国鉄SLラストランの地、北海道安平町に鉄道ファンの聖地
道の駅敷地に置かれているキハ183系気動車(国鉄時代の黄色と赤で塗装)と、その手前は屋外展示されたD51
令和元年、「道の駅」に誕生した「昭和の鉄道」の聖地
北海道安平(あびら)町の道の駅で2019年(令和元年)6月16日、地域の宝D51(デコイチ)と、かつて北海道専用の国鉄特急として活躍した「キハ183系」気動車の2両がついに並んだ。
2両が並んだのは、道の駅「あびらD51ステーション」。安平町地域推進課・道の駅経営推進グループのグループリーダー岡康弘さんは「道の駅でありながら、鉄道の駅をほうふつとさせる。それは、この地域のアイデンティティーが『鉄道』にあるからです」と言う。
「キハ183系」気動車は2018年3月に現役を引退。この気動車の道の駅での保存をクラウドファンディングで実現したのは、北海道鉄道観光資源研究会だ。
北海道安平町の地域アイデンティティーは「鉄道」
道の駅から歩いて約15分の追分駅は、かつて道内各地の炭鉱から室蘭港に石炭を輸送していた室蘭線と旧夕張線が接続。蒸気機関車(SL)の基地「追分機関区」があり、連日SLが出入りしていた。
だが、石炭の時代は過ぎ、国鉄のSLは1976年(昭和51年)3月、ここ安平町追分地区での9600形による入れ換え作業を最後に運行を終えた。この地の安平町鉄道資料館で保存されていたのが、SL終焉の地のシンボルともいえるSL「D51」320号機。追分機関区のOBたちで構成する「安平町追分SL保存協力会」が、丹念に手入れをしてきた。
この「昭和」のSLは、令和元年6月13日、トレーラーに乗せられ、道の駅に搬入された。そして16日には、国鉄時代、北海道の雪と寒さに耐えうる特急列車用に開発された「キハ183系」気動車の初期型が札幌市のJR苗穂工場から運ばれてきた。2台は2018年9月に、この道の駅に来るはずだったが、北海道胆振東部地震発生で延期。令和元年の出会いとなった。
(※)好評発売中の旅行読売臨時増刊「昭和の鉄道旅 復活編」では、「安平町追分SL保存協力会」の会長、事務局長が語る、これまでの活動や、SLへの思い、道の駅「あびらD51ステーション」の詳細についての記事を掲載しています。
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