【おうちで南極体験】教えて!添乗員さん 南極クルーズってどんなツアー? <第1回>
<第1回>南極クルーズ 「きほんのき」。どんなことをするの? 食事は?
これまでの【おうちで南極体験】シリーズを通して、南極の魅力を知れば知るほど、ツアーそのものに興味が湧いてきますね。船の中の様子はどんな感じ? どんなふうに過ごすの? 食事は? など、南極クルーズの素朴な疑問や、船の中での生活などについて、読売旅行の荒川久美子、樋口智恵、今野薫子が、実際の添乗経験をもとにお答えします!
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――南極クルーズツアーについて教えてください。
トータルで14日間、うち10日間は船に乗っています。船はチャーター船で、アルゼンチンの都市・ウシュアイアから乗り込みます。途中、南極半島北のサウス・シェトランド諸島に上陸観光したり、南極半島の見どころを巡る南極クルーズをメインに、行きはブエノスアイレス、帰りはフエゴ島国立公園の観光も楽しめます。
――南極クルーズの1日のタイムスケジュールはどのような感じですか?
南極に上陸する日は、朝食をとった後、船外活動、船に戻って昼食をとり、その後また船外活動と、1日2回船から出て活動します。朝食の時間は船外活動がある時は7時か、7時30分から。終日航海の時は少しゆっくりめで8時から。早起きしてお腹がすいてしまってもアーリーモーニングといって、コーヒー、紅茶、クッキーやスナックなど簡単な軽食が用意されています。
船外活動にはゾディアックボート(探検用小型艇)に乗ってのクルージングと上陸観光があります。海を泳ぐクジラやペンギン、巨大な氷山などを間近で観察できますよ。
午後の観光を終えて船に戻ると、「今日のおさらい」というブリーフィングがあり、スライドショーを見ながら今日1日を振り返ります。それが30分くらい。その後、夕食になります。
――ちょっと早起きして、海を見ながらコーヒーを飲むというのも素敵ですね。クルーズの食事はどんなものが出るのですか?
基本的には洋食です。朝食と昼食はビュッフェスタイル、夕食はコース料理。コースは前菜2種、スープ2種、メイン3種、デザート2種の中から選べます。天気が良ければ屋外バーベキューも行います。日本食コーナーもあって、ちらし寿しや焼きそば、日本そばなどが用意されています。毎朝、並ぶお粥も好評です。実はこの日本食を作るために、2人の日本人シェフが乗船しているんですよ。
――それは贅沢ですね。食事をする席は決まっているのですか?
席は自由です。どこでも誰とでも……です。
――ということは、テーブルを囲む人が毎回違ってくるので、自然と他の参加者たちと交流する機会になりますね。食事をとったかどうかはチェックするのですか?
レストランの入口でチェックしています。来られていない場合は、船酔いだったり、体調を崩されている場合も考えられるので、その確認のためにお部屋に電話をしています。楽しく過ごしてもらえるように、お客様が今どんな状態なのかを常に把握できるように心がけています。
――夕食後にも楽しみはありますか?
「カラオケ南極支店」といって、カラオケ大会を2016年から開いているんですよ。当初は毎日開くつもりはなかったのですが、思いのほかお客様に好評だったので、今ではほぼ毎日開くようになりました。みなさん、演歌を歌われる方が多くて、南極の海で日本の演歌を気持ちよさそうに歌っています(笑)。私たち添乗員は、歌の番号を機械に入れたり、マイクを渡したりしています。
また、「南極トーク」と題して国立極地研究所の先生のお話を、お酒を飲みながら気楽に聞くという会もありました。次の日に備えて体調管理も大切なので、だいたい22時頃には全てのイベントや講座を終了するようにしています。
――朝から晩まで予定がぎっしりありますが、それらのスケジュールを把握するのは大変そうですね。
1日のスケジュールは船内新聞で確認することができます。外国船の場合、船内新聞は基本的に英語で書かれていますが、チャーター船なので日本語です。南極大陸の上陸観光のポイントは、天候などを考慮して前日の夕方16時頃に船長が最終的にOKを出して決定になります。決まったら情報が英語で回ってくるので、それを船内新聞の担当が日本語に訳して作成しています。プリントアウトをするのも船内です。一度、プリンターが詰まって、とても焦ったことがありました。完成した船内新聞は添乗員が総出で各部屋に配ります。
――船内新聞係を作って配ったり、カラオケ店の店員になったりと、添乗員さんは忙しいですね。ツアーには何人くらい同行するのですか?
お客様10名に対して1名くらいの割合です。過去の例を見ると、今まで一番参加人数が多かった時がお客様150名で、その時は13名が添乗しています。
――一般のツアーに比べるとずいぶん多いですね。
船外活動のゾディアックボートでのクルージングは、一つのボートにだいたい10名が乗るので、それに添乗員が必ず一人は同乗できるようにしています。ここでもドライバー兼ガイドのスタッフが、英語で説明するので、通訳も兼ねています。
――何役もこなす添乗員さんて、働き者ですね~! びっくり!
「<第2回>飽きる暇なし! 講座やイベントが盛りだくさん! 南極でしかできない体験も」に続く
(2021年6月18日アップ予定)