クロアチア・ドゥブロヴニク(下)「貝殻」に守られた「アドリア海の真珠」
強固な城壁に守られたドゥブロヴニク旧市街
「アドリア海の真珠」と呼ばれるクロアチアの港町ドゥブロヴニク。海に向かって貝のようにせり出した旧市街の様子は、街の背後にあるスルジ山にロープウェーで上れば一目瞭然。旧市街は強固な城壁でしっかり守られている。
ロープウェーでふもとにおりて、旧市街西側のロヴリイェナツ要塞に行く。そこから旧市街を眺めると絶壁の上にそびえる城壁は、文字通り難攻不落に見える。
城壁、要塞という「貝殻」で防御
光り輝く真珠。旧市街の美しさはまるで「真珠」だ、という以上の意味が「アドリア海の真珠」という比喩には込められているようだ。山上から、また、旧市街の西側から観察すると、旧市街の周りの城壁は、真珠貝の貝殻のように見える。貝は、自らの軟らかい体を守るために、貝殻をつくるのだ。
海運の要衝ドゥブロヴニクは10世紀には「独立都市」を宣言し、その数百年後には「独立共和国」を樹立。周囲の大国との巧みな外交折衝に加え、城壁や要塞という「貝殻」の強化で繁栄を守ったのだ。
旧市街のあちこちで、異なる「顔」が見える
全長1.9kmの城壁は、1時間ほどで一周でき、「それほど広くはない」と思ったが、旧市街の通り、路地を歩いてみると、次々と特色のある建物が現れ、それぞれ全く異なる「顔」が見えた。空港から乗ったタクシーの運転手から聞いた、「ある程度分かるのに、1か月以上」という言葉に納得した。
滞在したアパートメント・ホテルの窓からは、旧市街が見渡せた。オーナーが「家々のオレンジ色の瓦には、真新しいものも多い。1991年の内戦後、市民が一生懸命修復した」と教えてくれた。
「この世の天国」を見いだすには、まだまだ探索が足りない
フランシスコ修道院内の薬局は14世紀に造られ、欧州で3番目に古いとされる。この地は、古くから、市民の福利厚生の充実に力を入れていたらしい。英国の劇作家バーナード・ショーの言う「この世の天国」を見いだすには、まだまだ探索が足りない。
劇作家の銅像の鼻を触り、再訪を誓う
旧市街の一角に、16世紀にこの地で生まれ、国際的に活躍した劇作家マリン・ドルジッチの銅像がある。近くのレストランの従業員から「銅像の鼻に触ると、ここにもう一度来ることができる」と教えてもらった。これまでに数多の人が触ったため、テカテカと光っている銅像の鼻に触り、再訪を心に誓った。
旅のインフォメーション
交通/成田空港から欧州主要都市などを経由して14時間~17時間程度
時差/日本より8時間遅い(10月27日までのサマータイム実施期間中は7時間遅い)
ビザ/観光目的なら90日以内は不要
気候/ドゥブロヴニクを含むアドリア海沿岸地方は地中海性気候。夏は乾燥し、晴天が多い
問い合わせ/クロアチア政府観光局
(出典 「旅行読売」2019年10月号)
(ウェブ掲載 2019年10月1日)