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「男はつらいよ」第41作ロケ地のオーストリアのウィーン、変わらぬ景色、「寅さん」公園も

場所
> ウィーン
「男はつらいよ」第41作ロケ地のオーストリアのウィーン、変わらぬ景色、「寅さん」公園も


緑豊かな「寅さん公園」には「寅さんの笑顔」の石碑がある ©オーストリア政府観光局


柴又の「寅さんサミット」にウィーン市も参加


東京都葛飾区柴又で11月2日から2日間にわたって開かれた「寅さんサミット」。その会場には、全国各地のロケ地自治体が特産品や観光情報をPRするブースを設置したが、唯一の海外ロケ地、ウィーン市のブースも設置され、ウィーンの土産品などが販売された。


ウィーン市の土産物などが展示・販売されていたテント
ウィーン市の土産物などが展示・販売されていたテント


ウィーンは、1989年(平成元年)公開の「寅さん」映画シリーズ第41作「男はつらいよ 寅次郎心の旅路」のロケ地だった。その2年前の87年に葛飾区とウィーン市フロリズドルフ区は友好都市となっている。


また、初日の2日に行われたシンポジウム「寅さんサミット開催5年。各地域の原風景はどう変化しているか」には、オーストリア政府観光局マーケティングマネージャ-の福田明子さんが参加した。          

シェーンブルン宮殿 ©ANTO/ Julius Silver
シェーンブルン宮殿 ©ANTO/ Julius Silver


福田さんは、「原風景ということですが、(マドンナ役の)竹下景子さんはガイドさんなんですね。(寅さんたちを)様々な観光名所に案内してくれます。(案内した)ドナウ川、王宮庭園、シェーンブルン宮殿などはそのまま残っています」と説明した。


王宮庭園のモーツアルト像 ©ANTO/ Hans Wiesenhofer
王宮庭園のモーツアルト像 ©ANTO/ Hans Wiesenhofer


モーツァルト像が映画にも映し出される王宮庭園(ブルクガルテン)では、「寅さんがウィーンのご婦人と一緒に並んで、日本語とドイツ語でなぜか通じている、人生談議をするという、いい場面があるんです」と解説する。


ドナウ川沿いでのシーンでは竹下景子さんが「そろそろ日本に帰りたいけど、やっぱり帰れない」と言うシーンがある。ドナウ川沿いにはブドウ畑があり、「ウィーンは首都ですが、ブドウ畑がありワインをつくっています」と福田さんは言う。


シンポジウムで発言するオーストリア政府観光局マーケティングマネージャーの福田明子さん(左から2人目)
シンポジウムで発言するオーストリア政府観光局マーケティングマネージャーの福田明子さん(左から2人目)

「寅さん公園」がウィーンの観光スポットに


ウィーン市フロリズドルフ区では、第41作公開から20年を経た2009年には「寅さん公園」(トラサン・パーク)がオープンしている。


また、ウィーン市内にはカツシカシュトラーセ(かつしか通り)もある。


一方、葛飾区文化会館(かつしかシンフォニーヒルズ)には「モーツァルト像」が設置されている。


葛飾区とフロリズドルフ区が友好都市となったきっかけは映画「男はつらいよ」だった。日本への飛行機の中で映画を見たウィーン市長が、葛飾の風景や人情がウィーンと似ていることから交流を希望したのだという。


「寅さん」のウィーン・ロケは、ウィーン市側の希望が実現する形で行われた。


「寅さんの笑顔」の石碑が設置されている「寅さん公園」 ©オーストリア政府観光局
「寅さんの笑顔」の石碑が設置されている「寅さん公園」 ©オーストリア政府観光局


「寅さんサミット」は今回が5回目。そして、第1作公開から50年を記念して1227日には新作「男はつらいよ お帰り 寅さん」も公開される。


そんな節目を記念して、サミットでは特別座談会も行われ、寅さんの妹・さくら役の倍賞千恵子さん、その夫・博役の前田吟さん、寅さんの弟分・源公役の佐藤蛾次郎さんが集まった。


50作では、「寅さん」こと車寅次郎の甥で小説家になった諏訪満男(吉岡秀隆)と、満男の初恋の人・イズミ(後藤久美子)の二人を軸に、シリーズの過去作の映像も最新の技術で取り込みながら、「寅さん」を取り巻いてきた、さくら、博ら登場人物たちの現在を描く。


「寅さん」新作公開で、これまで「寅さん」映画シリーズが撮影された全国のロケ地が注目されそうだ。そして第41作の「原風景」が多数残り、「寅さん公園」まであるウィーンへの関心も、改めて高まっていくことになるだろう。


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https://www.yomiuri-ryokou.co.jp/kaigai/europe/austria/

                


(※)「寅さん」の全国各地の旅の足跡などを追った数々の記事が、好評発売中の旅行読売臨時増刊『昭和の鉄道旅 復活編』(定価1000円)に掲載されています。


旅行読売臨時増刊「昭和の鉄道旅 復活編」 詳しくはhttps://www.ryokoyomiuri.co.jp/mook/post-54.html

Writer

藤原善晴 さん

月刊「旅行読売」編集部に2019年12月まで勤務。現在読売新聞東京本社文化部。瀬戸内海が見晴らせる広島県安芸津町風早(現・東広島市)生まれ。レトロブームということもあり、最近は「昭和」という言葉に敏感に反応。また、故郷が「令和」の典拠となった万葉集ゆかりの地であるため、福岡県太宰府市、奈良県、富山県高岡市、鳥取県など各地の「万葉集」ゆかりのニュースにも目を光らせている。

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