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薬からガラスへ紡がれた 滋味深い食、まち 富山まちなかめぐり【富山県富山市】<後編>

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薬からガラスへ紡がれた 滋味深い食、まち 富山まちなかめぐり【富山県富山市】<後編>

光の反射でさまざまな表情を見せる富山市ガラス美術館


「ガラスの街とやま」を目指すまちづくり

薬からガラスへ紡がれた 滋味深い食、まち 富山まちなかめぐり【富山県富山市】<前編>から続く

富山の新たな名所として、2015年に開館したのが富山市ガラス美術館。開館の経緯は「薬都とやま」にさかのぼる。戦後、薬瓶の需要がなくなり廃れたガラス産業を再興しようと1985年に富山市がガラス工芸コースを開設し、その後ガラス作家を養成する研究所も作った。「ガラスの街とやま」を目指すまちづくりの集大成として美術館の開館に至る。

隈研吾氏が設計した建物は立山連峰をイメージしたガラスやアルミを使った外観と、富山県産材の羽板を使った内観が対照的。2階から5階は市立図書館と共用し、1階には銀行が入っている。6階のグラス・アート・ガーデンでは、現代ガラス美術の巨匠デイル・チフーリ氏の5作品を展示している。館内にはカフェやフリースペースもあり、市民でにぎわっているのが印象的だ。

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向きの異なる羽板が並び、吹き抜けになっている


富山市ガラス美術館と同じ通り沿いに、月世界本舗がある。1897年創業の和菓子店で、鶏卵と和三盆糖、白双糖で作った「月世界」は、サクッとした歯ごたえの後、口の中でとろける。マシュマロのような食感の「まいどはや」もあり、茶席ではもちろんのこと、コーヒーに合わせても良さそう。

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月世界本舗の「月世界」

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月世界本舗の「まいどはや」


市電で松川に架かる桜橋へ行き、川沿いを市役所まで5分ほど歩く。市役所には無料で上がれる展望塔があり、地上70mから360度のパノラマが広がる。この日は天候不順だったこともあり雲がかかっていたものの、立山連峰を望むことができた。かつて登った剱岳の岩峰は見えなかったものの、弥陀ヶ原の雪原は分かった。

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富山市役所展望塔から眺める立山連峰


土産店は富山駅ビルをはじめ駅周辺に集まっているが、富山市ガラス美術館に近い総曲輪(そうがわ)通り商店街にある「地場もん屋」は市民に人気の店。2010年にオープンし、約450の農家から新鮮な野菜などが届く“市街地版道の駅”といった趣だ。「一般のお客様だけでなく、飲食店のシェフも買い出しにいらっしゃいます」と田近寛充店長。色とりどりの農産物を目にしてちょっと驚くのは、富山県の野菜市場出荷率が全国最下位であること。文字通りの地産地消で、現地で消費されているからだという。

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地場もん屋外観

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農産物を中心に加工品や物産品も並ぶ


最後に宿泊情報を。富山駅周辺にはホテルが多数あるが、今回泊まった「ホテルJALシティ富山」は駅から徒歩3分という好立地。ツインルームは26平方mとゆったりしており、バス・トイレ別。20255月にリニューアルしたスイートルームは2室のみの特別な空間で、富山県内を中心としたメーカーのアメニティも充実している。おすすめなのが朝食ブッフェで、「地産地消TKG(たまごかけごはん)」や小魚のすり身揚げをオープンキッチンで提供するほか、素材にこだわった野菜やジュースは目移りするほど。朝食ブッフェは宿泊しなくても利用できる。

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ホテルJALシティ富山のスイートルームのリビング

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ホテルJALシティ富山のスイートルームの寝室

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朝食ブッフェの会場となるレストラン


人口比での茶道人口は全国でもトップクラスという富山県。老舗の和菓子店がまちなかにひっそり佇んでいるのも分かる気がする。薬をはじめとする歴史はあるものの、富山市中心部は太平洋戦争の空襲によって今に残る遺産が失われてしまったのが惜しい。それでも市街地を歩くことでその痕跡をそこここに感じることができ、深掘りするとさらに面白い。通り過ぎるだけでは分からなくても、しっかり噛むことで味が深まるまちだ。


※記載内容はすべて掲載時のデータです。

(Web掲載:2026年3月1日)

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Writer

旅行読売出版社 メディアプロモーション部 さん

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