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丹波亀山城と福知山城ーー明智光秀の実像を求めて(2)

場所
> 亀岡市、福知山市
丹波亀山城と福知山城ーー明智光秀の実像を求めて(2)

町の礎を築いたヒーロー

亀岡駅から福知山駅までは特急列車で約1時間。山並みや田園の風景を楽しみながら、のんびりと移動する。福知山も光秀の足跡を色濃く残す城下町。1579年に丹波平定を成し遂げた光秀が在地の豪族・横山氏の砦(とりで)を改築し、居城としたのが福知山城(写真提供/福知山市)だ。

福知山駅から由良川に向かって歩くと3層4階の天守閣が望めた。この城も廃城令で大半を失ったが、瓦1枚につき3000円以上の寄付を募る市民たちの「瓦(かわら)一枚運動」などにより、1986年に再建された。

大河ドラマのスタートに合わせ、福知山城公園内の佐藤太清(たいせい)記念美術館2階に「福知山光秀ミュージアム」がオープン(2021年1月11日まで開設)。ドラマの企画展のほか、丹波攻略戦や築城の経緯など映像も交えて紹介している。

「謀反人として語られることが多い光秀ですが、福知山では城下町の礎を築いた名君として脈々と慕われてきました。今回のドラマで、ようやく悪役のイメージが払拭されるのではないかと多くの市民が期待しています」

そう語るのは福知山光秀プロジェクト推進協議会の中野裕行事務局長。治水や経済政策で町の発展に尽くした光秀の善政を知り、なるほどと納得した。

光秀の免税政策をたたえた句碑(撮影/谷口哲)

治水、免税を手がける

 ミュージアムを出て、城へと続く「登城坂」を歩く。急坂に沿って桜並木があり、見頃は例年4月上旬から中旬だという。天守閣の内部は歴代領主について学べる資料館で、最上階の望楼に立つと城下町が一望できた。由良川の氾濫防止に光秀が築いた堤防「蛇ケ端御藪(じゃがはなおんやぶ)(明智藪)」も、眼下にくっきりと確認できる。

  由良川の中下流部は古くから洪水が頻発する地域で、当地もたびたび浸水被害を受けている。城下町の一角にある「福知山市治水記念館」は、繰り返されてきた被害の実態を伝える貴重な施設だ。家財を2階に上げるための滑車なども展示され、洪水のたびに苦労と工夫を重ねてきた先人たちに頭が下がる思いだ。

駅への戻り道、光秀の御霊(みたま)を祀る御霊(ごりょう)神社に立ち寄った。境内には光秀が免税を行ったことを讃える句碑も立つ。福知山の人々にとってみれば、そもそも光秀は侵略者であったはず。神として祀られるまでになったのは、功績に加えて、人としての魅力もあったからだろう。そんな想像を巡らせながら、旅の最後に手を合わせた。(月刊「旅行読売」2020年4月号から)

文/北浦雅子

【城データ】

築城:1579年(天正7年)頃完成/明智光秀 種類:平山城 天守:あり(再建) 遺構:石垣、曲輪、井戸、銅門番所 入城:天守は9時~16時30分/年末年始休/330円

御城印:あり(300円)

  交:福知山駅から徒歩15分

  住:京都府福知山市字内記5 ☎︎0773・23・9564(福知山城天守閣)

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