南出羽駅【奥羽線】
天童から山形に戻る途中、駅前の緑が気になる南出羽(みなみでわ)駅に立ち寄った。
ガラス張りのとんがり屋根の駅舎は開放感にあふれ、夏の日差しが燦々(さんさん)と降り注いでいた。駅前には大きなケヤキの木があり、山形盆地を囲む山々から吹く夏風に葉が揺れ、ひとときの涼をもたらしてくれる。
駅周辺は、病院や医療系大学とともに「健康の森公園」として整備されている。次の列車を待つ間、緑豊かな広い公園を散策した。ベニバナの産地として知られる山形市内高瀬地区に端を発する村山高瀬川が公園の中央を流れ、周囲の豊かな緑と相まってマイナスイオンを放つ。その中に身を委ねていると、心が洗われる思いがした。
身も心もリフレッシュして駅に戻る。緑まばゆいケヤキの後ろに夏雲を抱いた駅舎が、神々しく思えた。
文・写真/越信行
奥羽線は1905年全線開業。南出羽駅は1952年開業。南出羽駅へは山形駅から10分
(出典「旅行読売」2019年8月号)
(ウェブ掲載 2021年7月21日)
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