【爽やか!夏の朝旅】京料理の朝御膳と桃山文化のアート 元離宮二条城 二の丸御殿
庭園「清流園」の中に立つ香雲亭。緑に包まれ、爽やかな空気が漂う
通常は非公開の「香雲亭」で実施される特別事業
京都駅から北へ約4キロ向かうと、世界文化遺産の元離宮二条城が現れる。夏の空に、隅櫓(すみやぐら)の白塀がキリリと映えて美しい。二条城は徳川幕府の京都の拠点として家康が築いた平城で、総面積は27万5000平方メートル。京都御所にあった桂宮御殿を移築した「本丸御殿」と、徳川家の象徴、国宝「二の丸御殿」が中心で、江戸時代から現代までの豪壮華麗な建築と三つの名庭園が見どころだ。
そのうち、「清流園」は和洋折衷の作庭が特徴で、京都の豪商・角倉了以(すみのくらりょうい)の屋敷の一部を移築した「香雲亭」が園内に立つ。通常は非公開だが、夏の朝はここで「京のゆば粥(かゆ)御膳」を提供する特別事業が実施される。7月15日〜9月27日の朝9時15分から1時間(入城料別4500円、現金のみ、要予約)。古都の風情あふれる建物で涼やかな京御膳を味わえるとあって、人気を集める。

香雲亭が朝御膳の会場。期間中は清流園を望む仕様に変更される(写真/元離宮二条城事務所)
料理を担当するのは、京都・東山の名店「京料理いそべ」。「自社工房で作る京の生ゆば〝くみあげ湯葉〟をふんだんに使った朝食で、器や食材に趣向を凝らして京都らしさを表現しています。清流園が織りなす景色とともに、ゆったり味わってください」と、同店の原佳伸(よしのぶ)さんが話す。

「京のゆば粥御膳」はメインの献立が月替わり。京都らしい夏の食材のハモや賀茂茄子(なす)、アユを使った逸品。予約は「京料理いそべ」TEL:075-551-1203(10時〜15時)
7月22日〜8月24日(火曜を除く)には、特別事業の一環として「二の丸御殿」内の「大広間・三の間」への入室が可能(通常は廊下から見学)。「二の丸御殿」は遠侍(とおざむらい)、大広間、式台(しきだい)など6棟が立ち並ぶ御殿で、桃山時代の武家風書院造(しょいんづくり)を伝える重要な遺構だ。大広間は、15代将軍・徳川慶喜(よしのぶ)が政権を朝廷に返上する意思を表明した「大政奉還(たいせいほうかん)」の舞台として知られている。
御殿の内部に入ると、歩くたびに音が響く「うぐいす張り」の廊下が迎えてくれた。「大広間・三の間」を彩るのは、狩野探幽(かのうたんゆう)の障壁画《松孔雀図(まつくじゃくず)》だ。力強い枝ぶりの松と優美な孔雀が、徳川幕府の威光を感じさせる。両面透かし彫りの欄間(らんま)彫刻、きらびやかな天井画や飾り金具など、どこを見ても豪華絢爛(けんらん)。最高峰の美術に囲まれ、歴史の変遷に思いをはせる刺激的な体験となる。「二条城は修学旅行で行ったきり」という人にも、再訪を勧めたい。
城内の「二条城障壁画 展示収蔵館」では、8月11日まで「大広間・三の間」の原画を公開中。貴重な機会なので、こちらもお見逃しなく。

特別事業期間中は「大広間・三の間」に入室し、室内の雰囲気を味わえる

大広間・三の間の障壁画原画《松孔雀図》は狩野探幽の作(写真/元離宮二条城事務所)
文/北浦雅子 写真/清水いつ子ほか
おすすめ立ち寄りスポット👟
京都絞り工芸館
日本で唯一の絞り染め専門美術館。多彩な作品を鑑賞し、伝統工芸の技法や歴史も学べる。絞り染め体験(所要時間30分~)や小物が並ぶショップも魅力。
■9時~16時30分(体験受付は~16時、予約優先)/日曜(不定休あり)/美術館1000円、体験6600円~(美術館見学料込み)/地下鉄東西線二条城前駅から徒歩5分/TEL:075-221-4252


元離宮二条城🏯
京都御所の守護と将軍が上洛する際の宿泊所として1603年に徳川家康が築城。国宝・二の丸御殿は1626年の寛永行幸に備えた改修で現在の姿になった。徳川家の栄枯盛衰を物語る歴史遺産だ。
■8時45分~16時/12月29日~31日休/入城券800円、入城券と二の丸御殿観覧券1300円、本丸御殿観覧券1000円(事前予約制・要入城券)、展示収蔵館観覧券100円(要入城券)/地下鉄東西線二条城前駅から徒歩すぐ/TEL:075-841-0096

全6棟からなる二の丸御殿。床面積3300平方メートルの建物内に絵画や彫刻など美術の粋が結集する
※記載内容は掲載時のデータです。
(出典:旅行読売2026年8月号)
(Web掲載:2026年7月16日)


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