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駅麺紀行 でる・そーれ【津軽五所川原駅】

場所
> 五所川原市
駅麺紀行 でる・そーれ【津軽五所川原駅】

揚げ玉と長ネギだけ載るシンプルな姿に津軽そばの伝統を感じる

熟成麺が特徴の名物、津軽そば

奥津軽と呼ばれる青森県の西部エリアで、昔から食されている「津軽そば」をご存じだろうか。通常そばは挽(ひ)きたて、打ち立てが定番だが、津軽そばはちょっと違う。そば粉に加えて大豆・小麦粉などをつなぎにして生地を作り、数日かけて熟成させるのだ。こうすることで、そばの軟らかな優しい食感と風味が増すという。

そんな津軽そばを鉄道施設内で手軽に味わえるのが、津軽五所川原駅前の津軽鉄道本社1階にある「でる・そーれ」だ。ここは2009年にオープンした地域交流施設で、食事のほかに地元特産品を使った加工食品・工芸品・土産も販売し、津軽鉄道サポーターズクラブの活動拠点にもなっている。

メニューを見ると、津軽そばではなく「ぼんじゅそば」の文字が。「当店のそばは、津軽そばの中でも希少なものなんですよ」と説明してくれたのは、代表の澁谷尚子さん。五所川原には竹鼻製麺所という老舗の製麺所があり、ぼんじゅそばはそこの専売の津軽そばだという。そばの実の中心部分だけを使ったぜいたくなそば粉を使用し、近くの梵珠(ぼんじゅ)山から湧き出た天然水と合わせて生地を作って3日間寝かせるという。

そばをひとすすりすると、軟らかな食感にもかかわらずしっかりとしたそばの香りが口の中に広がる。煮干しの香り漂うつゆがまた合う。

「この煮干しベースのだしとかえしも、ぼんじゅそばと相性が良いので竹鼻製麺所さんから提供してもらっています。中華そばは、当店特製の青森シャモロック(青森特産の地鶏)スープを使った昔ながらの津軽ラーメンの味わいです」と澁谷さんは話す。

津軽鉄道に乗る前に、そして乗った後に、このおいしい津軽名物を味わってみたい。

文・写真/伊藤岳志

 

【お品書き】(※2021年4月現在の料金)

ぼんじゅそば 495円

中華そば 605円

カレー南蛮そば・中華 605円

ぼんじゅそは若生セット 770円

中華そば若生セット 858円

外観
津軽五所川原駅前の津軽鉄道本社1階で営業。駅舎を含め昭和にタイムスリップしたような光景だ
内観
地元特産品の販売も行う手作り感あふれる店内
ラーメン
色が逆転した「なると」と「お麩」が載るのも津軽ラーメンの伝統

でる・そーれ

住所:津軽鉄道津軽五所川原駅前の津軽鉄道本社1階

問い合わせ:0173-34-3971

(出典 臨時増刊「駅麺紀行」)

(ウェブ掲載 2021年9月10日)

駅麺紀行表紙
臨時増刊「駅麺紀行」(定価1000円)は全国の書店、オンライン書店で好評発売中。お近くの読売新聞の販売店でも注文できます

Writer

伊藤岳志 さん

1969年、神奈川県生まれ。鉄道、車、バスなどさまざまな乗り物の撮影を手がける。著書に「さらば栄光のブルートレイン」(洋泉社)など

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