【旅と駅弁・駅麺】北陸新幹線延伸直前!海の幸駅弁の旅(1)
鯛の舞(1600円)。後方は開業を待つ北陸新幹線の敦賀駅。駅舎の高さは約37㍍。「空にうかぶ~自然に囲まれ、港を望む駅~」がデザインコンセプト
鯛の舞×東尋坊えびかに海鮮ちらし×炙りのどぐろ棒寿し
今、鉄道ファンの間で熱い話題になっているのが、2024年3月に金沢―敦賀駅間が開業する北陸新幹線だ。それに伴い、北陸線(金沢―米原駅間)のうち新幹線が開業する区間は第3セクターに引き継がれる。関西や名古屋方面からの特急「サンダーバード」「しらさぎ」は敦賀までの運転となり、利用客は敦賀で新幹線に乗り換えることになる。大きく変わろうとしている北陸へ、新鮮な海の幸駅弁を食べに行こう。
米原から特急「しらさぎ」で出発。長浜付近で琵琶湖が見え、約30分で敦賀に着いた。敦賀駅交流施設「オルパーク」に「塩荘(しおそう)」の販売店がある。創業は1903年、名物駅弁の「元祖鯛鮨(たいずし)」はロングセラーだ。注目は「鯛の舞」。近海産の小鯛(レンコダイ)を使用し、グレードアップさせた鯛鮨で、常設販売しているのはこの店だけだ。7代目で会長の刀根荘兵衛(とねしょうべえ)さんは「祖父や職人が試行錯誤して作った味を引き継いでいます」と話す。
ひと口食べると、桜色の皮は軟らかく、三枚に下ろした身は淡泊で上品。かみ締めるほど、まろやかなうまみと酸味、そして甘みが感じられ、押し加減も絶妙だ。コシヒカリなど福井県産米を自社の地下水で炊き上げ、酢も地元産の米酢と地産地消にこだわる。味付けは企業秘密だが、「砂糖はざらめを使い、酢に溶かす際は沸騰させない程度に温めています」と刀根さんはおいしさの理由の一端を明かしてくれた。
敦賀駅前には2022年秋に、ホテルや店舗などを併設した TSURUGA POLT SQUARE(ツルガ・ボルト・スクエア)「otta(オッタ)」がオープンした。新幹線開業に向け、駅舎の工事も急ピッチで進む。特急列車のホームは新幹線ホームの下に移動し、上下乗り換え方式となる。
文/星 裕水 写真/宮川 透
【旅と駅弁・駅麺】北陸新幹線延伸直前!海の幸駅弁の旅(2)へ続く
【日帰りモデルコース】
米原駅 8:57発
↓ 特急しらさぎ1号
敦賀駅 9:25着11:26発
↓ 特急しらさぎ5号
鯖江駅 11:51着13:14発
↓ 北陸線
福井駅 13:29着14:07発
↓ 特急サンダーバード21号
金沢駅 14:55着
※土曜、休日用ダイヤ
【敦賀】
越前かにずし
食べきりの逸品 かにの宴(塩荘)
11月~3月限定。紅ズワイガニの身を敷き詰めて、カニ身と酢飯の間にかにみそを塗っている。1700円。
※掲載時のデータです。
【敦賀】
おぼろそば(気比そば うどん あまの)
塩荘の隣にあるそば店。敦賀名物のおぼろ昆布をトッピング。
薄削りの昆布はつゆに浸すとグッとうまみが増す。400円。
※掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2023年12月号)
(Web掲載:2023年11月26日)