【絶景&グルメ 観光列車の旅】華やかな車両と加賀料理で和と美のおもてなしに浸る 七尾線「花嫁のれん」
田園風景の中を走る「花嫁のれん」の赤い車体(写真/JR西日本)
江戸時代末期から伝わる婚礼の習わし「花嫁のれん」
金沢駅と和倉温泉駅の間を走る観光列車「花嫁のれん」。現在は土・日曜を中心に1日1往復、運行されている。花嫁のれんとは江戸時代末期から石川県などに伝わる婚礼の習わし。花嫁の実家で誂(あつら)えたのれんを婚家の仏間に掛け、幸せを願う伝統文化にちなみ、乗客の幸福への願いを込めたネーミングだ。
2両編成の車体には伝統工芸の輪島塗や加賀友禅をイメージしたイラストが描かれ、華やかな印象だ。1号車には八つの半個室があり、部屋ごとに異なる加賀友禅の文様が壁にあしらわれている。2号車にはボックス席のほか、窓に向いたカウンター席がある。内装は伝統的な輪島塗の図柄を表現し、壁や通路の金色にシートの紅色が映える。

半個室に仕切られた1号車車内。通路に日本庭園の飛び石をイメージしたじゅうたんが敷かれている(写真/JR西日本)

金沢駅の専用ホームには花嫁のれんも(写真/JR西日本)
列車は金沢駅の専用ホームを出発し、田んぼと里山ののどかな風景の中を走る。和服姿のアテンダントが、予約しておいた和軽食セット(3800円)を運んできてくれた。200年近い歴史を持つ金沢の高級料亭・大友楼の特製料理だ。2段重ねのお重に、季節の料理が彩り豊かに並ぶ。お品書きを片手に、鯛の唐蒸しや笹すし、すだれ麩(ふ)など伝統食材を使った加賀料理を味わった。

和軽食セットイメージ(写真/JR西日本)
和倉温泉駅から金沢駅に向かう花嫁のれん4号では、生菓子と焼菓子のスイーツセット(2450円)を提供。七尾市出身で、世界的に有名なパティシエ・辻口博啓(ひろのぶ)さんのスイーツ店「ル ミュゼ ドゥ アッシュ」のオリジナルだ。いずれも乗車日4日前までにJR西日本の観光ナビ「tabiwa by WESTER(タビワ バイ ウェスター)」のサイトかアプリで予約する。

スイーツセット3月〜9月の春夏メニュー(写真/JR西日本)
1号車の車内販売コーナーには、能登の地酒やソフトドリンクのほか、車内限定デザインの本金箔(きんぱく)しおりや水引コースターなど旅の記念になる品々も。展示棚に飾られている伝統工芸品を眺めていると、アテンダントが1号車のエントランスに本物の金沢金箔が使われていると教えてくれた。彼らは全員、JR西日本の社員。老舗旅館で接客研修を受けており、笑顔と丁寧な対応が心地良い。列車のコンセプトである「和と美のおもてなし」を実感できる約1時間30分の旅だった。
時間があれば、七尾駅から徒歩8分の花嫁のれん館にも立ち寄りたい。明治時代から平成にかけて作られた花嫁のれんの実物が展示され、花嫁のれんくぐり体験もできる。

花嫁のれん館の館内。再現された仏間にのれんが掛かっている
文/出口由紀
沿線観光
和倉温泉お祭り会館
七尾市で行われる青柏祭(せいはくさい)、能登島向田(こうだ)の火祭、石崎奉燈祭(いっさきほうとうまつり)、お熊甲祭(くまかぶとまつり)の四つの祭りを紹介。高さ約12メートルの「でか山」と呼ばれる青柏祭の曳山(ひきやま)などを展示している。実物大の展示物に加え、巨大スクリーンの映像と音響による祭りの擬似体験もあり、祭り本来の熱気と迫力を臨場感たっぷりに味わえる。
■9時~16時30分/第2・4水曜休/800円/七尾市和倉町2部13-1/七尾線和倉温泉駅からバス4分、お祭り会館前下車すぐ/TEL:0767-62-4332


🚊花嫁のれん🚊
◉運行区間:金沢―和倉温泉(約1時間30分)
◉運行日:土・日曜、9月の連休に1日1往復。10月以降は未定
◉料金:乗車券1410円(金沢―和倉温泉)+指定席特急券1490円
◉予約方法:乗車日の1か月前から、みどりの窓口、JR西日本ネット予約「e5489」、主な旅行会社で販売
◉問い合わせ:JR西日本お客様センター TEL:0570-00-2486
◉時刻表
【1号】金沢11:00発🚋羽咋11:56発🚋七尾12:25発🚋和倉温泉12:31着
【4号】和倉温泉17:07発🚋七尾17:13発🚋羽咋17:35発🚋金沢18:27着
※記載内容は掲載時のデータです。
(出典:旅行読売2026年7月号)
(Web掲載:2026年8月3日)


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