【いま、会える昭和】鉄道遺産の宝庫・若桜鉄道で懐かしき昭和へタイムトリップ

青い車体の「昭和号」が、のどかな田園地帯をガタゴト走る
23の施設が国の登録有形文化財「若桜鉄道」
木造駅舎に石積みのプラットホームなど、1930(昭和5)年の開業前後に造られた23の施設が国の登録有形文化財になっている若桜鉄道。ノスタルジックな鉄道に乗り、昭和の名残を探訪する旅に出た。
若桜鉄道はJR因美線と接続する郡家(こおげ)駅から若桜駅までの19.2キロを結ぶ。郡家駅から乗車した「昭和号」は2018年にデビュー。イスや床などに木をふんだんに使い、昔の客車を彷彿(ほうふつ)とさせる内装が、レトロ旅の気分を盛り上げてくれる。

年季の入った木製ベンチが置かれた因幡(いなば)船岡駅の待合室は、レトロな雰囲気が色濃く漂う。次の隼(はやぶさ)駅も開業当時の駅舎が残る。映画「男はつらいよ 寅次郎の告白」(1991年)のロケ地となった安部駅の改札口や駅窓口も造られた当時のままで、時が止まっているかのようだ。




「ワフ35597」と書かれた車掌車が留め置かれた八東(はっとう)駅、ホーム庇(ひさし)の柱に米カーネギー社製のレールが使われる丹比(たんび)駅など、車窓を流れる昭和レトロな風景に酔いしれていると、やがて若桜駅が見えてきた。


ホームに掲げられたブリキの駅名表示板、赤いトタン屋根に下見板張りの外壁を持つ駅舎、SLの給水塔に、今も動くSLが展示されるなど、昭和初期の駅に降り立った気分だ。「駅舎、転車台、SL、給水塔など、残された昭和の財産を大切に保存・管理していきたい」と、代表取締役専務兼総務部長の矢部雅彦さん。



若桜の街も昭和の風情が感じられる。仮屋通りにある「昭和おもちゃ館」には昔のお菓子やおもちゃが所狭しと並び、昭和の駄菓子屋さながら。自分が本当に昭和にいるのでは? そんな錯覚をするほど、懐かしさで心が満たされた。
文/越 信行 写真/宮川 透
📝立ち寄りたい若桜駅近くの施設
わかさカフェretro

若桜駅舎内に併設されたカフェで、列車を見ながらこだわりのコーヒーやメロンソーダなど懐かしの喫茶メニューが楽しめる。
■9時~17時30分/火曜休/若桜駅駅舎内/若桜町若桜345-2/TEL:070-4740-560
※ウェブサイトはこちら
昭和おもちゃ館

