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【おうちで南極体験】教えて!添乗員さん 南極クルーズってどんなツアー? <第2回>

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> 南極
【おうちで南極体験】教えて!添乗員さん 南極クルーズってどんなツアー? <第2回>

<第2回>飽きる暇なし! 講座やイベントが盛りだくさん。南極でしかできない体験も

これまでの【おうちで南極体験】シリーズを通して、南極の魅力を知れば知るほど、ツアーそのものに興味が湧いてきますね。船の中の様子はどんな感じ? どんなふうに過ごすの? 食事は? など、南極クルーズの素朴な疑問や、船の中での生活などについて、読売旅行の荒川久美子、樋口智恵、今野薫子が、実際の添乗経験をもとにお答えします!

南極クルーズ&オンライン説明会の詳細はこちらから。


第1回に続き、実際に南極クルーズに添乗したスタッフが今回も語ってくれた

――ツアーの日程表を見ると、ウシュアイアを出港して南極へ着くまではずっと船にいるわけですよね。どのように過ごすのですか? 外に出られないって、正直、飽きませんか?

終日航海は行きと帰りの2回あり、航海中は講座やイベントなどが用意されています。講座は基本的に午前1回と午後に1回ないし2回。講座のなかには、主に上陸に際しての注意事項など、南極に上陸するために必ず受けなければならないものもあるんですよ。

例:2022年1月出発の南極クルーズの日程表。行きと帰りの1回ずつ終日航海の日があるのがわかる


――さすが南極ですね、上陸するために必須の講座があるとは。他にはどのようなものがありますか?

主に南極の自然や生き物をテーマにしたものが多く、「動物の環境への対応」や「なぜ南極にシロクマはいないのか」などの講座がありました。帰りの講座は「南極観測で分かったこと」、「海洋生物たちに関すること」などです。さらに、南極へ上陸するという夢を叶えて嬉しい反面、目標がなくなって淋しいと感じている人もいるので、次、北極へ行きませんか? といった旅の提案もしています。


――講師はどんな方なのですか?

船のスタッフが行います。実は講座を担当するスタッフは、普段は研究をしている専門家です。その研究を兼ねて、スタッフとして乗船してくださっています。日本人講師は毎年2人、乗船しています。ペンギンなどの鳥類やオーロラについて、南極観測隊の経験談などの講座がありました。ちなみに、この「おうちで南極体験」にご登場いただいた佐藤夏雄名誉教授も講師として乗船いただいたことがあります。

船内での講義風景

――実際に南極に降り立ってから話を聞くとより身近に感じられるでしょうね。今、「日本人の講師」とおっしゃいましたが、他の講師陣は外国人ですね(汗)。英語がわからないのですが…。

音声ガイドシステムがあるので安心してください。外国人講師のお話は日本語の同時通訳で聞くことができますので、言葉の心配はありません。専門的な話を深堀りできますよ。

こうした講座やイベントの合間には、南極の船外活動の際に乗るゾディアックボートの乗り方の案内、お客様に支給するパルカという防寒着と、貸し出しする長靴のサイズ合わせ、それに南極には菌を持ち込んではいけないので、衣類や帽子、手袋などのクリーニングなどもあります。結構、忙しいでしょう(笑)。「南極へ向けて出発したぞ~!」と気持ちがたかぶっているところに、あれやこれやと準備を重ねていきますので、手持無沙汰になるということはないと思います。

――ほんとに、盛りだくさんですね。いろいろと準備を整えて行くにつれて、気分もさらに盛り上がりそう。イベントはどんなものがあるのですか?

操舵室から眺望や仕事ぶりを眺められる「ブリッジ開放」、南極の海に飛び込む「ポーラープランジ」、「一夜のキャンプ体験」などがあります。ポーラープランジは“飛び込みました”という証明書を発行しています。ふんどし姿でダイブしたおじいちゃんもいました! 飛び込むときはテンションが上がっているので寒さを感じないのですが、海から上がった後がめちゃくちゃ寒いんです(笑)。

ポーラープランジ。まさに飛び込んでいる最中

帰りの航海中にはチャリティーオークションが開催されます。オークションの目的はペンギン基金のためのお金を集めること。出品物はスタッフが考えて準備します。メインはクルーズ中に船首に掲げていた旗。真新しかった旗も南極の風に当たり、旅の終わりにはボロボロになっているのがまた、旅情をそそりますよね。その旗にスタッフたちがサインを入れて出品します。目玉の品でもあるので例年100万円くらいで落札されています。ほかにも、船を5分間操舵できる権利も人気です。船を操縦している姿を写真撮影するのですが、その後ろで救命胴衣をつけた航海士が “大丈夫か!? ぶつかるぞ” といった表情をして写るのが恒例です。


――「一夜のキャンプ体験」は、南極の氷の上で寝るのですか?

これは30名限定のオプションになります。キャンプをするポイントはいくつかありますが、だいたい南極大陸そばに浮かぶロンジェ島で行っています。そこで寝袋に入って氷の上に寝ます。キャンプといってもテントは張りません。動物たちが動く音や鳴き声が聞こえて、大自然を実感できると評判です。キャンプに参加する人は、早めの夕食を食べて、下船してセッティングをします。翌朝4時か5時頃には船に戻るので、寝袋で過ごすのは6~7時間くらいなので寝ない方が多いです。南極の夏は夜でも白んでいて真っ暗にはならないので、周辺を見渡せるのはいいですよね。アザラシが近くに来ることもあるので、「動物が来るかなとワクワクドキドキした」と話してくれた参加者もいました。キャンプ体験の時は、船を移動させて島から船が見えないようにし、アドベンチャー感が増すような演出もします。

ロンジェ島でのキャンプ。寝床から見た風景


――船の姿がなく、エンジン音も聞こえないほうが、大自然という感じを満喫できるでしょうから、嬉しい配慮ですね。氷の上で寝るって寒くないのですか?

南極はすごく寒いイメージがありますが、だいたい-5℃からプラス5℃くらい。日本のスキー場のゲレンデと同じくらいと思ってください。


――そうなんですか⁉ 案外寒くないのですね。



「<第3回>船は揺れるの? 体調を崩したら? 服装やチップはどうする?」に続く
(2021年6月25日アップ予定)

今回の南極添乗員座談会でたっぷり語ってくれた読売旅行の添乗員。左から今野薫子、荒川久美子、樋口智恵


Writer

たびよみ編集部 さん

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