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新宿らんぶる

場所
> 新宿区
新宿らんぶる

2層に分かれていて広い地下フロア。店舗は新宿区の地域文化財に認定

地下に広がるレトロな音楽空間

10年以上前によく通った。新宿通りの裏にあり、狭い入り口からは想像もつかないくらい地下フロアが広く、コーヒー1杯で長居できる雰囲気が好きだった。

60年以上、布を張り替えながら使っているという赤いソファは昭和の香りがした。フランス語で「琥珀(こはく)」を意味する名は、ノスタルジックな店の雰囲気そのままだ。

外観
レンガ造り風の外観
フロア

名曲喫茶を謳い、再訪したこの日はモーツァルトのピアノソナタが静かに流れていた。開業した1950年からしばらくの間は会話禁止の“硬派”だったそう。ベートーベンの木彫りの肖像画が睥睨する店内は、1974年の改装時からほとんど変わっていない。ただ、いつの間にか地下フロアが禁煙になったのは時流だろうか。

「街の文化は喫茶店から」と3代目店主の重光康宏さん。「周りは劇場やレコード店が多く、サブカルチャーの雰囲気が感じられる土地柄。観劇や買い物帰りに寄って、新宿にいることを忘れてもらえれば」と話す。

戦後、新宿駅の東には、らんぶる、DUG、西武、青蛾、風月堂など数々の個性的な喫茶店が生まれた。その一部は伝説を残して消え、一部はいまも当時の匂いを伝えてくれている。これら懐の深い喫茶店の存在が新宿という街を魅力的にしているのは間違いない。目まぐるしく移り変わる都心の真ん中にあればこそ。

文・写真/福崎圭介

メニュー
定番のピザトーストセット。コーヒーは5種の豆をブレンド

新宿らんぶる

住所:東京都新宿区新宿3-31-3

交通:新宿駅東口から徒歩5分、または地下鉄丸ノ内線・副都心線新宿三丁目駅A1出口から徒歩2分

喫煙:1階は可、地下は不可

℡03-3352-3361

(出典 「旅行読売」2014年7月号)

(ウェブ掲載 2019年11月1日)

Writer

福崎圭介 さん

新潟県生まれ。広告制作や書籍編集などを経て月刊「旅行読売」編集部へ。編集部では、連載「旅する喫茶店」「駅舎のある風景」などを担当。旅先で個性的な喫茶店をチェックする習性があり、泊まりは湯治場風情の源泉かけ流しの温泉宿か、駅前のビジネスホテルが好み。最近はリノベーションや地域再生に興味がある。趣味は映画・海外ドラマ鑑賞。