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【旅行読売 創刊60周年記念 特別インタビュー】鳥取県 平井伸治 知事

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【旅行読売 創刊60周年記念 特別インタビュー】鳥取県 平井伸治 知事

「鳥取に泊まっておいしいカニを堪能してほしいです」と平井知事

旅行読売は創刊60周年を記念し、各界のリーダーへのインタビューを随時、実施します。第1弾は鳥取県の平井伸治知事が登場。アフター万博の観光誘客や「蟹取(かにとり)県」「星取(ほしとり)県」「食パラダイス鳥取県」など、独自のPR術について、ユーモアたっぷりに語ってもらいました。  [聞き手/山脇幸二]

砂で友好! アフター万博は鳥取に“ウェルカニ”🦀

--2025年の大阪・関西万博は予想を上回る盛況でした。鳥取県も関西パビリオンに「鳥取県ゾーン」を開設するなど積極的に取り組んでいましたが、成果はどうでしたか?

鳥取砂丘から運んだ10トンの砂を敷き詰め、鳥取の魅力を探してもらう「鳥取無限砂丘」という企画を実施しました。鳥取県ゾーンや県主催のイベントなどで県の人口(約52万5000人)を上回る計58万3000人を集めました。まさに押すな(お砂)、押すなのにぎわいでした(笑)。来場者にアンケートを取ったところ、鳥取県ゾーンに満足と答えた方がほぼ100%、鳥取に行ってみたいと答えた方が95%くらいでした。鳥取の魅力を発信したことで、万博期間中も来県する観光客を増やすことができました。万博をきっかけに鳥取県に対する認識が変わって、「鳥取砂丘に行ってみたい」「『名探偵コナン』『ゲゲゲの鬼太郎』『遥かな町へ』など名作漫画ゆかりの地を訪ねて、“まんが王国とっとり”を体感したい」、そういった旅行需要を喚起することができたと思います。

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山陰有数の景勝地・鳥取砂丘。風が吹くとあらわれる波のような「風紋」が幻想的 (写真提供/鳥取県)

--アフター万博にも力を入れていますね。

開幕後に、同じように砂を使ったパビリオンを出展していたヨルダンなど7か国・地域に声をかけて「サンド・アライアンス(砂同盟)」を結びました。万博は国際交流の場という本来の趣旨に合ったんだと思います。各パビリオンを巡ってスタンプを集める「砂ンプラリー」を実施し、大変好評をいただきました。

万博閉幕後も「アフター万博砂ンプラリー」を2026年3月末まで鳥取県内で実施しています。ヨルダン館に展示していた「ワディ・ラム」の赤い砂を引き取り、鳥取市の鳥取砂丘こどもの国や境港市の夢みなとタワーに展示して鳥取砂丘の砂と見比べたり、触ったりして体験してもらえるようにします。

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「砂」が縁で友好を深める鳥取県とヨルダン (写真提供/鳥取県)

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左が鳥取砂丘の砂、右がヨルダンの「ワディ・ラム」の赤い砂

--鳥取砂丘でもイベントを開催していました。

万博の公式キャラクター・ミャクミャクを招いて、「鳥取砂丘ハロウィンパーティー」というイベントを企画しました。ミャクミャクも鳥取の砂と同じように開幕してからどんどんファンが増えて行って、砂丘に来てもらえばありがたいということで打診してみたら、脈がありまして(笑)。鳥取県は「サンド・アライアンス」などのさまざまな取り組みで万博を盛り上げたことを評価していただけたからだと思います。都会ではハロウィンは繁華街に人が集まりすぎて大変ですが、砂丘なら大丈夫というわけで、約2800人の参加がありました。万博の各国の衣装を身に着けて仮装して楽しんでいただきました。

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松葉がにの季節が到来🦀

--11月6日にはズワイガニ漁が解禁され、鳥取県は松葉がに観光のシーズンを迎えています。

鳥取県のカニの水揚げ量は日本一です。その事実はあまり知られていないので、この季節は「蟹取県」と改名して「ウェルカニキャンペーン」を展開しています。冬場の日本海側は雪があるので旅行シーズンとしては閑散期に入るのですが、それをひっくり返そうということで、ここ10年ほど、カニのキャンペーンをやっています。

実は鳥取はカニの消費量も日本一です。冬の味覚の王者・松葉がにやベニズワイガニ、値段がリーズナブルな親がに(松葉がにのメス)などが食べられています。そんな鳥取のおいしいカニをたくさんの方に食べてもらおうと、県内の温泉旅館やホテルなど対象施設にお泊まりいただくと、毎月100名様にカニが当たるというキャンペーンを2026年2月末まで実施しています。お隣の島根県は神々の国ですが、鳥取県は困った時のカニ頼みなので(笑)。

--おすすめのカニ料理や食べ方はありますか?

寒い季節には、カニすきがいいですね。だしで煮込んだカニのおいしさもさることながら、だしとカニのうま味が染み込んだ白菜は、格別のおいしさです。

鳥取に来ていただけたら、刺し身がおすすめです。鮮度が勝負!これは都会では食べられません。甘味があり、プリプリした食感でとてもおいしいです。焼きガニのファンもいます。シンプルに足を焼いてかぶりつくんですが、こうした食べ方は新鮮だからこそおいしいのです。ぜひ本場のカニを味わいに鳥取に来ていただきたいです。

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県内の宿泊施設、食事処で味わえる松葉がに料理。カニすき(イメージ) (写真提供/鳥取県)

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松葉がに刺身(イメージ) (写真提供/鳥取県)

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温泉も鳥取旅の楽しみの一つ(写真提供/はわい温泉・千年亭)

--世界的に温暖化が問題になっていますが、カニの漁獲量確保のため、どんな取り組みをしていますか?

鳥取県では日本海の沖合に養殖場「カニ牧場」を設けています。カニがとれないようにというのも変なんですが、ズワイガニが底引き網に入らないようにコンクリートブロックを置くんです。そのブロックの中のカニはとれないので、そこからはみ出してきたカニをとるようにしています。そうすると順調に数が増えるんですね。さらに漁業関係者の漁獲量の自主規制により、資源保護を進めています。

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星取県、サイクリング、鉄道も

--カニ以外にもさまざまな仕掛けをされていますね。

ぜひ鳥取に宿泊してほしいということで、「星取県」を考えました。県で星空保全条例を作り、保全地域を指定して明るさを制限しました。環境省の調査では、全市町村で天の川が見られる県は珍しいそうです。

鳥取市佐治町にさじアストロパークという天文台があり、この観測所が全国で一番よく星が見えると認定されたこともあります。ぜひ泊まりがけできれいな星を見に来ていただきたいと思います。

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鳥取砂丘の星空。まさに降るような星を望む (写真提供/鳥取県)

--サイクリングも人気がありますね。

県西部、白砂青松の弓ヶ浜海岸にある初心者向けの自転車歩行者専用道路から、大山(だいせん)や日本海を眺めながら兵庫県境に至る「鳥取うみなみロード」を整備しました。ナショナルサイクルルートの指定を目指しています。全長152キロ、「行こう日本海(152)」です。また2025年4月から、鳥取うみなみロードと並行して走る山陰本線(鳥取駅~米子駅のうちの22駅で利用可)で、自転車を列車に載せることができる「鳥取うみなみサイクルトレイン」を運行しています。

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美しい日本海を眺めながら、爽快にサイクリング(写真提供/鳥取県)

--鉄道にも根強いファンがいます。

ノスタルジックな駅舎が残る山陰本線や因美線、伯備線、転車台や橋梁など鉄道遺産の宝庫・若桜(わかさ)鉄道も人気です。鳥取県独自の駅印「鳥鐵(とりてつ)印」を集める「鳥鐵旅」もおすすめです。智頭(ちず)急行の恋山形という無人駅は、駅舎やホームをピンク色に染めたところ、賛否両論ありましたが、有名になったので結果オーライ(笑)。いまや恋人の聖地として知られるようになりました。

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若桜鉄道は、関連施設23施設が国の登録有形文化財

ーーインバウンド観光で動きはありますか?

2025年12月23日から韓国のエアソウルの米子鬼太郎空港とソウルを結ぶ便がデイリー運航になりました。台湾や南の国の方たちには雪の大山が魅力的ということで、スキー場などを積極的に売り込んでいます。境港や鳥取港は朝鮮半島に近く、クルーズ船が多く立ち寄ります。また、『名探偵コナン』や『ゲゲゲの鬼太郎』など「まんが王国とっとり」目当ての海外からの観光客も増えています。

鳥取県は、カニや鳥取和牛、フルーツ、野菜などおいしいものが満載です。まさに「食パラダイス鳥取県」。ぜひ鳥取を旅してたくさんの魅力を見つけてください。

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鳥取県の旅情報は鳥取県観光連盟ホームページ「とっとり旅」で。詳しくは👉こちら

協力:鳥取県東京本部

※記載内容はすべて掲載時のデータです。

(本記事は、「旅行読売」2026年2月号を再編集しています)
(Web掲載:2025年12月27日)

◆鳥取県など中国旅行・ツアーは👉こちら

Writer

山脇幸二 さん

2022年6月に編集部に着任し、8月から編集長。読売新聞の記者時代は27年にわたって運動部でスポーツ取材に明け暮れた。一時は月の半分近くが出張という生活で、旅行しながら仕事しているような状態だった。今やその旅行が仕事になろうとは…。趣味はロック鑑賞で、ライブやフェスに通うことで身も心も若さを保とうと悪あがきする。矢沢永吉さんを尊敬し、ともに歳を重ねていける幸せをかみしめる日々。

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