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【旅する喫茶店】茶房古九谷(加賀)

場所
  • 国内
  • > 北陸・中部・信越
  • > 石川県
> 加賀市
【旅する喫茶店】茶房古九谷(加賀)

美術館の2階、広い店内。コンサートや朗読会を不定期で開催している

 

九谷焼に親しむ美術館の和風喫茶

加賀温泉駅の隣、大聖寺(だいしょうじ)駅で列車を降りたのは、当地の石川県九谷焼(くたにやき)美術館に寄りたかったから。

九谷焼は大聖寺藩の藩窯(はんよう)がルーツで、江戸前期に作られた希少なものは古九谷(こくたに)と呼ばれる。解説スタッフの案内を聞き色彩豊かな九谷焼を眺めた後、2階の喫茶室に上がった。

店内には約30人の加賀市在住の現代作家の作品が展示販売されている。吹き抜けの天井の高い建物は、幾何学的なデザインと天然素材を組み合わせたユニークな空間。設計者の象設計集団の言葉を引けば、「土・ 木・布などやわらかい素材を使っています。これは美術館の主役である磁器の硬質の輝きと存在感をきわだたせるため」。色ガラスの黄、紫、赤、紺青(こんじょう)、緑の5色は、この磁器に特徴的な「九谷五彩(ごさい)」を表し、細部にもこだわりを感じる。

茶房古九谷 展示
現代作家の作品を展示、販売。店で使う食器も九谷焼

「美術館の余韻に浸りながら九谷焼のうつわで日本茶、中国茶を何煎(せん)かゆっくり楽しんでほしい」と店長の古田章子さん。音楽は好んでバッハを流しているという。

美術館は2002年、九谷焼を愛する地元の盛り上がりにより開館に至った。テラス席に出るとすぐ隣の公園「古九谷の杜(もり)」の緑が広がり、木々の間から野鳥や子どもたちの声が聞こえてくる。地元産の茶葉を発酵させた「加賀の紅茶」を飲みながら過ごす昼下がりは、穏やかでぜいたくなひと時だった。

文・写真/福崎圭介

茶房古九谷 紅茶
加賀の紅茶とレアチーズケーキのセット。コーヒーもある
茶房古九谷 テラス
公園に臨むテラス席

茶房古九谷

住所:石川県加賀市大聖寺地方町1-10-13 石川県九谷焼美術館2

交通:加賀温泉駅から北陸線3分の大聖寺駅下車徒歩8

TEL:0761-72-6366

(出典 「旅行読売」2020年1月号)

(ウェブ掲載 2020年8月27日)


Writer

福崎圭介 さん

新潟県生まれ。広告制作や書籍編集などを経て月刊「旅行読売」編集部へ。編集部では、連載「旅する喫茶店」「駅舎のある風景」などを担当。旅先で喫茶店をチェックする習性があり、泊まりは湯治場風情の残る源泉かけ流しの温泉宿が好み。最近はリノベーションや地域再生に興味がある。趣味は映画・海外ドラマ鑑賞。

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