【鉄印帳の旅】秋田内陸縦貫鉄道
四季を通じて里山風景と大自然の絶景が車窓から楽しめる秋田内陸縦貫鉄道秋田内陸線の旅に出た。
角館駅を出た列車は桧木内(ひのきない)川に沿って広がる田園地帯を徐々に高度を上げながら走って行く。途中、秋田県最長の十二段トンネルでは、頂に到達したほんのわずかな時間、列車の前後にトンネル出入り口の明かりが同時に見えた。笑内(おかしない)―萱草(かやくさ)駅間の大又川橋梁(きょうりょう)からは沿線随一の阿仁(あに)川の絶景を堪能。ほどなく列車は阿仁合(あい)駅に到着した。
この町の歴史は阿仁鉱山によって始まる。その貴重な資料が展示保存される「阿仁伝承館・異人館」をまずは見学。駅前の「ふれあいショップ ひまわり」では、昼食に比内(ひない)地鶏の親子丼(800円)と郷土料理のあんかけだまっこ(550円)を食べて駅へと戻った。
駅の窓口では観光アテンダントの武田千鳥さんが素敵な笑顔とともに鉄印に日付を入れてくれた。和紙風の紙に印刷された「秋田内陸縦貫鉄道」の上に、「笑顔を乗せて走り続ける」から名付けられた観光列車「笑EMI(えみ)」の車内限定スタンプのほか、同鉄道のマスコット「じゅうべぇ」と応援キャラクターの「ないりっくん」のスタンプ、それに鉄印帳用に新たにデザインしたという金色の「阿仁合鐵印」が押され、楽しげで思わず笑みがこぼれる。
時を同じくして窓口で鉄印をもらっていたのは、「鉄子の部屋」でも知られる“スマイル幸師(こうし)”の森川あやこさん。「鉄印帳が地方鉄道へ旅に出るきっかけをくれました」とこれまた笑顔で話してくれた。
秋田内陸線は「笑顔がある、笑顔になれる鉄道」のコンセプトからスマイルレールの愛称を持つ。帰る前に立ち寄った阿仁前田駅に併設するクウィンス森吉(もりよし)の湯につかっていると、今日出会ったたくさんの笑顔が走馬灯のように思い出された。
鉄印帳の販売・鉄印の記帳は阿仁合駅で9時〜16時30分。
鉄印帳2200円/鉄印の記帳料300円(乗車券の提示が必要)。
TEL:0186-82-3666
(出典「旅行読売」2021年1月号)
(ウェブ掲載 2021年1月31日)