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駅麺紀行 三陸リアス亭【久慈駅】

場所
> 久慈市
駅麺紀行 三陸リアス亭【久慈駅】

地元の普代村産のメカブが載る「めかぶそば」はつゆとの相性もよく、とろっとした食感がクセになる

名物うに弁当も売る夫婦で営む店

2019年3月、JR山田線の一部を引き継ぎ、三陸鉄道リアス線は全長163㌔を走る日本一長い第三セクター鉄道として新たなスタートを切った。三陸リアス亭は、そのリアス線最北に当たる久慈(くじ)駅の駅舎内で営業する駅麺店である。一世を風靡した朝の連続テレビ小説「あまちゃん」で、主人公のアキが販売していた駅弁のモデルになった「うに弁当」を製造販売していることでも知られる。

店は、リアス線沿線の普代(ふだい)村で元々旅館を営んでいた佐々木雄(せいゆう)さんと工藤クニエさん夫妻が切り盛りする。2人は沿線に名物を作りたいと、1984年の三陸鉄道開業直後から旅館で作った「うに弁当」を列車内で販売していたのだが、1993年に空きができた久慈駅一角の店舗スペースを活用しようと、そこで駅弁の製造販売と駅麺店を始めた。久慈駅の改札を出てすぐ左、待合室に置かれたベンチの目の前に広さ4.5畳ほどの調理場兼店舗がある。

あっさりとした薄口のつゆは、工藤さんが毎日店内でカツオ節などでだしを取るところから手作りする。麺は「南部味そば」を販売する二戸市の戸田久(とだきゅう)のものを、載せる具材には地元産のメカブやホタテを使う。「元々食い道楽が趣味で、自分がおいしいと自信を持って言える味を皆さんにも楽しんでもらいたい」と話す佐々木さんが選び抜いた食材だ。

ネバネバコリコリの食感が特徴の「めかぶそば」は、つゆと混ざるとほのかな潮の香りが口に広がる。歯応えがあり、そばの風味がしっかりと感じる麺との相性もいい。大きなホタテが載る「ほたてそば」は、三陸地方まで旅してきたからこそ味わえるもので旅情も感じられる。遠方ではあるが、素朴で夫妻の愛情味あふれる駅麺店は、一度訪ねてみる価値がある。

文/越 信行 写真/冨手 淳ほか

 

【お品書き】(※2021年4月現在の料金)

かけそば・うどん 310円

天ぷらそば・うどん 410円

めかぶそば・うどん 430円

ほたてそば・うどん 500円

にしんそば・うどん 500円

久慈駅
久慈駅。リアス亭は、駅の待合室の一角にあるカウンターのみの店。駅舎内のベンチに座って食べることもできる
三陸鉄道
白地に赤と青のラインが特徴的な三陸鉄道の気動車
店内
「あまちゃん」に登場する「夏ばっぱ」を彷彿とさせる工藤クニエさん
うに弁当
1日限定20食の「うに弁当」もここでしか買えない。 販売開始直後に売り切れることもあるので予約しておきたい

三陸リアス亭

住所:三陸鉄道リアス線久慈駅改札外

問い合わせ:0194-52-7310

(出典 臨時増刊「駅麺紀行」)

(ウェブ掲載 2021年9月21日)

駅麺紀行表紙
臨時増刊「駅麺紀行」(定価1000円)は全国の書店、オンライン書店で好評発売中。お近くの読売新聞の販売店でも注文できます

Writer

越信行 さん

神奈川県生まれ。全国の駅を撮り歩く駅旅写真家。月刊旅行読売で「駅舎のある風景」を連載中。著書に「生涯一度は行きたい春夏秋冬の絶景駅100選」(山と溪谷社)など

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