聖徳太子が見た風景 -飛鳥・斑鳩-(1)飛鳥編
聖徳太子ゆかりの地である飛鳥と斑鳩(いかるが)。幾重にも歴史が折り重なるこれらの地では、今でも1400年前の景色に出会うことができる。今回は東京・新橋にある、奈良県ブランドショップ「奈良まほろば館」の観光コンシェルジュ、則久さんと卜部さんに特別にご案内いただき、聖徳太子が見た風景を巡る旅に出た。
(写真は飛鳥散策のメインの一つである甘樫丘。明日香村の里山風景や倭平野を望むことができる)
旅の始まりは、生誕の地・飛鳥
初日は飛鳥駅でレンタサイクルを借りてスタート。「聖徳太子は飛鳥生まれと伝えられています。今日はゆかりの地を訪ねて、聖徳太子を身近に感じてもらえれば」と則久さん。
抜けるような青空の下をサイクリングすること約30分で、聖徳太子生誕地といわれる橘寺に到着する。執事の二階堂尊元さんにご案内いただく。
「御本尊は聖徳太子が35歳の時のお姿を写した聖徳太子勝鬘経(しょうまんきょう)講讃像です。境内には愛馬の黒駒の像もありますよ」。
毎年、春と秋には聖徳太子の一生を描いた絵伝が特別公開され、全国から聖徳太子ファンが訪れる。「今年はコロナで、公開はちょっと難しいでしょうか」と残念そうな二階堂さん。
西門を出ると、雄大な葛城山、金剛山の眺望が広がる。幼き聖徳太子が毎日のように眺めていた山並みだ。
昼食を挟み飛鳥寺へ。御本尊の銅造釈迦如来坐像は日本最古の仏像だ。補修だらけのお姿はお労しいが、時の流れを見つめ続けてきた貫禄がある。聖徳太子も手を合わせたかも知れないと思うと、同じ時を共有しているような気分になる。
「次はちょっと高いところから、飛鳥や遠く斑鳩方面を眺めてみましょう」と則久さんに誘われ、甘樫丘に登る。聖徳太子も足を運んだであろうこの丘は、標高150メートルにも満たないが眺めは良く、吹き渡る風にのって微かに飛鳥寺の鐘の音が聞こえた。
最後は向原寺。ここは、推古天皇の摂政として聖徳太子が手腕を振るった最初の宮・豊浦宮(とゆらのみや)があった場所で、宮殿跡の石敷が保存されている。飛鳥時代の幕が開けたこの場所に、確かに聖徳太子がいらしたのだなと、想像が実感に変わってきた。
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橘寺
聖徳太子建立七大寺の一つで広大な寺域を有したと伝わる。聖徳太子の祖父・欽明天皇の別宮があり、この厩戸で太子が産まれたことから、厩戸皇子と名付けられたとされる。境内には太子伝説にちなんだ三光石などがあり、聖徳太子の生きた時代を偲ぶことができる。右は本堂の聖徳太子16歳孝養像。
9時~17時(受付は~16時30分)/拝観料350円/TEL:0744-54-2026
石舞台古墳
蘇我馬子の墓といわれる方墳。封土が失われ、巨大な石室だけが残っており、圧倒的な存在感。
8時30分~17時(受付は~16時45分)/入場料300円/TEL:0744-54-3240(飛鳥観光協会)
飛鳥寺
日本初の本格的寺院。御本尊は「飛鳥大仏」の通称で親しまれている。顔立ちは飛鳥時代の特徴を残し、見る角度によって表情が変わる。
9時~17時30分(10月~3月は~17時、受付は15分前まで)/拝観料350円/TEL:0744-54-2126
夢市茶屋
ランチは古代米や地元産の旬の野菜をふんだんに使った「古代米御膳」1250円を(11月まで)。「古代米カレーセット」900円も人気だ。
11時~16時(土・日曜、祝日は~17時)/年末年始休/TEL:0744-54-9450
飛鳥モデルコース
飛鳥駅▶30分▶橘寺▶15分▶石舞台古墳▶2分▶農村レストラン 夢市茶屋▶15分▶飛鳥寺▶10分▶甘樫丘▶3分▶向原寺(豊浦宮跡)▶15分▶橿原神宮前駅
※所要時間は目安です。自転車の場合
レンタサイクル情報
明日香レンタサイクル
明日香駅前営業所のほかに、亀石や石舞台、橿原神宮前駅にも営業所がある。
9時~17時/平日900円、土・日曜、祝日1000円、乗捨料1台につき200円/TEL 0744・54・3919
起点までのアクセス
東京駅から東海道新幹線約2時間10分の京都駅で近鉄線乗り換え、特急約53分の橿原神宮前駅から近鉄吉野線約4分で飛鳥駅。
観光の問い合わせ
飛鳥観光協会 TEL:0744-54-3240