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【旅する喫茶店】純喫茶リエール 雲山萬化荘(和歌山)

場所
> 和歌山市
【旅する喫茶店】純喫茶リエール 雲山萬化荘(和歌山)

日本庭園を眺める広々とした店内

 

明治期の別荘で過ごす風雅なひと時

万葉集に詠まれた風光明媚な町、和歌浦。江戸時代に架けられたアーチ状の石橋・不老橋をシンボルとする古くからの観光地だ。明治期には海を望む小山(奠供山 てんぐやま)に、日本初の屋外展望エレベーターが設置されてにぎわったという。

純喫茶リエールはその山裾にあり、平屋建ての重厚な日本建築がしっとりした風格を漂わせている。

「この建物は築約130年。紀州藩出身の外交官、陸奥宗光(むつむねみつ)のいとこで第2代農林大臣を務めた岡崎邦輔(くにすけ)の別荘だったんです。文化的価値の高い建物なので、手をかけて守っていきたいですね」と店主。10年ほど前にカフェに改修されて以降、何度か経営者が変わったが、町の人々になじみの深い店名を変えることなく受け継いでいるそうだ。

ワッフル
有田みかんソースのワッフルとホット珈琲(コーヒー)で至福の時間
店主
店主の林真由美さんの気さくな笑顔も魅力

店内はレトロなシャンデリアや調度品が映える和洋折衷のモダンな空間で、大きく開いた窓から日本庭園が望める。窓際の席でコーヒーとともに味わったのは焼きたてのワッフル。和歌山の特産、有田みかんのさわやかなソースがサクッとした食感を引き立てている。

メニューには郷土料理の茶粥(ちゃがゆ)もあって心ひかれたが、今はゆっくりコーヒーを飲みながら見事な松の枝ぶりを眺めて過ごしたい。文明開化の時代を駆け抜けた、偉人たちのドラマを思いつつ。

文/北浦雅子 写真/清水いつ子

和歌浦
奠供山の上から和歌浦の入り江を望む

純喫茶リエール 雲山萬化荘(うんぜんばんかそう)

住所:和歌山県和歌山市和歌浦中3-5-5

交通:阪和線・和歌山線・紀勢線和歌山駅からバス23分、曙(あけぼの)橋下車すぐ

TEL:073-499-8698

(出典 「旅行読売」2021年7月号)

(ウェブ掲載 2021年8月14日)

旅行読売出版社「旅する喫茶店」2021年9月1日(水)発売 定価1430円(税込)


Writer

たびよみ編集部 さん

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