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延伸開業でどう変わる? 北陸新幹線Q&A【新幹線で春は北陸へ】

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延伸開業でどう変わる? 北陸新幹線Q&A【新幹線で春は北陸へ】

越前たけふ駅近くを走行する北陸新幹線(写真/伊藤岳志)

 

北陸新幹線金沢―敦賀駅間が3月16日に開業

北陸新幹線金沢―敦賀駅間が3月16日に開業する。2015年の長野―金沢駅間の開業以来、9年ぶりの延伸だ。区間や時間、料金など何がどう変わるのか解説する。

Q:どこで開業するの?

延伸開業するのは金沢―敦賀駅間の125キロ。新幹線駅は、小松駅、加賀温泉駅、芦原(あわら)温泉駅、福井駅、越前たけふ駅、敦賀(つるが)駅の6か所が新設される。これらの駅と東京が、乗り換えなしで結ばれることになる。

新規開業区間を走る列車は「かがやき」「はくたか」「つるぎ」の3種。東京発着の最速達列車が「かがやき」、準速達列車が「はくたか」だ。「つるぎ」は富山・金沢―敦賀駅間の区間運転列車で、敦賀駅で大阪方面の特急「サンダーバード」と名古屋方面の特急「しらさぎ」に接続する。

車両は、北陸新幹線東京―金沢駅間で現在走っているE7系・W7系をそのまま使う。座席タイプはグランクラス、グリーン車、普通車の3種。「かがやき」は全車指定席で、「はくたか」「つるぎ」には自由席も連結される。

「かがやき」のグランクラスでは専任アテンダントによる飲料・軽食サービスがある。「はくたか」「つるぎ」のグランクラスは座席のみの利用だ。

最上位のグランクラスは2列+1列。本革使用の座席は電動リクライニングでレッグレスト付き(写真提供/JR西日本)
2列+2列のグリーン車の高級感のある座席は電動リクライニングでレッグレスト付き(写真提供/JR西日本)
3列+2列の普通車の座席

Q:どれくらい時間短縮になるの?

開業時のダイヤでは、東京から敦賀へ直通する「かがやき」が1日9往復、「はくたか」が1日5往復運転される。最速列車の所要時間は、東京―福井駅間が2時間51分で、現状より36分短縮になる。例えば、東京駅6時16分発の「かがやき」に乗れば、9時13分に福井駅に着き、朝からたっぷり福井観光を楽しめる。

東京―敦賀駅間は最速3時間8分だが、東海道新幹線と特急「しらさぎ」を米原駅で乗り換えるほうが速く、しかも定価が安い。東京駅から利用する場合、どちらのルートを選ぶか、時刻を確認のうえ割引きっぷを含め検討するといいだろう。

大阪方面へは、特急と接続する「つるぎ」を富山・金沢―敦賀駅間に1日25往復運転する。敦賀駅で大阪―敦賀駅間を運行する特急「サンダーバード」に乗り継ぐと、大阪―福井駅間が1時間44分、大阪―金沢駅間が2時間9分となる。大阪―金沢駅間は22分の短縮だが、大阪―福井駅間は3分の短縮に留まる。敦賀駅での乗り換えに時間がかかるためだ。

敦賀駅は在来線特急用の新ホームの真上に新幹線ホームがある。途中、改札口のあるコンコース階を経由するが、上下移動だけで乗り換えられる。乗り換えが面倒なのは確かだが、かつての越後湯沢駅の上越新幹線・ほくほく線の乗り換えと、手間は大きく変わらない。標準的な乗り換え時間は8分だ。

敦賀―越前たけふ駅間を走る北陸新幹線(写真/伊藤岳志)

Q:北陸観光は便利になるの?

北陸新幹線開業により、首都圏から福井県への旅行がしやすくなるほか、北陸3県内の相互移動が便利になり、周遊旅行がしやすくなる。関西・東海方面からは、直通から敦賀乗り換えに変わって不便になる面はあるが、金沢への時間短縮効果は小さくない。

北陸新幹線敦賀駅開業後、在来線である北陸線金沢―敦賀駅間は県ごとに分割され、第三セクター会社に移管される。石川県内(金沢―大聖寺(だいじょうじ)駅間)がIRいしかわ鉄道、福井県内(大聖寺―敦賀駅間)が新会社のハピラインふくいだ。移管により、この区間の特急列車は廃止となり、普通・快速列車だけが走ることになる。

北陸新幹線の運賃・指定席料金(通常期)は、東京―福井駅間が1万5810円、大阪―福井駅間が7290円、大阪―金沢駅間が9410円と発表された。東京から福井へは、現在の金沢経由に比べ530円の値下げ、米原経由に比べ890円の値上げとなる。

大阪―福井駅間は1150円の値上げ、大阪―金沢駅間は1620円の値上げとなる。

壁面に恐竜が描かれている福井駅。駅前には恐竜 ロボットが並び、延伸開業にあわせティラノサウルスや トリケラトプスなど3体が新設される(写真/宮川 透)

Q:青春18きっぷなどお得きっぷは使えるの?

北陸新幹線の東京方面には、JR東日本の「新幹線eチケットトクだ値」など、大阪方面にはJR西日本の「WEB早特」などの割引きっぷが設定される。それぞれ14日前までと7日前までのチケットがある。東京―福井駅間では、「トクだ値14」が約30%割引の1万920円、大阪―福井駅間では「WEB早特14」が約20%割引の5740円。大阪―和倉温泉・黒部宇奈月温泉駅間では、前日まで購入可能な「WEB早特1」も設定される。約10%と割引幅は小さいが、前日購入できる利点がある。

北陸を周遊旅行するなら、JR西日本の「tabiwa by WESTER(タビワ バイ ウエスタ―)」も活用したい。tabiwa は、スマートフォンで旅の予約やチケット購入ができるアプリ。北陸の鉄道各線が乗り放題になる「北陸おでかけtabiwa パス」は、北陸応援の取り組みとして3月15日利用分まで格安の特別価格で販売された(2月15日現在、3月16日以降の設定未定)。

JR東日本の「大人の休日倶楽部」会員は、「大人の休日倶楽部会員限定 北陸フリーきっぷ」も利用できる。北陸エリアのJR・第三セクター鉄道が新幹線を含めて4日間乗り放題というお得なきっぷだ。料金は東京駅からの往復新幹線代込みで2万4000円。

JR線の普通・快速列車に乗り放題の青春18きっぷは、JR線ではなくなる敦賀―金沢駅間で利用できなくなる。このため、金沢、福井の両駅は、青春18きっぷで訪問できない初めての県庁所在地駅となる(JRがない沖縄を除く)。石川県の七尾線津幡(つばた)―和倉温泉駅間と、福井県の越美北(えつみほく)線越前花堂(えちぜんはなんどう)―九頭竜湖(くずりゅうこ)駅間はほかのJR線と接続しない孤立路線となるが、引き続き利用できる。高山線経由で七尾線を利用する場合は、あいの風とやま鉄道・IRいしかわ鉄道富山―津幡駅間を、北陸線か小浜線経由で越美北線を利用する場合はハピライン敦賀―越前花堂駅間を、それぞれ通過利用できる。

Q:北陸応援割はいつから始まるの?

政府は能登半島地震の被害を受けた地域を支援する「北陸応援割」を発表した。販売期間は、2024年3月8日(石川県は3月12日)からで、なくなり次第終了。利用期間は3月16日~4月26日。対象エリアは、石川、富山、福井、新潟の4県。1泊以上の旅行商品や宿泊費を最大50%支援する。上限金額が設定されていて、宿泊旅行は1人1泊あたり2万円、交通付き宿泊旅行は2泊以上で3万円など。北陸新幹線を含んだ旅行商品も対象なので、うまく活用したい。

詳細は北陸応援割ポータルサイトへ。

コマツの巨大な鉱山機械が展示されている小松駅前の「こまつの杜」(写真/伊藤岳志)

Q:全線開業はいつになるの?

北陸新幹線は新大阪駅まで延伸される計画になっている。小浜市から京都府北部に入る大まかなルートは決定しており、途中、小浜市、京都駅、松井山手付近に駅ができる予定だ。完成すれば大阪方面で敦賀乗り換えが解消され、新大阪駅から福井駅まで直通55分、金沢駅まで同1時間20分で結ばれる。

現在、着工へ向けて環境アセスメントを実施しているが、開業年など詳細は決まっていない。想定工期は15年で、今すぐ着工しても開業は40年頃になる。

現時点では構想段階にとどまるが、敦賀―名古屋駅間を結ぶ北陸・中京新幹線計画もあり、実現すれば名古屋方面へも乗り換えなしで結ばれる。

なお、ほかのエリアで建設中の整備新幹線としては、27年開業予定のリニア中央新幹線の品川―名古屋駅、31年開業予定の北海道新幹線新函館北斗―札幌駅があるが、工事の遅れや環境問題などで開業は後ろ倒しになる見通しだ。また西九州新幹線新鳥栖(とす)― 武雄(たけお)温泉駅間は沿線自治体の佐賀県が同意しておらず、建設するかも含め開業時期は見通せない。

文/鎌倉 淳(旅行総合研究所タビリス)

福井駅長に聞きました

福井駅長◉堀井宏通(ひろみち)さん

いよいよ3月16日に北陸新幹線の金沢―敦賀駅間が開業します。私自身、新人時代に勤務した福井で開業を迎え、感無量です。多くのお客様に安全・安心・快適に新幹線をご利用いただき、「福井に来てよかった!」と思っていただけるよう、社員一人一人力を合わせ、盛り上げてまいりたいと思います。

福井県内には、東尋坊、永平寺、恐竜博物館といった著名な観光地のほか、レインボーライン山頂公園や三方五湖、青葉山など自然を満喫できるエリア、越前おろしそばや越前がに、福井甘えび、ふくいサーモン、若狭ふぐなどさまざまな海産物があります。

新幹線の駅にはそれぞれ特徴があり、建物の内装に笏谷石(しゃくだにいし)や越前和紙といった地元の特産品が使われていたり、新駅の発車メロディーには松任谷由実さんや葉加瀬太郎さんらがそれぞれの土地をイメージして制作した曲が使われていますので、注目してみてください。

北陸新幹線で、北陸・福井へぜひお越しください!

北陸新幹線ウェルカムフェスタを開催

開業日の3月16・17日、福井駅周辺ではウェルカムフェスタが開催される。福井駅西口の商業施設ハピテラスでは、地酒の鏡開きと振る舞い酒、チアダンスや伝統芸能の披露、饅頭や菓子をまく地元の風習「万寿(まんじゅう)まき」などを行う。このほか、福井市観光交流センターでの演出やデジタルスタンプラリー、福井市中央公園でのステージパフォーマンスやワークショップ、駅上空でのブルーインパルスの展示飛行(16日)も見どころだ。


※料金等すべて掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2024年4月号)
(Web掲載:2024年3月16日)

※北陸新幹線を特集した旅行読売2024年4月号は、「こちら」の直販サイトからご購入いただけます。


Writer

鎌倉淳 さん

1969年、東京都生まれ。旅行総合研究所タビリス代表。放送局記者を経て、世界の観光エリアや航空・鉄道に関する取材を続けている。著書に「死ぬまでに一度は行きたい世界の遺跡」(洋泉社)など

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