新生「渋谷パルコ」1階の“一等地”で「日本」を発見。陶芸、包丁、漆器
「渋谷パルコ」1階で日本の逸品に出会う。天井には暖簾がある
2019年11月22日、「渋谷カルチャー」のシンボル的存在である大型商業施設「渋谷パルコ(PARCO)」」(東京都渋谷区宇田川町)が建て替わり、新生「渋谷パルコ」としてグランドオープンした。
多彩なテナントが入居した「次世代ファッションビル」1階のエスカレーターそばの“一等地”にあるのは「Discover Japan Lab.(ディスカバー・ジャパン ラボ)」。月刊誌『Discover Japan(ディスカバー・ジャパン)』の毎月の特集に合わせて、商品ラインナップや陳列スタイルが変わるという、ユニークな雑誌連動ショップだ。
店内を見回してみて、いやおうなく目を奪われるのが、岐阜県土岐市に工房を構える陶芸家・青木良太さんの「神様のシャンパングラス」(440万円)。青木さんは年間1万5000種類の釉薬を研究、金、銀、プラチナ、さらには、ガラス素材の「スワロフスキー・クリスタル」など、従来の陶芸では使われてこなかった素材を積極的に取り入れている注目の作家だ。
「神様のシャンパングラス」は、まず金を焼き付けた上に、陶芸では前代未聞のスワロフスキー・クリスタルを敷き詰めた作品。特殊な釉薬(非公開)を使って焼き上げている。
「Discover Japan」統括編集長の高橋俊宏さんは、「モノに出会って人生が変わることがあります。青木さんの『神様のシャンパングラス』はそうしたモノの一つです」と言う。
日本の地域文化や伝統工芸にも造詣が深い建築家・隈研吾さんがプロデューサーとして完成させたのが6枚セットの輪島漆器(49万5000円)。石川県輪島市の輪島塗の製品が、「輪島六職」と呼ばれる専門職人の手から手に渡って完成に至るプロセスに注目。「木地の器」「下地の器」「中塗の器」「上塗の器」「加飾の器」という、輪島塗の製作過程を表現する作品になっている。
岐阜県高山市に工房を構える「まる工房」の大澤昌史さんの手になるのは「オーバルボックス」。人気が高く、受注販売となっている。
「オーバルボックス」とは、1744年、信仰の自由を求めてイギリスからアメリカ大陸へ渡ったシェーカー教徒が生み出した道具箱。1個7150円から。入れ子指揮の構造になっており、使い終わったらコンパクトに収納できる。特長は、ひとつとして同じものがない柔らかなフォルム。素材は、経年変化が楽しめる桜材がメインだ。
フランス・パリの店舗で人気を集めた「淺野鍛冶屋」の包丁
「Discover Japan」は、フランス・パリに提携契約をしている店舗を持つ。「そこで好評で、売れ行きがよかった」(高橋さん)のが、岐阜県羽島市の刀鍛冶「淺野鍛冶屋」が生み出す日常使いの包丁だ。
渋谷パルコの店舗には、短刀をベースとして切れ味鋭い「棒樋(ぼうび)」(11万円から)、三徳包丁(3万9600円)、牛刀(同)が展示・販売されている。
再開発が進む渋谷エリア。2016年から建て替えのため休業していた「渋谷パルコ」グランドオープンの日、開店を待つ客2500人が列を作り、開店時間を45分早めるというハプニングもあった。再び「渋谷カルチャー」をリードして行くことになる「渋谷パルコ」の存在感を示すできごとだった。一方、渋谷駅前のスクランブル交差点をはじめ、「渋谷」は、日本を訪れる外国人観光客の重要な目的地ともなっている。「渋谷パルコ」で毎月発見できる様々な「日本」はこれからますます注目されていきそうだ。