日進駅【宗谷線】
入植者の愛着にじむ雪原の駅、その存続を願う
日本最北の鉄道路線である北海道の宗谷線は、53駅のうちほとんどが無人駅だ。乗降場などから昇格した駅が数多くあり、現在その存続が危ぶまれている(※注)。日進駅もそうした駅の一つだ。
しんしんと白雪が舞い続ける名寄(なよろ)市の外れ。ピヤシリ山の麓の雪原に、「日進」の文字を掲げた緑色の壁の小さな駅舎が、ポツンとたたずんでいる。駅名はこの地に入植した人が「日進月歩」の意味をこめて付けたという。駅名表示板には旧名寄町の町章が描かれるなど、地元の人々の愛着が感じられる駅である。
近くにはカーリングが楽しめるサンピラーパークや国内トップレベルの星空が観測できる天文台きたすばるなど北国ならではの施設が充実している。小さな駅の灯火が、町の歩みとともに輝き続けてほしいと願った。
文・写真/越信行
宗谷線は1922年に全線開業。日進駅は1959年開業。日進駅へは旭川駅から宗谷線普通列車で約1時間50分
※注……2021年3月に少なくとも12駅が廃止になる予定。
(出典 「旅行読売」2018年2月号)
(ウェブ掲載 2020年12月13日)
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