知っておきたい「ふるさと納税」
 
							
						ふるさと納税ポータルサイトの一つ「ふるさとぷらす」
ふるさと納税の基礎知識と10月1日のルール変更を解説
【 ふるさと納税とは? 】
ふるさと納税とは、自分が選んだ自治体に寄付することで、住民税や所得税から控除が受けられ、寄付先から「返礼品」がもらえる制度。地方活性化や地方の税収対策を目的に2008年に始まって以来、寄付金は年々増え続け、24年度には寄付受入額1兆2728億円と過去最高を記録した。総務省は「納税者が寄付先を選べる」「応援したい地域の力になれる」「自治体が取り組みをアピールできる」の三つの意義を掲げている。
ふるさと納税の寄付先の自治体から届く「返礼品」が、この制度の大きな魅力だ。肉や米などの食品、酒やスイーツなどの加工食品、宿泊券や食事券などのサービスと各種あり、ご当地自慢の様相を呈している。
寄付額のうち2000円を超える部分が税金から控除される。言い換えると、自己負担2000円で、返礼品(寄付金の3割相当)をもらえることになる。税金を前払いする形なので節税にはならないが、自分で寄付先を選んで、2000円でさまざまな返礼品をもらえるメリットは大きい。
【 ふるさと納税の注意点は? 】
注意点が二つある。まず寄付金控除を受けるためには原則、確定申告が必要だ。例外として「寄付先の自治体数が5団体以内」「給与所得者」などの条件を満たせば、寄付先への申請書・本人確認書類の提出ですむ「ワンストップ特例制度」が利用でき、確定申告は不要になる。
また、控除金額の年間上限は、ふるさと納税を行う本人の給与収入と家族構成で変わるため、寄付金額を選ぶ前に上限を調べる必要がある。計算シミュレーションは、総務省のホームページや、「さとふる」「ふるなび」「楽天ふるさと納税」などのポータルサイト(仲介サイト)を参照。例えば、年収500万円で独身または共働き夫婦の人は6万1000円が寄付額の上限の目安になり、これを超える部分は控除されず自己負担になる。

【 10月1日の変更点は? 】
自治体にとっては多くの人に寄付先に選んでもらうために返礼品の存在が大きく、これまで返礼品競争がたびたび起きてきた。過去にはアマゾンギフト券や旅行券を返礼品にする自治体も現れ、総務省は制度の趣旨にそぐわないとして、返礼品を寄付額の3割以下(経費を入れた総額は5割以下)にする、地場産品に限定するなどの追加ルールを定めてきた。
25年10月1日からは「寄附に伴いポイント等の付与を行う者を通じた募集を禁止すること」という新ルールにより、各種ポータルサイトでのポイント付与が禁止される。多くのポータルサイトは独自のポイント還元を行い、他サイトとの差別化を図ってきたが、それによる競争が問題視された形だ。賛成するサイトがある一方で、楽天グループは国に対し無効確認を求める訴訟を起こしている。
利用者にとってもポイント付与のメリットは大きく、変更前日の9月30日までの駆け込みの申し込みが予想される。また、ポイントの寄付金への充当を予告するポータルサイトもあり、今後、この動きが拡大する可能性もある。
※記載内容はすべて掲載時のデータです。
(出典:旅行読売2025年10月号)
(Web掲載:2025年10月31日)

 
												
											 
												
											 
												
											
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