【一度は見たい紅葉百景】大いなる大雪山系が「日本一早い紅葉」に染まる 層雲峡(2)

大雪山系の山並みが間近に迫る層雲峡温泉
【一度は見たい紅葉百景】大いなる大雪山系が「日本一早い紅葉」に染まる 層雲峡(1)から続く
1か月以上続く華やかな錦模様
ひんやりとした空気に包まれ山並みが連なる先に視線を上げると、山頂付近は赤や黄で埋め尽くされている。紅葉に染まることで険しい山容がよりくっきりと青空に映える。山の向こうにまた山が重なり稜線がいくつも延びている。遠くの山々を彩る紅葉は滲(にじ)んでしとやかだ。何よりも景色が広い。これぞ北海道。「大(おおい)さ」と評した桂月の感性にも感服する。
黒岳5合目から黒岳ペアリフトに乗り継げば、難なく標高1520メートルの黒岳7合目まで上れる。紅葉は8月下旬から山を下り始め、黒岳7合目は9月上旬、5合目は9月下旬、温泉街は10月上旬が見頃となる。
層雲峡には銀河・流星の滝、紅葉滝など野趣あふれる滝が点在し、温泉街では「奇跡のイルミネート」も開催される。大いなる層雲峡の秋は、1年で一番のにぎわいを見せる。
紅葉谷
🍁10月上旬〜中旬
層雲峡温泉街から近く、散策道入り口から30分ほど歩くと、柱状節理の岩肌を洗う紅葉滝が出現し涼感たっぷり。途中には倒木や巨岩が人の手に触れられることなく残り、ありのままの自然を体感できる。コースの中ほどまではアップダウンが少ないが、後半は急坂になるので登山靴で行こう。自信がなければ途中で折り返してもいい。安全のためにもガイドツアーへの参加がおすすめ。
【Data】ガイド料1人~2人1万4000円(層雲峡ホステル宿泊者の場合)/層雲峡バスターミナルから徒歩15分/TEL:080-2862-080(層雲峡ホステル)
層雲峡ホステルを経営しながら、紅葉谷をはじめ黒岳などのガイドも務める志水陽平さん。モットーは「自然を、山を、もっと身近に」
紅葉滝を目の前に、志水さんが用意したコーヒーをいただきひと休み
クマゲラが木をつついて餌となる虫をとった「クマゲラの採餌木」
8月上旬にはホザキナナカマドの花が咲いていた
層雲峡観光ホテル
🍁10月上旬~中旬
峡谷大露天風呂では柱状節理の岩肌を再現した壁などで層雲峡の自然を演出
客室は全242室。ひとり旅からファミリーまで幅広く対応
石狩川に面して立ち、200坪の峡谷大露天風呂が自慢。渓流に見立てた広い湯船で、男女とも湯あみ着を着用して入る混浴だ。ほかに男女別大浴場もある。ビュッフェスタイルの夕食には、具材を選んで自分で温めるスープカレーや旭川ラーメンなども並ぶ。
【Data】1泊2食1万4550円~/層雲峡バスターミナルから徒歩5分/上川町層雲峡温泉/TEL:01658-5-3145
奇跡のイルミネート
🍁9月中旬〜10月中旬
ライトアップされた紅葉と最新のデジタル技術による映像が、温泉街で美を競う
層雲峡温泉で2017年から始まったイベント。紅葉のライトアップに加え、人の動きに連動するデジタルアートにより夜の紅葉散策を演出。地面に映し出された落ち葉の上を歩くと、本当に森の中を歩いているかのように足元の葉が動くなど、最新技術で楽しませてくれる。上川町の特産品がもらえるフォトコンテストも開催。
【Data】9月14日~10月13日の18時~20時30分/1000円/層雲峡バスターミナルから徒歩15分/TEL:01658-2-1811(層雲峡観光協会)
大雪 森のガーデン
🍁9月中旬〜10月上旬
カフェではジェラート(シングル400円)、チーズカレー(1200円)、チーズリゾット(1000円)などが味わえる
原生樹を生かして通路を巡らせた園内に1000種の宿根草が栽培され、四季折々の花が咲く。秋はダリアやミヤギノハギなどが美しい。山野草も背丈が伸び、森への没入感も増してロマンチック。
【Data】9時~16時(営業は10月13日まで)/無休/1000円/石北線上川駅から無料シャトルバス15分(運行は9月28日まで)/上川町菊水841-8/TEL:01658-2-4655
文/渡辺貴由 写真/齋藤雄輝ほか
※記載内容はすべて掲載時のデータです。
(出典:旅行読売2025年10月号)
(Web掲載:2025年9月22日)