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【47都道府県 行きたい道の駅】北海道の穴場 道南日本海沿岸の個性光る3駅を巡る(1)~江差~

場所
> 檜山郡、松前郡
【47都道府県 行きたい道の駅】北海道の穴場 道南日本海沿岸の個性光る3駅を巡る(1)~江差~

曇天の中、奇跡的に現れた夕日。雲間から放つ光は驚くほどの力強さで周囲を赤く染めた。道の駅上ノ国もんじゅから南へ5キロほどの海岸線にて

 

売り場とトイレの合計面積が日本一小さい道の駅

全国で最も道の駅が多いのは北海道。その数127。そのうちのいくつかを訪ねながら夏らしいドライブもしたい。ということで、函館空港から国道227号で日本海に抜けそのまま南下するという穴場的ルートを選択。海沿いにある三つの道の駅を巡ることにした。

北海道の海沿いドライブと言えば、小樽―稚内(わっかない)間のオロロンラインが有名だが、江差-函館間の国道228号も海食崖や奇岩が見られ、夕日の美しさでも知られる

江差町に入ると海岸線に沿ったドライブが始まる。そろそろ道の駅江差があるはず……と探していると大きな像が見えてきた。その向こうに小さな建物。これだ!

スタンプにも描かれたとんち者・繁次郎。高さ約3メートルのこの大きな像が道の駅の目印
隣接するトイレよりも小さい、と言われることも。通り過ぎないよう注意

戸を開けると「いらっしゃいませ!」と明るい声が迎えてくれた。思ったよりも声が近い。なにせ入り口から店内すべてを見渡せる約8畳の空間なのだ。テレビの企画では売り場とトイレの合計面積が日本一小さい道の駅だと証明されたという。

約8畳の店。2019年にクラウドファンディングで資金を集め改装した際も広さはあえて変えなかった
同年完成のウッドデッキ

力を入れているのは品ぞろえではなくサービスだ。「町の観光案内所として使ってもらえれば」とスタッフの藤島亮さん。「お土産を買う場所でしたら町のアンテナショップ『海の駅』をご案内しています。ランチをどこで食べたらいいか、と聞かれることもありますよ」。そんな会話をしている矢先に「宗谷に行きたいんだけど道が分からなくなって」と飛び込んできたドライバーがいた。そ、宗谷?ここから650キロ離れた場所だ。もはや北海道全域の観光案内ではないか。しかし藤島さんは丁寧に対応。小さなスペースだから親近感が湧き、初対面でも話しやすいのだろう。客との距離が一番近い道の駅。そんな立ち位置を目指しているという。

入って右側の壁は「小さいものミュージアム」。町内の建物のミニチュアなどを展示
(左)町内の老舗、五勝手屋(ごかってや)の名物、金時豆を使った「丸缶羊羹(ようかん)」のミニ。292円(右)知内(しりうち)町の菓子店の人気商品「ドン・デ・マカロニ」を道の駅オリジナルのミニサイズに。260円

道南と呼ばれるこのエリアには、戊辰(ぼしん)戦争ゆかりの地が各所にある。江差の沖には旧幕府軍の主力軍艦、開陽丸が今も沈む。その船を原寸大で再現した開陽丸記念館では遺物の一部を展示。引き揚げられた遺物には多くの砲弾が含まれていたと聞き、改めて軍艦だったこと、そして本領を発揮する前に沈んでしまったことを思う。海底調査は現在も継続中。7月2日に35年ぶりの大がかりな調査を行ったばかりだ。江差町は水中考古学研究において先駆的な存在であることも知った。

文/市村雅代 写真/川村 勲

【47都道府県 行きたい道の駅】北海道の穴場 道南日本海沿岸の個性光る3駅を巡る(2)~上ノ国もんじゅ~へ続く(10/20公開)

開陽丸記念館

戊辰(ぼしん)戦争さなかの1868年、暴風雪のため江差沖で沈没した旧幕府軍の主力軍艦を1990年に原寸大で復元。内部には海底発掘調査で引き揚げられた遺物約3万3000点のうち約3000点を展示。造船の経緯や戊辰戦争との関わりを説明するパネルやジオラマもある。

■9時~16時30分/無休(11月~3月は月曜と祝日の翌日〈月曜が祝日の場合は翌日と翌々日〉休)、12月31日~1月5日休/500円/道央道落部ICから60キロ/TEL0139-52-5522


道の駅江差 
TEL:0139-52-1177
住所:江差町尾山町1
営業:9時~17時(12月~3月は10時~16時)/無休(11月~3月は月曜〈祝日の場合は翌日〉休)、12月31日~1月5日休
交通:道央道落部ICから56キロ
駐車場:【普通車】20台【大型車】6台

私のおすすめ!

スタッフ/藤島亮さん
第1回(1993年)に登録された103駅の一つです。当時は休憩所の意味合いが強くこのような広さになりました。建設省(現在は国土交通省)発行の登録証の写真を撮りに来る方もいますよ。

※記載内容は掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2024年9月号)
(Web掲載:2024年10月19日)


Writer

市村雅代 さん

出版社勤務ののち約1年半の放浪を経て2011年より北海道暮らし。「いつか山と雪のある場所で暮らす」という夢を叶える。13年よりフリーランスの編集・ライターに。以前はもっぱら海外旅行派だったが北海道暮らしを始めてからは道内旅行が中心になる。道内の179市町村で、観光地「じゃないほう」の土地に行き、ひなびた銭湯に行くのが楽しみ。北海道観光マスター。

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