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【天下取りの城へ】変化に富む「城郭の博物館」、鳥取平野と日本海の好展望も 鳥取城

場所
> 鳥取市
【天下取りの城へ】変化に富む「城郭の博物館」、鳥取平野と日本海の好展望も 鳥取城

復元された擬宝珠橋と中ノ御門。その背後には標高263メートルの久松山がそびえ、山頂に山上ノ丸がある

「日本にかくれなき名山」と評された鳥取城

鳥取駅に降り立つと、メインストリートの先に山頂付近に石垣の残るこんもりとした山容が目に入る。戦国時代、防御性の高さや山頂からの優れた眺めから「日本(ひのもと)にかくれなき名山」と評された鳥取城(久松山<きゅうしょうざん>)だ。その堅牢(けんろう)な名城を攻略したのが、「渇(かつ)え殺し」とも呼ばれる羽柴(豊臣)秀吉による兵糧攻め。備中高松城(岡山)の「水攻め」、三木城(兵庫)の「干し殺し」と並び、秀吉の三大城攻めとして知られる。

築城は16世紀中頃。1581(天正9)年に秀吉との合戦に敗れた城主吉川経家(きっかわつねいえ)は自刃(じじん)し、代わって秀吉の家臣、宮部継潤(けいじゅん)が入城。宮部が近世城郭に改修し、関ヶ原の戦いの後、城主となった池田家が鳥取藩32万石の城として山麓を拡張整備した。山頂の山上(さんじょう)ノ丸(山城)と、山麓の山下(さんげ)ノ丸(平山城)が異なる表情を見せるのはそのためだ。

近年、山下ノ丸の復元工事が進められ、2025年3月に中ノ御門渡櫓(わたりやぐら)門が完成。擬宝珠(ぎぼし)橋を渡って城の玄関口にあたる中ノ御門の表門と、渡櫓門をくぐって城跡内へ入れるようになった。今後、太鼓御門、二ノ丸三階櫓の復元も計画されている。

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表門を入ってすぐ右手にある渡櫓門。25年3月に復元され、中ノ御門全体が完成した

城内には見どころが多い。旧藩主池田家の別邸で洋風建築の仁風(じんぷう)閣は修理工事中(29年度まで)だが、宝隆(ほうりゅう)院庭園は見学できる。隣接して県立博物館もある。二ノ丸周辺を整備した久松公園は、「日本さくら名所100選」の桜の名所。野面(のづら)積み、切石積みなど随所に構築法の異なる石垣群が残り、特に全国唯一の球面の石垣、天球丸の巻(まき)石垣は必見だ。

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背後の石垣崩落防止のため江戸時代に築かれた巻石垣(復元、写真/ピクスタ)

二ノ丸から急な石段が続く中坂を上っていくと、約40分で山上ノ丸に出る。天然の要害を利用した、防御に優れた城だったことがうかがえる。本丸跡に立つと南に鳥取市街、西に大山(だいせん)、北に鳥取砂丘と日本海を一望できる。東に見える電波塔が本陣山の山頂で、その名の由来である秀吉の本陣が置かれた太閤(たいこう)ヶ平(なる)だ。

本丸跡から太閤ヶ平へは1時間ほど山道を歩く。教育委員会文化財専門員の細田隆博さんは「最深部で3メートルの空堀(からぼり)と高さ5メートルの櫓台(やづらだい)があり、軍事的な縄張りとして優れていますが、実際に目にするとまず規模に驚きます」と話す。空堀と土塁に囲まれた空間が秀吉の本陣の内郭跡。当時尾根に木々はなかったので、久松山の曲輪(くるわ)なども見えたようだ。秀吉の心持ちで様々な想像を巡らしてみるのも面白い。

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秀吉が陣城を築いた太閤ヶ平。大手空堀底から大手虎口(こぐち)土橋越しに櫓台を望む

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天球丸からも二ノ丸と鳥取市街を見渡せる。二ノ丸周辺は桜の名所として知られ、多くの花見客でにぎわう(写真/ピクスタ)

ここにも立ち寄りたい

渡辺美術館

医師・渡辺元氏が収集した3万点余りの美術品と甲冑(かっちゅう)と刀剣数百点、鳥取藩池田家ゆかりの品々などを収蔵展示している。池田家伝来の脇差「浦島虎徹」(復元刀)が見どころの一つで、藩政時代に活躍した根本幽峨(ゆうが)の屏風絵などの県指定保護文化財もある。展望カフェとミュージアムショップを併設。
■10時〜14時30分(土・日曜、祝日は〜16時30分)/火曜(祝日の場合は翌平日)休/900円/山陰線鳥取駅からバス15分、渡辺美術館下車すぐ/鳥取市覚寺55/TEL:0857-24-1152

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鎌倉時代から江戸時代まで100領前後の甲冑を常設展示

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池田家伝来の脇差「浦島虎徹」(復元刀)も見逃せない

🏯お城豆知識

歴史的に有名な「渇え殺し」は、持久戦になると考えた秀吉が、あらかじめ一帯の米を高値で買い占め、さらに村々を襲って人々を城内に追い込んだため、すぐに兵糧が底をついた。草や葉、そして牛馬、ついには人肉を食うなどの地獄絵図が展開されたという。

文/田辺英彦


<鳥取城> 100名城

■御城印:あり(300円)
■入城:自由
■交通:山陰線鳥取駅から循環バス(緑コース)8分、仁風閣・県立博物館下車すぐ
■住所:鳥取市東町2
■問い合わせ:TEL0857-26-3595(鳥取城跡・仁風閣展示館)

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※記載内容はすべて掲載時のデータです。

(出典:旅行読売2026年2月号)
(Web掲載:2026年3月3日)


Writer

田辺英彦 さん

東京都大田区出身、埼玉県在住。旅行ガイドブック編集・執筆、出版業界誌執筆などを経てフリーランスに。東北・八幡平の温泉群と、低山ハイク、壊れかけたもの・廃れたものが好き。

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