【この工場がすごい】「カルピス」みらいのミュージアム
ピースボトルのオブジェ。2か所あるのぞき穴から中を覗くと、歴代容器などの映像が見られる
日本初の乳酸菌飲料 製造工程を見て嗅いで知る
子どもの頃、カルピスRがお中元で届くのがうれしかった。冷水を注ぎ、やや濃いめに作った1杯は、ささやかな夏のぜいたくだった。
そんな昔の記憶を思い出しながら、群馬県館林市のアサヒ飲料群馬工場へ向かった。「カルピス」誕生100周年を記念し、2019年10月にオープンした「カルピス」みらいのミュージアムを見学するためだ。
館内に入ると、高さ4㍍の真っ白いピースボトルのオブジェがお出迎え。エントランスの空間は青と白の2色で彩られ、施設名の「未来」をどことなく連想させる。
見学ツアーは、「はじまりのへや」で、アニメーションを見ることから始まる。大阪府の寺に生まれた三島海雲(かいうん)が、内モンゴル(現・中国内モンゴル自治区)で遊牧民の飲み物である酸乳(乳酸菌で発酵させた家畜の乳)と出合い、それをヒントに日本初の乳酸菌飲料「カルピス」を開発したことが紹介される。ちなみにアサヒ飲料によれば、「カルピス」とは、カルシウムと「サルピス」(〝最上の味〟を意味するサンスクリット語)の合成語だという。
次に1919年に誕生してから今日に至る「カルピス」の容器、パッケージ、広告などを紹介するギャラリーを見学。脱脂粉乳に「カルピス」菌が加えられ、1次発酵、2次発酵を経て「カルピス」になる製造工程もプロジェクションマッピングで見ることができた。
そして、「発酵のへや」へ。ここでは、発酵の過程を映像で見られるのだが、1次発酵で「上質な酸味」と「カルピス酸乳」ができること、2次発酵で芳醇な香りが生まれることを知る。そして映像とともに「カルピス」の香りが漂ってくる仕掛けもあって、大人でも楽しめること請け合いだ。
最後に、「カルピスウォーター」などペットボトル製品の製造ラインを見学。子どもの頃に飲んだ、あのぜいたくな濃いめの1杯を思い出しながら。
【施設データ】
日時:毎日10時~、13時~、15時~(不定休)
料金:無料
交通: 東武伊勢崎線館林駅からタクシー10分、または東武佐野線渡瀬駅から徒歩15分/東北道館林ICから7㌔
住所:館林市大新田町166
【見学ツアー予約方法】
受付:電話かインターネットで予約(完全予約制)
人数:1人~20人
(WEB掲載:2022年7月30日)