岡山県・備中松山城に猫城主。城下町は「寅さん」ゆかりの地
備中松山城で寝そべる猫城主「さんじゅーろー」 写真提供/(一社)高梁市観光協会
近年、雲海に浮かぶ天空の山城として注目を集めているのが岡山県高梁(たかはし)市の備中松山城。ここで2018年12月に就任した猫城主「さんじゅーろー」が、観光客の人気を集めている。就任時の年齢は推定3歳。
同年7月、岡山県を含む西日本で発生した豪雨災害の際、飼い主と離れ離れになった猫がいた。その猫は山中をさまよい、備中松山城にたどり着き、住みついた。その結果、「猫」に会える山城として、観光客の間で有名となった。これにより、豪雨災害後に落ち込んでいた訪問客数が回復。同年10月には、来訪者数が、前年同月を上回るまでになった。そして、その活躍ぶりがテレビや地元の新聞で報道されるようになった。
猫城主「さんじゅーろー」の名前の由来は新選組隊士
猫城主は「さんじゅーろー」と呼ばれている。
名前の由来は、備中松山藩(現高梁市)出身の新選組隊士で七番隊の隊長を務めていた「谷三十郎」。猫がみつかった場所が「三の丸」だったことも、「三」がつく「三十郎」にちなんで名付けられるきっかけとなったという。
いったん飼い主が見つかったが、「さんじゅーろー」がすっかり城になじんでいたため、飼い主は地元の一般社団法人高梁市観光協会(TEL0866・21・0461)への譲渡を決めた。
この城は、現存天守が国内随一の高所(標高430メートル)にある山城であることで知られる。同年12月には正式に猫城主に就任。就任式では、赤いかみしもを身につけ、鎧を身につけた人間の家来を従えて、城門をくぐった。そして地面に敷かれた赤いじゅうたんの上をしずしずと歩いた。
「さんじゅーろー」は体長50センチに加え、しっぽが27センチあり、体重は約6キロと、ふっくらした見た目。市内の土産店で、キーホルダーや絵はがきなどのグッズも売られている。
「寅さん」シリーズで、2回もロケが行われた武家屋敷の小路
備中松山城の城下町は、人気映画「寅さん」シリーズで、2回もロケが行われたことで知られる。
2019年11月2日~3日に東京・柴又で行われた「寅さんサミット」に、高梁市もブースを出した。近藤隆則市長は「変わらぬ城下町の風情を見に来てください。四季おりおりの景色が楽しめます」と話す。
シリーズ第8作「男はつらいよ 寅次郎恋歌」(1971年)では、武家屋敷の小路の先に見える線路を蒸気機関車が走る。そして第32作「男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎」(1983年)では、同じ場所を特急電車が瞬時に通過する。そのあたりのことを含め、好評発売中の旅行読売臨時増刊「昭和の鉄道旅 復活編」(定価1000円)では、様々なロケ地でのエピソードを多数紹介している。