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現地消費型ふるさと納税「テツふる」で復興支援。のと鉄道社長が語る地域への思い<石川:穴水町>

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  • 国内
  • > 北陸・中部・信越
  • > 石川県
> 穴水町
現地消費型ふるさと納税「テツふる」で復興支援。のと鉄道社長が語る地域への思い<石川:穴水町>

のと鉄(写真/ピクスタ)

震災の復興支援に鉄道乗車能登の山海の幸も楽しみ

2024年の元日に発生した能登半島地震は、能登半島とその周辺部に甚大な被害をもたらした。のと鉄道も大きな被害を受けたが、沿線住民たちの重要な足として、約3か月後に全面再開を果たした。

現在も復興作業が続く能登半島。半島中部に位置する穴水町では、「行って応援!乗って応援!現地消費型ふるさと納税」を掲げ、テツふる・地域デジタル商品券を発行している(2025年のポケモン列車「運転体験」の商品券は終了。次回は未定)。

返礼品のデジタル商品券は1500円~1万2000円(寄付額5000円~4万円)の範囲で4種あり、穴水駅に隣接する「穴水町物産館 四季彩々(しきさいさい)」の買い物で利用できる。地元のかぶと味噌を使った「なあげそうけせんべい」540円、穴水湾でとれるカキで作った「牡蠣(かき)のソーセージ」2160円、黒柿やタモといった木と牛革を組み合わせた「長財布」2万6400円などの人気商品が並ぶ。

なお、返礼品のない1000円、3000円、1万円の災害支援活動の寄付金も受け付けている。

穴水町物産館 四季彩[穴水町]

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(左)なあげそうけせんべい(中)牡蠣のソーセージ(右)木と牛革を組み合わせた「長財布」

穴水駅隣接の物産館で「道の駅あなみず」を兼ねている。能登の海産物や菓子類、能登島ガラスや輪島塗などの土産品をそろえ、のと鉄道グッズも販売。穴水産のワインと昔からの能登の甘味・米飴(こめあめ)を使った「能登ワイン米あめソフトクリーム」450円は、子どもにも人気がある。
■9時~17時30分/無休/のと鉄道穴水駅から徒歩すぐ/TEL:0768-52-3333

穴水町は美しい風景のリアス海岸が延び、海の幸が豊富。能登の冬の味覚であるカキやナマコで知られる「食」の町だ。春夏秋冬、季節ごとに旬の食材を味わう「まいもんまつり」も開催される(「まいもん」は「うまいもの」の方言)。「テツふる」を使い、のと鉄道の旅や穴水町の食と観光を楽しみながら、復興・復旧を支援しよう。

文/荒井浩幸

のと鉄道[穴水町]

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JR七尾線の七尾駅から穴水駅までの33.1キロを約40分で結ぶ。七尾湾沿いを縫うように走り、車窓からは世界農業遺産に認定の「能登の里山里海」の風景が素晴らしい。“能登さくら駅”と称される能登鹿島駅のホームの桜並木は有名で、開花シーズンには多くの花見客が訪れる。穴水駅では書や絵を職員がすべて自作した鉄印(300円)を販売している。10月と11月には「震災語り部観光列車」の個人乗車を募集予定。
問い合わせ/TEL:0768-52-4422

寄付額
5000円、1万円、2万円、4万円
有効期間: 寄付手続きの決済完了から1年間 
発送: スマートフォンで手続きし、その場で取得
問い合わせ:穴水町観光交流課/TEL:0768-52-3671

テツふる説明.jpg

のと鉄道社長が語る穴水町への思い

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令和6年元日、能登を大きな地震が襲いました。あの日、列車が走らなくなった線路に、誰よりも先に立ったのは、作業着姿の仲間たちでした。泥に埋もれたバラスト(線路に敷かれた石)を黙々と掘り起こし、曲がったレールを見つめながら「またここを走らせよう」と、誰ともなく声がこぼれました。地域のために、誰かのために―その一心だけが、私たちを動かしていました。

4月6日の再開初日。列車が姿を現すと、道端で手を振る人たちがいました。高台からずっと見守ってくれていた方もいました。泣いている人がいました。誰もがこの瞬間を、それぞれの思いで迎えていたのです。

再開後は、私たちにできることは何かを考え、震災語り部列車やポケモン列車を通じて、地域と訪れる方々の心をつなぐ運行を続けています。震災語り部列車では、沿線に残る爪痕(つめあと)や復旧の現場を窓越しに見ながら、語り部の言葉に静かに耳を傾けるお客様の姿がありました。ポケモン列車に乗った子どもたちが見せる笑顔は、私たちにとってかけがえのない光景です。

のと鉄道の本社がある穴水町は、今も解体や再建の工事が続き、震災の痕跡が日々の暮らしの中にあります。それでも、変わらぬ里山と里海の風景と、確かに続く人の営みが、この町の時間をしっかりとつないでいます。

私たちは、この町の歩みを見つめながら、少しでも多くの方に能登と穴水町の今を知っていただけるよう、ふるさと納税「テツふる」に取り組んでいます。ポケモン列車の運転体験をはじめ、鉄道と人の距離が近い能登ならではの返礼品をご用意しています。華やかさはなくとも、手をかけ、人を思い、つなぎ続けてきた鉄路があります。どうか、時をつないだこの線路に、あなたの思いも重ねてください。

のと鉄道 代表取締役社長 中田哲也


※記載内容はすべて掲載時のデータです。

(出典:旅行読売2025年10月号)
(Web掲載:2025年9月11日)


Writer

荒井浩幸 さん

1970年、埼玉県生まれ。旅に関することならジャンルを問わず、オールマイティにこなす、旅行ライター。食欲旺盛で、その「実力?」は特に味の店の連続取材の時にいかんなく発揮される! そして、昼はコーヒーを味わい、夜はお酒をたしなむ。旅とともに国内の民俗に関心をもち、研究もしている。

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