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【この工場がすごい】モノづくりの街、三条市と燕市で、職人の心意気を実感(1)

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  • 国内
  • > 北陸・中部・信越
  • > 新潟県
> 燕市、三条市
【この工場がすごい】モノづくりの街、三条市と燕市で、職人の心意気を実感(1)

SUWADA OPEN FACTORYの見学通路。右側には社の歴史が分かる展示も

 

SUWADAの工場で熟練職人の作業に見入る

新潟県のほぼ中央に位置する三条市と燕市は、古くからものづくりの街として知られる。今も作業工具や刃物、金属加工の洋食器などを製造する工場が、大小合わせて2000軒前後もあり、その技術は国内外で高く評価されている。作業を見学できる「オープンファクトリー」の取り組みを行う企業も増えていると聞き、出かけてみた。

まずは、上越新幹線燕三条駅から車で10 分ほどのFACTORY FRONT(ファクトリーフロント) を訪ねた。新たな定番品を集めた生活雑貨のセレクトショップだが、オープンファクトリーの情報提供なども行っている。

「工場の街のフロントマンとして、ものづくりの素晴らしさに触れてもらえたらと思います」と店長の北澤嘉奈恵さん。店内には「燕三条ファクトリーマップ」やパンフレットなども置かれている。

SUWADA OPEN FACTORY。2 階にはショップやカフェもある
SUWADAのつめ切り

さっそくSUWADA OPEN FACTORYに向かった。1926年創業の同社は、現在はつめ切りや盆栽用のハサミなどを製造。つめ切りは1本7000円前後だが、生産が追いつかないほどの人気だという。

工場ではつめ切りの形に組み合わせる「部品加工」、美しい形状に整える「研磨・研削」、左右の刃を閉じる「合刃(あいば)」などの作業が行われる。ガラス越しに見学できるように通路が設けられ、所々にある案内パネルに分かりやすく作業内容が解説されている。いずれも手作業だが、測定器具などは使わず、熟練職人の経験と勘で行うとのこと。立ち止まってひとりひとりの作業にじっと見入った。

研磨・研削工程では火花が飛び散ること も

「つめ切りの中でも高額の部類なので、なぜその価格帯になるのか、工場を見てもらうことで、製品の価値を伝えられればと思って始めたんです」

営業部の齋藤類さんはそう話す。材料にもこだわり、部品加工の前に別棟で原料の棒材を高熱で熱して叩く「鍛造」という作業を行う。その過程で、つめ切りの材料に適する中心部の3割のみをくり抜き、残りは回収して他社で再利用される。この材料をくり抜いたあとの廃材を集め、オブジェや照明にして廊下やショップに飾っている。技術だけでなく、自社のものづくりの思いやストーリーそのものを見せたいという思いからだ。

文/高崎真規子 写真/阪口 克

 

【この工場がすごい】モノづくりの街、三条市と燕市で、職人の心意気を実感(2)へ続く


SUWADA OPEN FACTORY

住所:新潟県三条市高安寺1332
TEL:0256-45-6111

見学:火曜~土曜の10時10分~17時(12時10分~13時、15時~15時10分は作業休憩。年末年始は休業 ※掲載時の時間)
料金:無料
予約:不要
交通:上越新幹線燕三条駅からタクシー20分/北陸道栄スマートICから7キロ

(出典:旅行読売2022年9月号)

(Web掲載:2022年12月23日)

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Writer

高崎真規子 さん

昭和の東京生まれ。80年代後半からフリーライターに。2015年「旅行読売」の編集部に参加。ひとり旅が好きで、旅先では必ずその街の繁華街をそぞろ歩き、風通しのいい店を物色。地の肴で地の酒を飲むのが至福のとき。本誌連載では、大宅賞作家橋本克彦が歌の舞台を訪ねる「あの歌この街」、100万部を超える人気シリーズ『本所おけら長屋』の著者が東京の街を歩く「畠山健二の東京回顧録」を担当。著書に『少女たちはなぜHを急ぐのか』『少女たちの性はなぜ空虚になったか』など。

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