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【家康の城へ】江戸幕府の歴史を知る城 元離宮二条城(京都)

場所
> 京都市
【家康の城へ】江戸幕府の歴史を知る城 元離宮二条城(京都)

国宝・二の丸御殿。車寄に続き「遠侍(とおざむらい)」から「白書院」まで6棟が並ぶ

 

将軍宣下から大政奉還まで江戸幕府の歴史を知る場所

地下鉄の二条城前駅から地上に出ると、目の前に立つのは美しい隅櫓(すみやぐら)。外堀と石垣が、堀川通と押小路(おしこうじ)通に沿って続く。京都市の中心部にある二条城は外周2㌔、広さ27.5㌶。城内には国宝・二の丸御殿や国の重要文化財である22棟の建造物が点在し、1994年には全域が世界文化遺産に登録されている。

現在、多くの観光客でにぎわうこの城は、徳川家康が京都御所の守護と将軍上洛(じょうらく)の際の宿泊所とするために築城したものである。御所からは直線距離で南西におよそ1.7㌔。堀川通に面した東大手門は、御所に向けて門を開いている。家康の将軍宣下(せんげ) にともなう儀式から慶喜(よしのぶ)の大政奉還まで、徳川家康と江戸幕府264年の歴史を知る場所でもある。

国の重要文化財の東南隅櫓。見張り台として建てられた隅櫓は2か所が残る
天守跡。初代天守は大和国の郡山城から移されたという。2代目天守は伏見城から移築されたが、落雷により焼失

家康が天下普請で作った在京時の居館

関ヶ原の戦いに勝利した家康が、西日本の諸大名に二条城の築城を課したのが1601(慶長6)年のこと。天下普請(ぶしん)による完成直後に入城しており、征夷(せいい) 大将軍に任じられた「拝賀の礼」を行うため御所への行列を発したのち、将軍就任の「祝賀の儀」を行った。1611(慶長16)年には二条城の御殿で豊臣秀頼と会見。1614(慶長19)年から翌年にかけての大坂冬の陣・夏の陣では、家康はこの地から出陣している。

絢爛(けんらん)豪華な桃山文化の粋(いき)を極めた城として知られ、見どころはやはり二の丸御殿だ。江戸初期の書院造りの代表とされる建築で、6棟の建物が連なり、部屋数33、広さ800畳というスケール。狩野(かのう)派による障壁画は約3600面、うち1016面が国の重要文化財に指定されている。観覧の際は東大手門から入り、唐門(からもん)をくぐって二の丸御殿を見学。二の丸庭園・本丸庭園を経て天守跡へ向かうコースがいいだろう。

二の丸御殿「大広間」の一の間・二の間。障壁画は狩野探幽筆。狩野派の障壁画は寛永の大改修の際に多数加わった
二の丸御殿の正門・唐門は2013年に修復工事が行われた。国重文

現在の敷地は東西約600㍍、南北約400㍍だが、創建時は二の丸御殿を含む東側のみだった。南北の幅がやや狭い西側は、家光の時代に後水尾(ごみずのお) 天皇の行幸にあわせて行われた寛永の大改修で拡張されたという。城内の南西部に梅林が広がり、見頃は2月下旬~3月中旬。大休憩所にカフェや売店もあるので、ゆったり城歩きを楽しみたい。

周辺散策も家康ゆかりの地を。押小路通を挟んだ南側は1200年の歴史を持つ神泉苑(しんせんえん)。家康は築城時、神泉苑の湧水を用いて堀を満たしたのだ。また堀川通を渡った堀川沿いには、築城時のものと見られる石垣が残っている。

文/内山沙希子


元離宮二条城

御城印:入城記念符(300円)

入城:8時45分~16時/12月29日~31日休/800円(入城料+二の丸御殿観覧料は1300円)※掲載時のデータです。

交通:地下鉄東西線二条城前駅からすぐ

℡:075-841-0096

【家康メモ】

徳川幕府の権威を京で示す1603(慶長8)年、上洛時の宿泊所とするために築城。立地としては、かつての平安京・大内裏(だいだいり)の南東端にあたり、織田信長が京の宿所とした「二条殿」や豊臣秀吉が築いた「聚楽第(じゅらくだい)」とも近い距離にある。家康の居城は、1590(天正18)年以降は江戸城、1607(慶長12)年以降は駿府城だが、豊臣家と戦った大坂の陣では本営に。大坂夏の陣では、二条城に火をかけて家康を暗殺する陰謀があったとされる。家康が二条城で行った将軍宣下にともなう儀式は、秀忠、家光へ踏襲されていく。

 

(出典:「旅行読売」2023年2月号)

(Web掲載:2023年2月16日)

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Writer

内山沙希子 さん

京都生まれ。本や雑誌を作る仕事を求め、大学在学中に上京。その後、美術館やレストラン、温泉宿、花名所、紅葉名所等のガイドブックを中心に、雑誌や書籍の企画・編集に携わる。2017年頃から月刊「旅行読売」で原稿の執筆を開始。「旅行読売」での取材を通して、鉄道旅に目覚めるかどうかは未知数。

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