【この工場がすごい】JR九州の車両工場で鉄道体験 小倉工場鉄道ランド(1)
小倉鉄道ランド2階は元体育館。工場職員の手でリノベーションされた
歴史ある車両工場で水戸岡ワールドを満喫
2022年4月、日本の鉄道開業150年を記念して、JR九州小倉総合車両センター内に「小倉工場鉄道ランド」が開設された。
小倉総合車両センターは、明治時代の1891年創立。100年以上にわたり、JR九州の在来線を走る車両の製造・改造・検査・修繕を担ってきた歴史ある車両工場だ。あの「ななつ星」もここで造られたという。
その約16万平方メートルという広大な敷地の一角にある建物を改装し、JR九州の多くの名車両をデザインしてきた水戸岡鋭治氏監修のミュージアムとして、オープンしたのだ。館内には小倉工場の歴史や水戸岡氏の作品などを展示している。
入場は専用の団体ツアーの申し込み者限定。博多駅から「かわせみ やませみ」などを連結した専用列車と貸切バスで往復(西小倉駅発着もあり)、現地には3時間ほど滞在できる。22年4月〜6月に8回実施したが、全日程が満席となるほどの人気だ。
今回は特別に、ツアーの一部を体験させてもらった。まず、以前は体育館だったという「小倉工場鉄道ランド」2階へ。天井が高く、広々としたフロアの一角には、九州新幹線や水戸岡氏が試作したさまざまな観光列車の座席を展示、座ることもできる。工場の歴史や個性豊かな車両などを解説するパネルも並ぶ。同氏がデザインした子ども用の遊具も点在している。それらの周囲を一周するのはミニトレイン。子どもたちに大人気だそうだ。
ステージではオークションも開催される。この工場では古い車両の解体も行っており、その過程で残しておいた計器類などの部品が出品されるのだとか。思わぬお宝をゲットできるかもしれない。
さらに奥の「ドーンデザイン研究室」には、水戸岡氏の仕事場が再現され、鉄道デザインを体験できる本や資料などが置かれている。興味深かったのは、さまざまな試作品のパーツ類。これはどこのパーツだろう?と想像するのは楽しく、新車両を造り上げる苦労も垣間見えた気がした。
時間制だが、外の展示車両も開放され、出入りできる。国鉄カラーのレトロな車両は、2015年に引退した485系。眺めているだけでも懐かしいが、なんと運転席にも入れる上、制服、制帽まで貸してくれる。狭い運転席に座り、レバーを握れば、気分は幼い頃に憧れた運転士! 思わず長居する大人が多いという話にもうなずける。
文/茂島信一 写真/森田公司
【この工場がすごい】JR九州の車両工場で鉄道体験 小倉工場鉄道ランド(2)へ続く
■見学コース(約3時間)
【小倉工場鉄道ランド】
ミュージアム内の見学は自由。1階には鉄道KKショップ、つばめ食堂もある
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【展示車両】
ミュージアムの向かいに485系車両を展示し、時間制で開放。開放時は運転席にも入れる
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【見学プログラム】
小倉総合車両センター内の施設や整備途中の車両を見学する特別ツアー(班ごとに時間指定)
TEL:092-482-1489(JR九州トラベルデスク、問い合わせのみ)
【予約方法】
受付:インターネットの専用サイト「JR九州トラベルデスクSTORES」でのみ受付
人数:各日1人〜120人(3歳未満の子どもも大人1人につき2人まで無料で参加できる)
(出典:旅行読売2022年9月号)
(Web掲載:2023年9月15日)