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駅麺紀行 西新井ラーメン【西新井駅】

場所
> 足立区
駅麺紀行 西新井ラーメン【西新井駅】

具材はシンプルにチャーシュー、メンマ、ワカメ、なると巻き、ネギ

半世紀以上にわたり手作りを貫く

関東三大厄除大師(やくよけだいし)のつとされる西新井大師。最寄り駅の東武大師線大師前駅は盲腸(もうちょう)線で、東武スカイツリーライン西新井駅で乗り換える。東京・足立区出身の筆者も西新井大師の初詣後に、下り3・4番線ホームの「西新井ラーメン」に寄るのが決まりで、親子3代のファンだ。

階段下の店舗はL字カウンターのスタンド式で、厨房には2人のスタッフが立つ。一番人気のラーメンを注文すると麺担当が中華鍋で沸かした湯の中に麺を放つ。もう一人は頃合いを見てスープを用意。平ざるで湯切りした麺をスープの中に入れ、具材を載せたら完成。調理時間3分の早業だ。スープをすすると体の隅々に染み渡るような優しい味で、ストレート系の中太麺によく合う。

「立ち食いだけに、スープや具材は既製品を使っていると思われがちですが、すべて店内で作っています」とは2代目社長の中村一彦さん。

厨房内を見せてもらうと、スープ鍋に丸鶏と4種の野菜を発見。チャーシューはタコひもで縛った豚肉を創業から継ぎ足ししてきたしょうゆだれで、メンマはタケノコを塩抜きしてから煮込んでいるという。

「先代の父が創業した1968年頃はラーメンの麺を製造する工場が少なくて、地元の製麺所に、ゆで時間が短く、それでいてのびにくい麺を開発してもらったと話していました」

スープに丸鶏を使うのも取引先だった地元精肉店のアイデア。そうした経緯もあり、店舗で使う麺や野菜、肉などは今も足立区内の業者から仕入れている。

「店を継いだ時に豚骨など流行(はやり)のラーメンに味を変えることも考えましたが、先代の意見に従って浮気しないで正解でした」

多い日は日300杯を売り上げる人気ぶり。今日も手作りを貫く東京ラーメンを提供する。

文・写真/内田 晃

【お品書き】(※2021年4月現在の料金)

ラーメン ◉500

ワンタンメン ◉550

チャーシューメン ◉680

みそラーメン ◉680

カレーラーメン ◉500

ワンタン麺
ワンタンも店内で作る。あんは少量の挽き肉だけで、のど越しを楽しむ
鍋
毎朝丸鶏と4種の野菜を煮込んでスープを作る
外観
スタンド式の店舗。食欲をそそる香りに腹の虫が騒ぎ出す
西新井駅
駅前にロータリーがある西新井駅西口

西新井ラーメン

住所:東武スカイツリーライン西新井駅改札内(3・4番線ホーム)

問い合わせ:なし

(出典 2021年臨時増刊「駅麺紀行」)

(ウェブ掲載 2021年12月28日)

Writer

内田晃 さん

東京都足立区出身。自転車での日本一周を機に旅行記者を志す。四国八十八ヵ所などの巡礼道、街道、路地など、歩き取材を得意とする。著書に『40代からの街道歩き《日光街道編》』『40代からの街道歩き《鎌倉街道編》』(ともに創英社/三省堂書店)がある。日本旅行記者クラブ会員

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