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【東北の春を見つけに】復興への道のりを列車でたどり、防災の大切さを改めて意識する 三陸鉄道震災学習列車(1)

場所
> 釜石市、宮古市
【東北の春を見つけに】復興への道のりを列車でたどり、防災の大切さを改めて意識する 三陸鉄道震災学習列車(1)

パネルを使って震災前や震災当時の様子などを説明する千代川さん。三陸鉄道は1984年開業の南リアス線(盛―釜石駅間)と北リアス線(宮古―久慈駅間)に加えて2019年、山田線の釜石―宮古駅間がJR東日本から移管され、三陸鉄道リアス線となった

24年度末までに10万5000人が乗車した震災学習列車

三陸鉄道リアス線は盛(さかり)― 久慈(くじ)駅間の163キロを結ぶ全国最長の第3セクター鉄道だ。東日本大震災から15年、復興への歩みを肌で感じたいと、鵜住居(うのすいまい)―宮古駅間を1時間15分かけて走る震災学習列車に乗車した。

震災学習列車は震災が発生した2011年の翌年に運行を始め、区間を増やして24年度末までに10万5000人が乗車した。40年ほど使用している車両はどこか懐かしく、線路から伝わる振動が心地よい。

車内では三陸鉄道の社員や地域住民らがガイド役を務め、震災当時の体験談や復興状況などを語る。この日、ガイドをしてくれた千代川らんさんも三陸鉄道社員で、山田町出身。震災当時は小学生だった。

鵜住居駅を出た列車は、まもなく大槌(おおつち)駅へ。千代川さんが掲げるパネルには、海岸近くまで民家や水産加工場が立ち並んでいた震災前の大槌町と、積み上がった瓦礫(がれき)も目立つ震災後の様子が並んで写っていた。

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2019年のラグビーワールドカップ日本大会の会場となったスタジアム近くの鵜住居駅を出発

車窓から外を眺めると、変化した町の姿が目に映る。線路から海側は建築制限のため空き地が目立ち、内陸側に新しい民家が立つ。防潮堤や水門が整備され、海に近い国道は嵩(かさ)上げされて防潮堤の役割も果たす。

浪板海岸は海水浴などで賑(にぎ)わっていた砂浜が津波で流失したが、再生工事が行われたという。山を抜けるトンネルも多く、海と山が近いリアス海岸の地形が体感できた。

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車窓から風光明媚(めいび)な海の風景を楽しめる浪板海岸

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鯨と海の科学館は船越半島の付け根に立つ。震災と19年の台風19号の2度の災害を乗り越えた

山田湾の青い海には養殖施設が浮かんでいるのが見えた。カキやホタテの養殖が盛んな地域だ。山田町の織笠(おりかさ)地区では住宅とともに織笠駅も高台へ移転し、駅を中心とした新たな町づくりが進んでいた。

災害公営住宅の大きな団地が見えてきて、陸中山田駅を通過。山田町の中心部にあるこの駅は、震災による大火で焼失した。千代川さんは津波の後、消火活動がままならなかった記憶が強いそうだ。「自分の経験を織り交ぜながら、お客様に合わせてガイドしています」と語る。

津軽石駅では震災時、定刻より遅れて停車中だった車両が、乗客が避難した後に、津波で脱線した。乗客は近くの小学校からさらに高い場所へ避難し、無事だったという。話を聞くと高台への避難の大切さを実感する。

5.津軽石川水門_8638.jpg
津軽石川河口近くの水門。津波は宮古湾から線路と並行して流れる津軽石川を遡り、津軽石駅に停車中の車両が脱線した

津波で一部が流された閉伊川(へいがわ)の橋梁(きょうりょう)を渡り、終点の宮古駅に到着。「海と共に暮らし、震災を乗り越え進んできた私たちの町を見てほしいです」と千代川さん。ガイド5年目を迎え、震災を語り継ぐ後輩の育成にも力を入れている。

6.閉伊川橋梁8721.jpg
宮古市中心部に近い閉伊川の河口周辺は津波で大きな被害を受け、第34閉伊川橋梁も一部が流された

7.宮古駅_8727.jpg
宮古駅に近づくと、18年完成の宮古市役所などが入るイーストピアみやこが見えてくる

文/堀内志保 写真/堀内 孝ほか

【東北の春を見つけに】復興への道のりを列車でたどり、防災の大切さを改めて意識する 三陸鉄道震災学習列車(2)へ続く


【モデルコース】

鵜住居駅
 ↓ 震災学習列車1時間15分
宮古駅
 ↓ 三陸鉄道リアス線20分
新田老駅
 ↓ 徒歩8分
善助屋食堂
 ↓ 徒歩6分
宮古市災害資料伝承館
 ↓ 徒歩12分
田老防潮堤
 ↓ 徒歩13分 
津波遺構たろう観光ホテル
 ↓ 徒歩18分
渚亭たろう庵

|ツアー情報|

三陸鉄道震災学習列車

震災の記憶や体験を語り継ごうと、2012年から運行。団体は貸し切りで、田野畑―久慈駅間、鵜住居―宮古駅間、盛―釜石駅間の片道。料金は一般車両5万300円~で要予約。個人参加型もあり、次回は3月1日、8日。宮古―釜石駅間の片道で、料金は3000円、要予約。個人参加型の問い合わせは、TEL:0193-62-2215(三陸鉄道旅客営業部)

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※記載内容は掲載時のデータです。

(出典:旅行読売2026年3月号)
(Web掲載:2026年2月14日)


Writer

堀内志保 さん

埼玉県生まれ。1999年から2年あまり社会人類学の調査でアフリカ大陸の沖に浮かぶマダガスカル島に滞在。『マダガスカルを知るための62章』(明石書店)では、市場と割礼祭の章を担当した。2003年から宮城県に住み、写真家の夫とともに東北各地の自然や歴史、食、温泉、手仕事などに触れ、新聞や雑誌に記事やエッセイを発表している。

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