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【新幹線で春は北陸へ】加賀温泉駅発 海辺の歴史町・橋立を散策し、山代・山中、2か所の古湯につかる(1)

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  • > 石川県
> 加賀市
【新幹線で春は北陸へ】加賀温泉駅発 海辺の歴史町・橋立を散策し、山代・山中、2か所の古湯につかる(1)

北前船の里資料館の周辺には、かつての繁栄をしのばせる船主の旧邸宅が立ち並ぶ

 

北前船の船主集落として栄えた橋立(はしたて)

石川県南西部の加賀市は、1300年の歴史を誇る山代温泉や山中温泉で知られる。さらに片山津(かたやまづ)温泉も加えて加賀温泉郷と呼ばれる。関西の奥座敷と言われる存在だが、北陸新幹線が延伸すれば、東京からでも2時間45分ほどで到着。山あいの湯処といったイメージが強いが、海沿いの橋立地区は江戸後期~明治後期に北前船の船主や船頭が住み、海運で栄えた。船主の豪邸があった集落は、2005年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定され、17年に日本遺産に認定。湯巡りに加え、昔町散策も楽しもうと加賀温泉駅に向かった。

加賀温泉駅

新幹線延伸を機に新しくなった駅舎は、外観に格子模様など伝統的な和の様式を取り入れ、温泉郷の風情や城下町の歴史をイメージしたという。そんな駅を後に、まずは加賀温泉郷を周遊する「キャン・バス」(1日券1100円、2日券1300円)で、橋立地区へ向かう。

橋立で必見は、北前船の里資料館だ。館内に入ってすぐ、30畳の大広間では直径約24センチのケヤキの柱や、松の大きな梁が裕福な暮らしを物語っていた。当時の船頭や船員も航海の疲れを癒やすために、山代・山中温泉へ足を運んだことも知った。

資料館が立つ辺りは船主集落があった場所で、赤茶色の瓦葺き屋根の家、船板が張られた木の壁、淡い青緑色の笏谷石(しゃくだにいし)の石垣などが見られ、歴史を感じる町並みが印象的だった。細い路地を歩くと、家々を見下ろせる小高い丘もあった。

集落をそぞろ歩きした後、歩いて15分ほどにある加佐(かさ)の岬へ。残念ながら岬の先端へ続く遊歩道は斜面崩落で封鎖中だったが、高さ約15メートルの白い灯台と青い海と空のコントラストが美しかった。

加佐の岬と灯台。カラフルな加賀彩傘は、加賀市観光情報センターや市内の宿泊施設(一部を除く)で無料で借りられる

来た道を戻り、海沿いを東へ。泉の浜展望台、橋立漁港などのどかな海岸沿いの風景を眺めながら歩き、海鮮料理店のやしまへ向かう。

やしまのおすすめは、釜飯定食(2800円、3日前までに要予約)。釜飯が炊き上がるまで30分ほどかかるが安心を。その間は、定食に付いている大きな子持ち甘エビや皮付きタイの大きな切り身など、5種の旬の刺し身盛り合わせやアラ汁を味わいながら待てばいい。炊きたての釜飯の蓋を開けると、取材時はタイなどの上品な風味がふわっと広がり食欲をそそられた。聞けば関西や関東からの旅行者のほか、隣の福井県など近隣から来る客も多いそうだ。

食後は、向かいにあるかわいらしい店構えの「スイーツ屋ハレルヤ」で看板のハレルヤタルト(290円)や橋立の富士菊醤油(しょうゆ)を使った橋立フィナンシェ(250円)などを買って、バスで加賀温泉駅へ戻る。次は駅から南へ。路線バスに乗り換えて山代温泉へ向かった。

文/児島奈美 写真/酒井羊一

【新幹線で春は北陸へ】加賀温泉駅発 海辺の歴史町・橋立を散策し、山代・山中、2か所の古湯につかる(2)へ続く(4/23公開)

🔳モデルコース
加賀温泉駅
  ↓バス25分(9:13発/9:38着)
北前船の里資料館
  ↓徒歩15分
加佐の岬
  ↓徒歩30分
やしま、スイーツ屋ハレルヤ
  ↓バス25分(13:39発/14:04着)
加賀温泉駅
  ↓バス13分(14:10発/14:23着)
山代温泉
  ↓バス19分(15:48発/16:07着)
山中温泉

※バスの時刻は変更になる場合があります
※観光の問い合わせは、加賀温泉駅構内(3月16日以降は駅前の商業施設「アビオシティ加賀」内)の加賀市観光情報センターへ。8時45分~17時30分(3月16日以降は9時30分~)/無休(3月16日以降は不定休)/TEL:0761-72-6678

 

北前船の里資料館

建物は、北前船主だった酒谷長兵衛(さかやちょうべえ)によって1876年に建てられた。船大工が作った北前船の精巧な模型や船箪笥(ふなだんす)、今で言う広告チラシの「引札(ひきふだ)」などを見て北前船の歴史を学べる。

営業:9時~16時30分/無休/350円
交通:北陸線加賀温泉駅からバス25分、北前船の里資料館下車すぐ/北陸道片山津ICから6キロ
問い合わせ:TEL0761-75-1250

やしま

八嶋さん夫妻が20年以上営むアットホームな海鮮料理店。店の隣の卸売問屋兼直売所や地元の漁港で仕入れた魚介類をふんだんに使う。釜飯定食は、海鮮釜飯、刺し身盛り
合わせ、魚料理の一品、アラ汁、漬物付き。海鮮丼(2280円)なども人気。

営業:11時~14時/水曜・第3木曜休
交通:北陸線加賀温泉駅からバス30分、尼御前岬下車すぐ/北陸道片山津ICから5キロ
問い合わせ:TEL0761-73-3702

スイーツ屋ハレルヤ

白い建物に黄色い看板が印象的。看板商品のハレルヤタルトは、食感にこだわった風味豊かなエッグタルト。フルーツ、しょうゆ、カニ、エビ、ワカメなど地元の食材を使った菓子もある。

営業:9時30分~18時/月曜休(不定休あり)
交通:北陸線加賀温泉駅からバス30分、尼御前岬下車すぐ/北陸道片山津ICから5キロ
問い合わせ:TEL0761-75-7661


※記載内容はすべて掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2024年4月号)
(Web掲載:2024年4月22日)

 


Writer

児島奈美 さん

神戸生まれ。学生時代にバイクで北海道、九州、信州を巡って旅に目覚め、約40か国渡航。1か月のキャンプ旅でも太って帰ってくる食いしん坊で、現在は、旅・グルメ・人物インタビューを中心に、ガイドブックや雑誌、Webなどの制作に携わる。「旅行読売」ではルポがメイン。鉄子や歴女の道も着々と歩む。

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