高滝駅【小湊鉄道】
走り行くディーゼル車が満開の菜の花を揺らす
ひと足早い春を探しに、房総半島を横断する列車旅に出かけた。
内房線から乗り換える小湊鉄道五井(ごい)駅のホームでは、昔懐かしいキハ200形ディーゼル車が出発を待っていた。駅構内には機関庫や鍛冶小屋も昔のままの姿で残っている。やがて出発した列車は田園地帯を抜け、高滝(たかたき)湖の近く、菜の花が咲き誇る高滝駅に着いた。
古い木造駅舎は1925年開業時のもの。寄棟(よせむね)造りの瓦屋根に下見板張りの洋風の壁を設え、往時から残る改札口やベンチと相まってレトロな雰囲気を醸している。この駅舎をはじめ、五井駅の機関庫や鍛治小屋など小湊鐵道沿線の22施設が、国の登録有形文化財に登録されている。
付近に住み着いているというネコとしばし戯れていると、春色のホームに次の列車が近づいてきた。
文・写真/越信行
小湊鉄道は1928年全線開業、高滝駅は1925年開業。高滝駅へは五井駅から42分
(出典 「旅行読売」2019年3月号)
(ウェブ掲載 2021年12月30日)