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【北海道の手しごと】見て、触れて知る、旭川家具の温もりと機能美(2)

場所
> 旭川市
【北海道の手しごと】見て、触れて知る、旭川家具の温もりと機能美(2)

小助川泰介さんが代表を務める「アイスプロジェクト」の「旭川デザインセンタ―」内のブース

地域の活性化、循環の一翼も担う家具づくりを目指す「アイスプロジェクト」

【北海道の手しごと】見て、触れて知る、旭川家具の温もりと機能美(1)より続く

高い技術力と国際的にも評価される美しく機能的なデザイン力で注目される旭川家具。その伝統と魅力を丁寧な手仕事で守り続けるメーカーのひとつが、北海道東川町に工房を構える「アイスプロジェクト」だ。代表の小助川泰介さんに話を聞いた。

家具職人になりたくて旭川に移住した小助川さんがアイスプロジェクトを設立したのは2012年。「使い捨てない、長く愛す」をテーマにした「愛すプロジェクト」がその名の由来だ。それまで家具職人として働いてきた小助川さんは、「住宅展示場などの家具を作っていたこともありますが、展示期間が終わるとすぐに壊してしまう。それは環境にとって大きな負荷となっているのではないかと気付きました。環境に負荷をかけることはやりたくない。使い捨てられることなく、ずっと使い続けてもらえる家具を作りたい。それが動機でした」と話す。そして、「北海道には良質な木材がたくさんある。それぞれの地域で育った木材を使った家具を、その地域の人に使ってもらいたい」と続ける。これも地産地消の一つの形であろう。それにより、「地域の循環を生み、森を育てることにもつながる」と小助川さんは考えている。

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旭川家具を、北海道を、旭川を愛する「アイスプロジェクト」代表・小助川泰介さん

家具を支える森の保全、次世代の担い手育成にも取り組む

小助川さんは、「自然、技術、デザイン」を旭川家具の3要素と定義する。「自然」においては森の現状を知る研究会を開催し、植林・伐採活動に取り組み、森林保全活動を推進している。「技術・デザイン」においては家具職人養成研究会や家具作り研究会活動を開いて技術の向上を支援。さらには幼稚園、小・中学校、高校などで木工教室を開催し、体験を通して子どもたちにも作ることの面白さを知ってもらおうと願っている。「小さなメーカーでも地域を盛り上げることはできる」と信じる小助川さんの実行力はたくましい。

話をうかがったのは、「旭川デザインセンター」内のアイスプロジェクトの展示ブース。壁際には無垢材が何枚も立てかけてあった。この中から気に入った一枚を選び、テーブルなどに加工して販売してもらえる。すでに加工済みの製品も並んでいた。繰り返しになるが、木目がいとおしい。「森で育つ木は数十年、場合によっては数百年という時間をかけて大きくなる。それを木材として長い時間をかけて乾燥させ加工することで家具として生まれ変わるのです」と小助川さん。そんな話を聞くと、いとおしさが尊さに昇華する。シンプルで飽きのこない旭川家具のデザインには、そんな自然の尊さへの敬意が現れているように思えてきた。

帰り際、ショップで土産を探していたら、アイスプロジェクトの製品ですと、木製の「WOOD Marker」を勧めてくれた。これまた木目がきれいな「しおり」である。素材はミズナラ。これまで家具や小物に使われてこなかった木材も製品に活用しているとのこと。高価なテーブルやイスは将来の夢として、しばしこのしおりで、旭川家具との出会いを忘れずにいようと決意した。

ちなみに、旭川駅構内には旭川家具を用いたラウンジがある。宿泊施設のOMO7 旭川 by 星野リゾートのラウンジやカフェではさまざまなメーカーの旭川家具が使われている。旭川を旅する機会があるなら、「家具」という言葉を少しでも思い出していただけるとありがたい。

文/渡辺貴由 写真/齋藤雄輝

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加工前の無垢材(奥)と加工済みの製品。当然のことながら、木目は二つとして同じものはない

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ミズナラを使った「しおり」。「HAVE A WOOD DAY」の文字がしゃれている


■旭川デザインセンター

営業:10時~17時/祝日を除く火曜休、年末年始休
料金:入館無料
交通:旭川駅からバス24分、永山2条10丁目下車すぐ。旭川駅から車で15分、旭川空港から車で35
住所:北海道旭川市永山210-1-35
TEL:0166-48-4135

(Web掲載:2026年1月13日)


Writer

渡辺貴由 さん

栃木県栃木市生まれ。旅行情報誌制作に30年近く携わり、全国各地を取材。プライベートではスケジュールに従った「旅行」より、行き当たりばったりの「旅」が好き。温泉が好きだが、硫黄泉が苦手なのが玉に瑕(きず)。自宅では愛犬チワワに癒やされる日々。

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