山海の幸を引き立てる一杯を求めて 旅して出合う「鳥取ワイン」(1)
倉吉ワイナリーのショップではワイン造りにかける今村さんの思いを聞きながらテイスティングもできる。小窓の奥に醸造タンクが見える
築150年の町家で醸す「日本ワイン」
「自分が育てたブドウを使い、自分で醸造したワインを飲む。そんな夢が叶(かな)いました」。そう話すのは今回の旅のスタート、倉吉ワイナリーの代表、今村憲治さんだ。
ワイナリーは日本海に近い鳥取県中部の倉吉市、江戸・明治期の建造物が多く残り、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された倉吉白壁土蔵群にある。京都生まれの今村さんの夢の始まりは、若き日にアメリカを旅した際に目にした牧歌的なワイナリーのたたずまいという。夢を抱き続けた今村さんは、50歳の時に一念発起。会社を辞めて醸造家を目指し、2010年からブドウを栽培。18年から醸造を始めた。
ワイナリー巡りとあわせて、江戸・明治期の面影が残る倉吉白壁土蔵群を散策したい
倉吉にワイナリーを構えた理由は、後述する「砂丘でのブドウ栽培」に活路を見出したこと。そしてアメリカで見たワイナリーとは対照的に、和の風情に満ちた倉吉の町家に巡り合えたこと。築150年の町家は、国産ブドウを100%使い、国内で醸造された「日本ワイン」を造り販売するのに、これ以上ない環境と考えた。
千本格子のすき間から柔らかな光が差し、ショップスペースの奥に醸造タンクが見え隠れするという希少な空間で、鳥取ワイン旅での最初のひと滴(ひずく)を賞味した。

ワイナリーとは思えない古風なたたずまい
柱や梁に歴史を感じる2階のワインバー
砂丘栽培で糖度の高いブドウを
今村さんが使うブドウはすべて、隣接する北栄町の東西10キロに及ぶ北条砂丘で栽培されている。砂丘でブドウ栽培とは意外だ。その理由は第一に、ブドウの糖度を上げるためという。一般的に果物は、水分が多い土地で育てると果樹が吸い上げる水分の量も多くなり瑞々(みずみず)しい実を付けるが、糖度は下がる。対照的に水はけの良い砂地で育てると水分が少ない分、糖度が増し、ワインのアルコール度も高くなる。「アルコール感がしっかりしたワインを造りたかった」という今村さんのプランに合致したのが砂地だった。さらに「日本海の潮の香りも感じられるのではないでしょうか」(今村さん)。

目と鼻の先に日本海が広がるブドウ畑

おすすめの3銘柄。左から小公子(4180円)、実結(みゆ)カベルネ・メルロー(3520円)、伯州甲州(3520円)
当初は自分が飲む分だけを造ることができれば満足と今村さんは考えていたが、徐々に畑は拡大。となると人手も必要になる。幸いなことにこの地域に住むワイン好きの人たちが、剪定(せんてい)や収穫などを手伝ってくれるようになった。
今村さんが「仲間、カンパニー」と呼ぶ助っ人さんは、今や20人にのぼる。化学肥料や除草剤は使わず、刈った草を地面に残して肥料とする「緑肥」で栽培。「仲間」から、新たな醸造家が生まれる可能性もある。「町家」、「砂地」。意外なキーワードに触れ、鳥取ワインを知る旅への期待が高まった。
倉吉ワイナリー〈倉吉市〉
10時~16時。蔵見学可/水・木曜休、ほか不定休あり/山陰線倉吉駅からバス12分、赤瓦・白壁土蔵下車徒歩3分。山陰道はわいICから10キロ/倉吉市西仲町2627/TEL:0858-27-1381

ブドウ栽培を手伝う今村さんの「仲間」たち

ミネラル成分豊かな環境下で糖度の高いブドウが育つ

タンクが並ぶ醸造所。今後は樽熟成にも取り組みたいという
倉吉ワイナリーのワインを味わうならココ!🍷
三朝薬師の湯 万翠楼
高濃度ラドンを含む放射能泉で知られる三朝温泉の宿。3本の自家源泉から湧く湯を大浴場と貸切風呂にかけ流し。旬の鳥取県産食材を活かした料理に定評があり、夕食時には倉吉ワイナリーの赤・白ワインを用意。写真の鳥取和牛ステーキか焼きガニは、会席料理のメインとして選べる。
1泊2食2万4350円~/山陰線倉吉駅から送迎20分(要予約)。山陰道はわいICから15キロ/三朝町山田5/TEL:0858-43-0511

開放感のある露天風呂付きの大浴場「お薬師さま乃湯」

軽やかな口どけの鳥取和牛には赤ワイン「実結カベルネ・メルロー」を ※料理はイメージ

県産のカニや魚介と相性がいい「伯州 シャルドネ」 ※料理はイメージ
食パラダイス鳥取県へGO!
「鳥取和牛」をはじめとしたブランド肉やジビエ、日本海の幸、いまが旬の鳥取県開発のイチゴ「とっておき」などのフルーツ、野菜、乳製品と鳥取県は食材の宝庫。鳥取を旅しながら、鳥取ならではの食を堪能しよう。

豊富な食材や郷土料理、おすすめ店など鳥取県の食情報が満載!公式サイトは👉こちら
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山海の幸を引き立てる一杯を求めて 旅して出合う「鳥取ワイン」(2)へ続く
協力:鳥取県食パラダイス推進課
※記載内容はすべて掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2026年4月号)
(Web掲載:2026年3月5日)
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