「たびよみ」編集部員イチオシ!! 忘れられない思い出の紅葉
「紅葉ならここがイチバン!」と、編集部員の記憶に残る思い出の温泉宿や名所をそれぞれ1か所紹介します。あそこもこっちも捨てがたい……。悩んだ挙句の紅葉の名所。今年の旅の参考にどうぞ。
老舗温泉旅館を覆う錦秋 もみじ饅頭(まんじゅう)発祥の地
宮島の紅葉谷(もみじだに)公園 広島・宮島
5年ほど前、広島市内で姪(めい)の結婚式があり、その前夜、宮島の紅葉谷公園を訪れた。銘菓・もみじ饅頭の発祥に深く関わった老舗温泉旅館「岩惣(いわそう)」前から、静まり返った公園を散歩。初詣時期とはまったく異なる「宮島」だった。●宮島観光協会 ☎0829・44・2011
文/藤原善晴、撮影/新谷孝一
湿原を埋め尽くす草紅葉 紅葉の奥深さを知った
戦場ヶ原 栃木・日光市
「草紅葉」という言葉を知ったのは、戦場ヶ原でのこと。湿原の植物が黄金色に染まる様も紅葉だ。秋風に吹かれ、草紅葉が波のように揺れる景色は圧巻。以来、秋には湿原や沼を訪ねて、また違った草紅葉を見てみたくなる。●日光市観光協会 ☎0288・22・1525
文/渡辺貴由
予定外の渓谷ハイク 日に透けた彩りに感動
紅葉川渓谷 山形・山形市
山寺近くの面白山(おもしろやま)高原へコスモスを見に出かけた際、紅葉川案内図につられ予定になかった渓谷へ。モミジ、ウルシなどが一面を覆い、赤や黄色の葉が日に透ける。無数の滝、つり橋もあった。思いつきの旅の贈り物に感動。●山形市観光協会 ☎023・647・2266
文/松田秀雄
これぞ山奥の秘湯 山肌にナナカマドの赤
枡形屋(ますがたや) 山形・姥湯(うばゆ)温泉
初めての秘湯体験が印象深い。20代の頃、当時の会社の先輩が連れていってくれた。列車とバスを乗り継いでやっとたどり着いた山あいに、その乳白色の湯はあった。覆い被さる山肌に点々とナナカマドの赤があり、カエデの橙(だいだい)と針葉樹の緑色が視界の隅まで広がった。空がいつもより青く見えた。「紅葉の美しさって色が変わっていく自然のグラデーションだと思う。だから緑もあったほうがいい」と先輩。そのつぶやきを不思議と今も覚えている。●枡形屋 ☎090・7797・5934
文/福崎圭介
昔話に出てくるような おにぎりの形の紅葉
湯田温泉峡 岩手・西和賀町
岩手県雫石(しずくいし)町から県道1号を南下すると、和賀川に沿った道の左右に赤や黄色に彩られた山々が続き、なんだか昔話の里に迷い込んだような、懐かしい気持ちになった。錦秋湖など、北上線沿いの紅葉も見事だ。●西和賀町観光協会 ☎0197・81・1135
文/高崎真規子
城址公園を彩る桜が 秋はイチョウと共演
千秋(せんしゅう)公園(久保田城址) 秋田・秋田市
桜の名所は秋景色も美しく、故郷の秋田市、千秋(せん しゅう)公園も約700本の桜紅葉がイチョウと錦秋を演出する。大学浪人時代、昼になると近くの図書館を出て、母が作った弁当を公園のベンチで食べながら目を休めた日々が懐かしい。●秋田市観光案内所 ☎018・832・7941
文/天野久樹
猪(いのしし)鍋の味わいとともに 記憶に残る、里山の紅葉
清流荘 群馬・下仁田(しもにた)温泉
月見に団子、紅葉狩りには猪鍋! 清流荘の名物は、広さ2㌶の敷地内で育てられた猪、鹿、雉(きじ)料理。自家栽培の下仁田ネギも絶品だ。秋は庭園の紅葉と遠山の紅葉が鮮やかで、本館の客室や離れ、露天風呂から眺められる。●清流荘 ☎0274・82・3077
文/内山沙希子
(出典 「旅行読売」2019年10月号)
(ウェブ掲載 2019年10月1日)