を流れる球磨川では、気軽に川舟で遊覧を楽しめる。乗り場は、人吉城跡を対岸に眺める観光複合施設「HASSENBA」。かつての船場は豪雨災害で壊滅的に被災し、新しくオープンした施設だ。
遊覧船「梅花の渡し」は、ここを起点に30分ほど水上散歩を楽しむもの。川畔には人吉城跡の石垣が広がり、新緑に紅葉にと四季折々の景観を船上から眺められる。かつて人吉城と城下町を結ぶ橋は1本しかなく、往来には川舟を使うのが一般的であった。その当時の様子を思い浮かべながら遊覧するのもいいものだ。
御神宝を展示する新名所
人吉温泉街にある青井阿蘇神社は、約1200年以上前に創建した名所。地元では「青井さん」の名で親しまれている。ここも被災し、全壊した国指定重要文化財である楼門は2023年に復旧。茅葺き屋根の荘厳な姿を再び見せてくれている。
2023年、建築家・隈研吾氏の設計による青井の杜国宝記念館が敷地内にオープンした。神社所蔵の掛け軸や刀剣、神輿など御神宝を展示しているので、ぜひ立ち寄ってほしい。

老舗の味を賞味
街中に食事処は数多く迷ってしまうが、老舗の味を楽しむなら人吉駅から車で5分ほどの街中にある食事処「松田うなぎ屋」へ。1918年から、水清らかな人吉の街で営んでいる。テーブル席やカウンター席のほか、上がり席もあって居心地がいい。
うなぎ蒲焼、うなぎ白焼などの一品料理や、うなぎ丼、うなぎセイロ蒸し、うなぎ重箱など食事メニューも充実している。
震災から復活した酒蔵を見学
人吉グルメといえば、球磨焼酎ははずせない。球磨焼酎は人吉・球磨地方で作られた米焼酎の総称で、500年以上の歴史がある。現在、27蔵元がそれぞれの銘柄の球磨焼酎を作っている。
人吉駅と西人吉駅の中間辺りにある蔵元「大和一酒造元」もその一軒で、熊本豪雨災害では壊滅的な被害にあったものの、奇跡的に生き残った原酒タンクがあり、復活を果たした。
球磨川がもたらした天然酵母を生かす「球磨川」や、復興後に新しく誕生した玄米焼酎「川の神」、地下350mから湧き出るpH8.1の「温泉焼酎 夢」など、どの焼酎もこだわりを感じる逸品ばかりだ。
事前予約で、球磨焼酎の歴史や特徴などを学び、蔵見学できるガイドツアーも実施している。試飲付きツアーもあり、試飲して味を確かめてから購入できるのもありがたい。

貸切露天風呂で美人湯を
試飲では物足りない人は、宿にチェックインしてからゆったり味わおう。人吉温泉の宿は旅館やホテルなど、どこも個性が光る宿ばかり。中でも旅館芳野は国登録有形文化財の宿で、長い歴史を刻んできた風格を漂わせている。
熊本豪雨で被災したものの建物を支える柱や梁が無事であったことから、かつての風情を取り戻して修復。約2年4か月の時を経てリニューアルオープンした。
中庭を囲むように建物が巡り、15室ある客室はすべて造りも装飾も異なる。100年前の造りをそのまま残した10畳和室や、ツインベッドのある和洋室、半露天風呂付き和洋室など、どの客室も魅力的。客室を変えて連泊したくなる。
美人湯と評判の温泉は、大浴場や露天風呂のほか、貸切風呂、貸切露天風呂で楽しめる。「料亭 吉野本店」として創業した宿だけに、会席料理の品々にもこだわりを感じる。
食後はまた温泉でのんびりくつろいでもいいし、夜の温泉街へ繰り出すのも一興である。
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九州観光機構国内事業部TEL:092-751-2946
熊本DC実行委員会事務局TEL:096-333-2354
(Web掲載:2025年5月7日)
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