宿泊代に館内の飲食代が含まれていて、のんびり過ごせる宿があると聞き、福島県の磐梯熱海温泉に向かった。

東京駅から東北新幹線で約1時間30分の郡山駅で磐越西線に乗り換えて約15分、磐梯熱海駅に到着。タクシーで約5分の場所に立つのが、7月にリニューアルオープンしたばかりの浅香荘だ。

「よろしければ何か飲み物でもいかがですか？　全て無料です」とスタッフの菊地晶子さん。館内に入ってすぐのラウンジでは、チェックインの15時〜18時、19時〜22時、翌朝7時30分〜10時の3つの時間帯で、アルコールからお茶、コーヒー、ソフトドリンクなどが並ぶ。これが全て追加料金なしで楽しめる。

早速、135mlの缶ビールを２本いただく。ちょっと飲みたい時や女性が飲みやすいサイズだが、これを16本も飲んだ宿泊客もいたという。ラウンジには、アイスキャンディーやオリジナルのシュークリームなどもあり、子ども連れにもうれしい。

夕食時の飲み物ももちろん無料だ。厳選された地酒7種やビール、ウイスキーなどが飲み放題。お酒を飲めない人にも、ソフトドリンクやノンアルコールカクテルなど約40種類も用意されている。

食事のメニューも充実している。前菜からお造り、焼き物、揚げ物と続き、その品数の多さに驚く。岩本光貴料理長の「ダシにこだわり、熱いもの冷たいものをタイミングよく提供することを心がけています」という言葉通り、一品一品が食べやすく、量のバランスがいいので、自然と箸が進む。「90歳の女性のお客様も完食されました」と岩本料理長。

夕食だけでなく朝食もうまい。アジ、サバ、ホッケの中から選ぶ一夜干しに、地元のこだわり寄せ豆腐や新鮮野菜が並ぶ。生卵は郡山市内にある田中養鶏場の「さくら玉子」。赤味がかった光沢のある黄身がプリプリで、箸で持っても崩れにくい。これに全国醤油品評会で、農林水産大臣賞を受賞したこともある会津高砂屋のキンタカサゴ醤油をかけて食べる卵かけごはんは絶品。朝からご飯を2杯、3杯とおかわりする人が多いというのも納得だ。

風呂は男女入れ替え制の大浴場が二つと、無料の貸し切り風呂が一つ。全て源泉かけ流しで、アルカリ性単純温泉のなめらかな湯が滔々とあふれる。

風呂上がりにはまたラウンジでビールを一杯。宿泊代に館内の飲食代が含まれているオールインクルーシブを満喫した。

 浅香荘

郡山市熱海町熱海5-40

TEL 024-984-3157

http://www.asakaso.jp/

（出典　「旅行読売」2019年10月号）

（ウェブ掲載　2019年10月24日）