東京駅から東西南北へ1万歩(2)西は新宿【駅から歩こう1万歩】
皇居の桜田濠を横目に歩く。濠幅が広く、空も広い
皇居の緑、官庁街のビル群を見ながら歩く
東京駅から東西南北へ1万歩(1)東は亀戸【駅から歩こう1万歩】から続く
何やら柄にもなく緊張してきた。東京駅の西側を見ると、皇居をはじめ、国会議事堂や首相官邸、官庁街など、日本の中枢エリアになっている。平日は人通りが激しく、せわしない雰囲気に気おされそう。そこであえて休日に歩いてみた。
東京駅丸の内中央口を出発。振り返ると赤レンガ駅舎がそびえていた。中央塔を挟んで二つのドームが並ぶ西洋風の駅舎で、明治・大正期の名建築家・辰野金吾が設計した。中央塔から皇居外苑へ延びる行幸通りを進み、二重橋へ向かう。休日ということもあってか観光客で大にぎわいだ。
二重橋から左側に進むと、幕末に大老・井伊直弼が暗殺された「桜田門外の変」で知られる桜田門が待っている。渡櫓門、高麗門をくぐると右側に桜田濠が見える。平均濠幅は67メートルもあり、皇居の前身である江戸城の規模が感じられる。
桜田濠沿いの坂道を上がると、国会議事堂への通りに出る。休日作戦が功を奏するのはこの辺りから。人通りは少なくなり、警備に当たる警察官が目立った。子どもの頃、警察官といえば眼光鋭い年上ばかりだったが、ふと視線が合った警察官は息子とさほど変わらない年頃。「ご苦労さま」と声をかけると、笑顔とともに「ありがとうございます」と返事があり、ほっこりしてしまった。
首相官邸、議員会館が並ぶ国会議事堂の裏側を通り、青山通りを経て紀尾井坂を上がると迎賓館赤坂離宮に到着だ。明治期に東宮御所として建築されたネオ・バロック様式の宮殿建築物で、1974年から外国の賓客をもてなす迎賓館になった。本館や庭園は予約不要で見学できるので寄り道してもいい。
赤坂御所の石垣が続く安鎮(あんちん)坂、聖徳記念絵画館、国立競技場を通過して、中央線の高架に出る。そのまま高架をくぐり新宿通りに出てもいいが、千駄ケ谷駅方面に進み、新宿御苑を縦断。園内は風景式庭園、整形式庭園、日本庭園、温室など見どころが多く、大繁華街の新宿に近いことを忘れるほど、緑豊かな空間が広がっていた。東京駅から西へ向かう1万歩さんぽは、東京の自然を再認識するコースでもあった。
文/内田 晃 写真/内田 晃、齋藤雄輝ほか
東京駅から東西南北へ1万歩(3)南は品川【駅から歩こう1万歩】へ続く(7/1公開)
【モデルコース】
●徒歩距離/約8.9キロ
●徒歩時間/約3時間
東京駅(丸の内中央口)
(1200メートル)
皇居(二重橋)
(300メートル)
桜田門
(700メートル)
国会議事堂
(2500メートル)
迎賓館赤坂離宮
(450メートル)
安鎮坂
(900メートル)
聖徳記念絵画館
(200メートル)
国立競技場
(1100メートル)
新宿御苑
(1500メートル)
新宿駅(南口)
立ち寄りたい沿線のスポット
江戸期の大名屋敷の一部がルーツといわれ、皇室の庭園などを経て、1949年に一般公開された。
■9時〜17時30分(季節により異なる)/月曜(祝日の場合は翌平日)休/500円/地下鉄丸ノ内線新宿御苑前駅から徒歩5分/TEL03-3350-0151
レストランゆりのき売店(つぶら乃)
新宿御苑内にあり、無料休憩所を兼ねる店内などで味わえるテイクアウト商品を販売。店内で1本ずつ手焼きした自慢のだし巻き玉子でつくる「だし巻き玉子のサンドイッチ」(2個入650円、4個入1200円)のほか、弁当もそろえている。
■9時〜16時/月曜(祝日の場合は翌平日)休/地下鉄丸ノ内線新宿御苑前駅から徒歩8分(新宿門経由)/TEL03-3350-0151
※記載内容はすべて掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2024年6月号)
(Web掲載:2024年6月30日)