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【鉄道の旅】出雲市駅から行きたい名所&グルメ、乗り継ぎたい観光列車

場所
> 出雲市、安来市
【鉄道の旅】出雲市駅から行きたい名所&グルメ、乗り継ぎたい観光列車

1959年に新築された出雲大社拝殿。一般の神社と反対で左が上位とされ、しめ縄の張り方が左右逆になっている

🚈サンライズ出雲の乗車ルポは👉こちら

日本を代表する古社と美術館へ

神話の舞台となった出雲の地を象徴するのが出雲大社だ。縁結びの聖地として有名だが、男女の間だけでなく、人や物、仕事など幅広い意味でのご縁を結ぶ。「サンライズ出雲」に乗車できたのも、きっと巡り合わせ。まずは出雲大社に参拝したい。

出雲大社の西にある稲佐(いなさ)の浜は、国譲り神話などの舞台となった場所。境内から徒歩20分ほどなので足を延ばすのもいいだろう。

出雲そばの専門店は出雲市駅、出雲大社周辺にある。〝割子(わりご)そば〟が有名だが、もう一つの定番メニューが、ゆで汁と一緒にそばを丼に入れ、直接つゆをかけて食べる〝釜揚げそば〟だ。ぜひ賞味したい。

美しい庭園と名画のコレクションで海外でも注目される足立美術館へは、安来(やすぎ)駅から無料シャトルバスが出ている。出雲市駅から安来駅までは山陰線特急で45分ほど。行かない手はないだろう。

出雲市駅からは観光列車「あめつち」も運行している。地元のローカル線・一畑(いちばた)電車で出雲大社前駅から川跡(かわと)駅経由で松江しんじ湖温泉駅までのんびり走るのもいい。

文/高崎真規子 写真/青谷 慶

📷出雲大社

さまざまなご縁を結ぶ、神の国の象徴

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勢溜(せいだまり)の大鳥居。ここから、拝殿、八足門と広大な境内を反時計回りに参拝

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御本殿は八足(やつあし)門の先の瑞垣(みずがき)内にあり、特定の日以外は立ち入れない。八足門から参拝する

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1744年に再建された大社造りの御本殿(国宝)。“平成の大遷宮”で千木(ちぎ)や大屋根を新装、71万もの桧皮(ひわだ)が葺き替えられた

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境内全域に多くのウサギ石像がある

日本を代表する古社の一つ。国譲りの際に天照大御神(あまてらすおおみかみ)のいいつけで壮大な宮殿が造営され、大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)を御祭神としたのが始まりという。旧暦の10月に全国から八百万(やおよろず)の神が集まり、“神議”(かむはかり<結びなどの会議>)を行うことから、出雲では“神
無月”(かんなづき)を“神在月”(かみありづき)と呼ぶ。
■参拝は6時~19時(御本殿より北側は~16時30分)/無休/無料/出雲市大社町杵築東195/山陰線出雲市駅からバス30分、正門前下車すぐ。または一畑電車電鉄出雲市駅から川跡駅で乗り換え、出雲大社前駅下車徒歩5分/TEL:0853-53-3100

📷稲佐の浜

出雲神話の舞台となった海岸

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稲佐の浜。島根半島西端の海岸線は夕日の名所としても名高い

出雲大社の西方1キロにあり、神話の舞台として『古事記』や『出雲国風土記』などに描かれている。弁天島という小さな島の上には豊玉毘古命(とよたまひこのみこと)を祀(まつ)る小さな祠(ほこら)がある。出雲大社に集まる八百万の神は、この浜から上陸するとされる。
■見学自由/出雲市大社町杵築北稲佐/山陰線出雲市駅からバス35分、出雲大社連絡所下車徒歩15分/TEL:0853-31-9466(出雲観光協会)

🍜献上そば 羽根屋本店

殻ごと挽いた香り高い出雲そばの老舗

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羽根屋本店は江戸時代末期の創業

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「三色割子そば」1050円。山菜、長芋、揚げ玉と大根おろしの3種の味が楽しめる

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「釜あげそば」850円。そばつゆをかけて食べる

店名の由来は明治時代、まだ東宮だった大正天皇にそばを献上したことによる。そばの実を石臼で製粉し、代々受け継いだ手打ちの技術でその日に打ったそばを提供する。厚削りのカツオ節をふんだんに使った出汁(だし)で作るそばつゆも絶品だ。
■11時~15時、17時~19時(そばがなくなり次第終了)/年末年始休/出雲市今市町本町549/山陰線出雲市駅から徒歩10分/TEL:0853-21-0058

📷足立美術館

世界からも注目される庭園美と名画

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ロビーから眺めた主庭の枯山水庭。水を用いずに山水の趣を表している

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「生の額絵」。館内の窓枠を額縁に見立て、1枚の屛風(びょうぶ)作品のように演出

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本館2階の横山大観特別展示室。作品は季節ごとに入れ替える

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敷地内には創設者・足立全康氏の銅像が立つ

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白砂青松庭。横山大観の名画「白沙青松」のイメージを日本庭園で表現

地元の実業家・足立全康(ぜんこう)氏が創設。絵画のように美しい、約5万坪の多様な日本庭園を有する。横山大観を中心とした日本画のコレクションも見事だ。開館55周年の今年は、名品を集めた特別展「心に響く日本画55選」を開催(8月31日~11月30日)。
■9時~17時30分(10月~3月は~17時)/無休(新館のみ休館日あり)/2500円/安来市古川町320/山陰線安来駅から無料シャトルバス20分/TEL:0854-28-7111

出雲市駅から乗り継ぎたい列車

🚋あめつち

山陰海岸を走る紺碧色の観光列車

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山陰の空や海の美しさを象徴する紺碧色の車体

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天井の照明部分には鳥取県の因州和紙、テーブルの装飾には島根県の石州瓦を使用

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物販カウンターでは、菓子やドリンク、オリジナルグッズも販売

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あめつち限定の「山陰の酒と肴(さかな)」2500円(要予約)

出雲市駅から鳥取駅までを約3時間50分で結ぶ、全車グリーン車指定席の快速列車。週末を中心に1日1往復する。列車名は『古事記』の冒頭の「天地(あめつち)の初発(はじめ)のとき」という書き出しに由来する。多くの神話が生まれ、日本文化のルーツがあるとされる山陰地方の魅力を、車両デザインや内装で演出している。2024年から木次(きすき)線(米子-出雲横田駅)、山陰線(鳥取-城崎温泉駅)と3区間に運転を拡大。(下記は2025年の運転日)
運転日 「あめつち」(出雲市-鳥取)7月5※・12※・21・28日、8月23~25、30※日 ※印の出雲市→鳥取方面の列車は米子止め
「あめつち~木次線~」(米子-出雲横田)7月6・7、13・14日、8月31日
「あめつち~因幡・但馬~」(鳥取-城崎温泉)7月19・20、26・27日、8月2・3日
料金 運賃+グリーン車指定席料金
出雲市-鳥取の料金は4630円、出雲市-倉吉の料金は3680円、出雲市-米子の料金は2170円。

🚋一畑電車

「ばたでん」の愛称で人気のローカル線

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出雲大社前駅のホームに停車中の一畑電車5000系

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島根県産の木材を使用した車内

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1930年開設、出雲大社前駅の駅舎は国の登録有形文化財

宍道湖の北側を走る北松江線は、電鉄出雲市駅から川跡(かわと)駅経由で松江しんじ湖温泉駅を結ぶ。出雲大社前駅と川跡駅をつなぐ大社線では田園風景を楽しめる。沿線には島根ワイナリーや一畑薬師など観光スポットもある。6月27日から「鉄印帳 中国・四国エリア版」の記帳が始まる。
■1日フリー乗車券1800円/TEL:0853-53-2133(出雲大社前駅)


※記載内容は掲載時のデータです。

(出典:旅行読売2025年8月号)
(Web掲載:2025年9月3日)


Writer

高崎真規子 さん

昭和の東京生まれ。80年代後半からフリーライターに。2015年「旅行読売」の編集部に参加。ひとり旅が好きで、旅先では必ずその街の繁華街をそぞろ歩き、風通しのいい店を物色。地の肴で地の酒を飲むのが至福のとき。本誌連載では、大宅賞作家橋本克彦が歌の舞台を訪ねる「あの歌この街」、100万部を超える人気シリーズ『本所おけら長屋』の著者が東京の街を歩く「畠山健二の東京回顧録」を担当。著書に『少女たちはなぜHを急ぐのか』『少女たちの性はなぜ空虚になったか』など。

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